『注文の多い料理店』 序
*2021年5月朗読教室テキスト③ ビギナーコース<番外編>
*著者 宮沢賢治
『注文の多い料理店』ご好評につき、ビギナーコース<番外編>を開催します。短編集「注文の多い料理店」の序文に添えられた、賢治の美しい言葉を朗読します。
「わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。わたくしは、そういうきれいなたべものやきものをすきです。これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。」(「注文の多い料理店」 序 一部抜粋)
朗読を続ける過程で折々にこの文章を思い出し、自然の理りをあるがままに受け入れてきました。オリンピックのことやワクチン接種のこと、コロナの不安のない未来に近づいているはずなのにどこか重い空気が続く中、賢治が編んだこの美しい文章が、皆様の心にも健やかに作用していくことを願っております。
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*底本 『宮沢賢治全集8』株式会社筑摩書房
1986年1月28日 第1刷発行/2015年2月10日 第31刷発行
*文中の太字は本文より抜粋