天空の色香を愛し冬に入る      河原枇杷男

最高が20℃、最低が10℃を割りこむと、肌に寒さが凍みる。本日は、名実ともに立冬となった。急に坂を転がるように気温が下がった。40℃をめざした猛暑が嘘のようだ。遠く弧を描く山の稜線上には積乱雲が発生し、見上げる天は抜けるように青い。西高東低の気圧配置が、シベリア大陸からの冷たく乾いた北風を招き、大気を一掃する。透明な空気は、爽快で清々しく香ばしい。きりりと揉みこんでくる冬が扉を開き我を迎え入れる。