飛鳥の嫁を勝ち取ったのはただのオタクでした 2
その日の夜珍しく外が涼しく窓を開けて缶ビールを1本開けた
明日推しである人と出かけるというのにあまり感情が湧き出てこない
嬉しさもなく、幸せさもない
明日が終わればまた会えないと思うと憂鬱で仕方ない気持ちの方が大きいのだろうか
空を見上げ明日どうするか考えながらアルコールを喉に流し込んだ
ふと携帯を開けて陸斗に連絡をした
陸斗:お、どうだった??
〇:勘で行ったら飛鳥ちゃんが居た
陸斗:え??まじ?!良かったじゃん
〇:ん〜嬉しいんだけどねぇ
陸斗:素直に喜ぶべきでしょ
〇:でも一日じゃん ずっといれる訳じゃないし。
陸斗:ふふっ甘いなぁ なら告白すればいいじゃん
〇:………え??僕が??
陸斗:そらそうよ もう恋愛解禁してるんだから自分も立候補はしていいんだよ
〇:確かに……
陸斗:たまには自分の為に何かしてもいいんじゃない??
〇:ふふっ 分かった ありがとう
陸斗:おう! 日曜日楽しみにしてるぜっ笑
〇:ちゃんと慰めてくれよ笑
陸斗:行ける気でいけよ笑
〇:あの飛鳥ちゃんだよ?無理だよ
陸斗:さぁ?どうだろうね
〇:はぁ、じゃあね
陸斗:おうっ
〇:ふぅ、よし寝るか。
窓を閉めて綺麗な夜空を遮るようにカーテンを閉めた
次の日の朝は何故かいつも以上に早起きし人生初の朝ランニングをした
外の社会もまだ起きておらず眠たそうにしている人とランニングしてる人達に別れていた
約30分走り朝風呂に入って手馴れた手つきで朝ごはんをつくった
いくら上手に出来ても1人で喜怒哀楽が完成する
スマホを見つめながらご飯を食べて完食するとすぐさま洗い物を済ませ集合場所に向かった
イヤホンを両耳に刺し社会から心を閉ざし電車に揺られ20分ほどで到着した
まだ姿は見えず椅子に座って待つことにした
すると突然心臓の鼓動が聞こえてくるようになり手汗もかいてきた
落ち着かせようと目を瞑るも余計に鼓動が聞こえ中々落ち着かなかった
??:おいっ 〇〇
〇:ん?あ、飛鳥ちゃん
飛鳥:行くぞっ
〇:めっちゃ顔隠れてるね
飛鳥:あ?? バレるでしょ
〇:バレないバレない笑 身長低いから
飛鳥:あんたがでかいだけでしょ
〇:180くらいかな
飛鳥:のっぽ 行くぞ
〇:いや、名前で呼んでよ
飛鳥:べーだっ
〇〇はイヤホンを外し飛鳥と歩き始めた
〇:どこ行くの?
飛鳥:水族館
〇:買い物とは……
飛鳥:文句ある??
〇:いえ、行きましょう
飛鳥:いひひっ
〇:なにか言いました?
飛鳥:なんも いくぞ
〇:はい
飛鳥:あ、それと今日はタメ口ね??
〇:え??
飛鳥:今日だけは許す
〇:あ、わ、分かった ねぇ飛鳥
飛鳥:ギクッ なに
〇:魚興味あるの??
飛鳥:別に
〇:じゃあ水族館じゃなくても、
飛鳥:そんなに飛鳥ちゃんと行きたくないのか??
〇:いや、そういう訳じゃ無いけど理由もないのに行ってもなぁって
飛鳥:今日は黙ってついてこい
〇:わかった タクシーの、あっ
飛鳥:乗るよ
〇:はい
2人はタクシーに揺られ水族館へと向かった
移動中も喋ることが出来ずゆっくりと時が進んでいった
飛鳥:スゥスゥ…
〇:可愛すぎる。写真とりてぇ
運転手:彼女さんですか??
