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『いちょうの実』(宮沢賢治)
【朗読教室ウツクシキ】
2022年10月オンライングループレッスン
*ビギナーコース②
テキストは、『いちょうの実』(宮沢賢治)です。
|朗読テキストを考える|
ことしは千人の黄金色の子どもが生まれたのです。
そしてきょうこそ子どもらがみんないっしょに旅にたつのです。おかあさんはそれをあんまり悲しんでおうぎ形の黄金の髪の毛をきのうまでにみんな落としてしまいました。
「ね、あたしどんなとこへいくのかしら。」ひとりのいちょうの女の子が空を見あげてつぶやくようにいいました。
10月になりました。今年は秋になっても気温が高い日が続きますが、どこからか金木犀の香りが漂い、緑の葉色が薄くなり、秋は確実に来ているのがわかります。宮沢賢治の作品は季節と結びついているものが多く、夏になれば銀河鉄道を思い出しますし、9月になれば風の又三郎が飛んでいき、秋を迎えるころにはぺちゃくちゃとよくおしゃべりをするこのいちょうの実たちを思い出します。ぺちゃくちゃと・・本当に、よくしゃべるのです、この物語に出てくる実たちは。
この後いちょうの葉が色づき、と思うや否や次々と地面に落ち、歩道が黄色く埋め尽くされます。そのときに、この物語を思い出していただきたいのです。道を埋め尽くした黄色葉が、朗読教室で朗読した物語を思い出しながらその葉の数だけおしゃべりがあって・・・と想像すると、秋の歩道が途端ににぎわいを増して来ます。
物語の世界が現実に現れた時、「あっ!」と驚くことがあり、眼前の事物に対して認識を強固なものにしたり、深く考えを巡らすことができます。その「あっ!」は、例年目にしていたただの黄色い歩道を、おしゃべりたちの歩道へと、違った光景へ変えてくれるでしょう。それを迎え撃つという、10月の朗読教室です。
10月のオンラインレッスン②は宮沢賢治の『いちょうの実』です。
ご予約お待ちしております。
スケジュール:http://utukusiki.com/202210_online/