〇:あ、いや、友達、ですかね
運転手:そうなんですね、すごくお似合いなので彼女さんかと思いましたよ
〇:よく間違われます笑
運転手:成功するといいですねっ
〇:………え??
運転手:それでは到着しましたので代金は2500円です
〇:はい 飛鳥起きて 着いたよ
飛鳥:………んぅ
〇:これで
運転手:丁度お預かりしますね
ではっお気をつけて
〇:はい、ありがとうございます
飛鳥:ふわぁ、行くぞー
〇:うん。やっぱりベテランって凄いな
〇〇は人生においての先輩に頭が上がらなかった
〇:人多いね
飛鳥:土日だし、仕方ない
〇:人多いのいいの??
飛鳥:別に……
そう言ってそっぽ向くも〇〇の左手は飛鳥野手によって防がれた
〇〇は何も言わずそのまま繋ぎ入場券を買えるのを待っていた
マスクで表情が見えないが少し頬が上がっているようにも感じたが流石に無いと思い前を向いて待ち続けた
待つこと10分ようやく入場し歩き始めた
〇:どこ行きたいとかある??
飛鳥:とりあえずまわる
〇:了解 はぐれるから離さないでよ?
飛鳥:なっ、こ、子供じゃないし
〇:なんで飛鳥ちゃんって呼ばれてるか分かる?
飛鳥:飛鳥ちゃんが可愛いから
〇:それもあるけど可愛いからじゃなくて幼くて可愛いからだよ
飛鳥:………手握りつぶすよ??
〇:どうぞ??
飛鳥:んー!!!ん〜!!
〇:ふふっ 力無いね
飛鳥:手加減してるだけだしっ
〇:そっか あっ 水槽見えてきたよ
飛鳥:ほんとだ
〇:可愛いなぁ
飛鳥:そだね
〇:あ、あっち行こ
飛鳥:うん
どの魚を見ても飛鳥は一問一答しかしなかった
〇:ペンギンだって工事中で梅に言われてたね笑
飛鳥:うん、そうだったね
〇:お昼しよっか
飛鳥:うん。
2人は向かい合わせに座り注文するとずっと沈黙していた
〇:なにか辛いことあったの??
飛鳥:……なんで??
〇:いや、顔にそう書いている気がしてさ
飛鳥:………違うよ 楽しいけど、私の想像してたのと違う
〇:……ん???
飛鳥:今日ほんとに買い物付き合うつもりでいたの??
〇〇がずっと推してた飛鳥ちゃんと1日居れるのにもう。してもいいのに
飛鳥ちゃんだと嫌なの??
〇:……あ、え。え??
飛鳥:まず始まる前に告白してか、カカカカ、ップルとして過ごすはずじゃないの?!
〇:え、最初なの、最後じゃないの
飛鳥:最後だったら距離あるじゃん 近くに居れるならいたいじゃん。
〇:ま、まぁそうだけど
飛鳥:私は〇〇が良いから呼んだの
手紙ほんとに読んだ??
〇:うん。来いって
飛鳥:なんのこいだと思ったの?
〇:来るのこい
飛鳥:分かってないな 恋のこいだよ
〇:んなもん、分かるわけない
飛鳥:何年推してるの??
〇:11年
飛鳥:分かって??
〇:当然
飛鳥:そういうこと まぁ、来ただけでも許してあげる
〇:は、はぁ。
飛鳥:んっ
〇:え??
飛鳥:んっ!!
〇:………齋藤飛鳥さん 僕と付き合ってください
飛鳥:やだ
〇:………………え??
飛鳥:え??だからやだって
〇:……あ、そうですか
すると飛鳥は席を立ち上がり〇〇の耳元で呟いた
飛鳥:お嫁さんならいいよっ
〇:本気で言ってる??
飛鳥:飛鳥ちゃんが嘘つくとでも??
〇:いや、いやいやいや、おかしいおかしい
頭打った?
飛鳥:あはははは!! 何??信じられないの??
〇:当然でしょ 誰もが望んでる席なのに
飛鳥:飛鳥ちゃんは君がいいの 君のこと好きだから
〇:……うわぁちょっと録画させてよ
飛鳥:は、何キモイんだけど
〇:ね、飛鳥お願いもっかい言ってお願い
飛鳥:ちょ、ねぇやめて二度と言わないよ?!
〇:すみません……
飛鳥:んっ
〇:???
飛鳥:よろしくなっ
〇:こちらこそ。
飛鳥:よし、ご飯食べたらもう一周するぞ
〇:ちゃんと見てなかったろ?
飛鳥:〇〇の顔見てた
〇:……やめろ
飛鳥:いひひひっ
食後2人は再び手を繋いで水族館を1周していた
飛鳥:〇〇!!みて!〇〇!!
〇:こんな細くねぇよ
飛鳥:傍からしたらこうでしょ
〇:なら飛鳥はペンギンだね
飛鳥:はぁ?!違うし!!
〇:梅の言ってたじゃん
飛鳥:あんなのしてない!!
〇:結構してるよ、
飛鳥:え、嘘っ
〇:あ、飛鳥だ いてっ
飛鳥:ペンギンな?? 可愛い
〇:飛鳥みたいに可愛い
飛鳥:可愛いのは飛鳥ちゃんだけっ
〇:ふふっ拗ねたの??
飛鳥:拗ねてないし
〇:ヤキモチ妬きだね
飛鳥:一途なだけだし……はっ かぁ///
〇:え、飛鳥顔真っ赤だよ??
飛鳥:う、うるしゃい
2人は次第に繋ぎから恋人繋ぎに変わっていた
水族館を出てショッピングモールで買い物をしてゲーセンでペンギンを取ったりと本当にカップルみたいな一日を過した
飛鳥:スゥスゥ……
〇:よいしょ、家は、ここか
飛鳥が寝る前に赤ちゃん語で家の場所と鍵を渡しすぐに眠りについた
〇〇は飛鳥をおんぶしながら荷物を持って8階まで階段であがってきた
〇:よし、着いたぁぁぁ 飛鳥つい、たっ
バタンッ
──────────────────
〇:………ん。ん〜 え、ここどこ
飛鳥:ん。ふわぁ おあよ
〇:え、飛鳥ちゃん?!
飛鳥:何、そんな大きな声出して
〇:え、なんでここに居るんだ
飛鳥:だって私の家だし
〇:しかも廊下で寝てたのか、身体が……
飛鳥:………もしかして送ってくれた直後寝たの??
〇:………そうみたい。
飛鳥:ふふっ はしゃぎすぎたね
〇:高校以来だよ……
飛鳥:おかえり 旦那さんっ
〇:……まだ早い
飛鳥:飛鳥ちゃんは何時でもいいよ??
ずっと〇〇の事大好きだから
神様……僕はこの子と一緒に居続けたら命が持ちません。
〇:飛鳥
飛鳥:ん??
〇:大好きだよ
飛鳥:ひひっ 当たり前っ あ、風呂入るから帰って
〇:え、冷た
飛鳥:なに、見る気??
〇:写真集で見せたの誰よ
飛鳥:どうせ鼻血だしたくせに
〇:………
飛鳥:え、図星??
〇:悪かったな
飛鳥:ならまだ先だねぇー
〇:別に見たいわけじゃないし
飛鳥:ふふっ じゃあ風呂はいったらまたおいでご飯作っといてあげる
〇:え、ほんと?!
飛鳥:飛鳥ちゃんの手作り〇〇が初めてなんだから感謝しろよ//
〇:ありがとう!急いで行ってくる!!
飛鳥:あ、待って
〇:ん?!
飛鳥:行ってらっしゃいっ
〇:い、行ってきます//
齋藤飛鳥はアイドルでも、彼女でも最強らしいです
飛鳥:よしっ やるぞ〜!!
【完】