マドンナの執事はワルクナイ
人皆裕福な生活がしたいと言うが本当に貧乏な人達は普通の生活すら出来ない
両親は共働きだがテレビもゲーム機、携帯すら持っていない
日々読書か勉強、おかげで点数は80以上ばかりだった
不幸かと言えばそうでも無いが高いお肉や魚は食べたことがない
高校で働いて初給料で親と3人で焼肉に行くのが夢なのだ
そしてついに高校生になり偏差値の高い高校に入学した
友達も話題についていけず全く出来なかった
そんなある日入学式に人生の光が見えた
隣に座っているのは西野七瀬
大手企業の社長の娘さんだそうで、何より綺麗で可愛い
まさに絵に書いたマドンナ的な存在だった
七瀬:なぁなぁ
〇:……
七瀬:なぁなぁ〜なんで無視するん??
〇:え、あっ僕ですか?
七瀬:君しかおらんやん
〇:な、なんでしょう
七瀬は何も言わずじっと〇〇の顔を見つめていた
七瀬:君、バイト探してるよな??
〇:ま、まぁ
七瀬:ならいい考えがあるねんっ
聞きたい??
〇:まぁ、聞くだけ、
七瀬:ふふっ うちの執事になれへん??
〇:…………はい??
七瀬:え、そんな驚く??
〇:そら、驚きますよ 初対面ですよ??
七瀬:そう!やのにななが誘ったんやで??
断る理由がない
〇:いや、嫌なんですけど、
七瀬:え〜君となら仲良くやれると思ったのになぁ
時給1300円やけど、やらん??
平均より高いことに目が食らいつき自然と口から返事が出ていた
〇:……やります
七瀬:ふふっ ええやんっ 決まりな??
今日の放課後一緒に行こか
〇:今日からですか??
七瀬:当たり前やん ななが困る
〇:は、はぁ。
七瀬:じゃあまた放課後なっ
〇:はい
七瀬は嬉しそうな顔をしながら自分の席に着いた
そこから〇〇は何故自分が誘われたのか何故バイトをしたいのが分かったのか疑問で仕方なかった
考え事をしながら行動していたため校長や自己紹介等何一つ聞いていなかった
そして放課後……
七瀬;ほな、行こか
〇:あ、何時頃家に帰れます?
七瀬:ん〜今日は説明だけやから19時には行けるんちゃん?
〇:あ、じゃあ大丈夫です
七瀬:携帯持ってへんの?
〇:はい、
七瀬:え……連絡できやんやん、家行ったらスマホあげるから
〇:え、いや、そういう訳には
七瀬:ええねん、スマホぐらい 七になんかあったらどうすんよ
〇:は、はぁ。
七瀬:あ、ほんで君の名前は??
〇:橋本〇〇です。
七瀬:〇〇君か、よろしくなっ
〇:はい。
七瀬:七さぁずっと一人ぼっちやってん
〇:そうなんですか
七瀬:両親はずっと不在やし、ずっと執事と2人だけ
お金には困らんけど、気持ちがな。寂しくて
〇:僕とは真逆ですね お金がないけど両親は必ず僕を第一に考えてくれるので
七瀬:いいなぁ、ななもそんな家計が良かった
ま、独りやったらやりたい放題やしっ
〇:ゲーム機あるんですか??
七瀬:当たり前やん ななゲーム好きやしっ
〇:え、ちょっとやってみたいんですけど、いいですか?
七瀬:初対面の人に厚かましいなぁ〜
〇:あ、いえ、そういうつもりでは……
七瀬:ふふふっ 冗談やんっ ななとやろっ
これから楽しみになってきたなぁ〜 家まで走ろか
〇:え??
七瀬:よーいドンッ!!
〇:あ、ちょっと!!
七瀬は笑いながら走っていった
思った以上に早く中々追いつくことが出来ず七瀬は立ち止まった
七瀬:ふぅ、着いた着いた
〇:え、ここですか?
七瀬:そっ 一般的やろ? まぁ、一人暮らししてるからなんやけどなっ
〇:ひ、一人暮らしですか、
七瀬:そうそうっ あ、上がってや〜
〇:お。おじゃまします
〇〇の家から歩いて五分ほどのところにあるマンションに住んでいた
もっと豪邸かと思っていたから一般的すぎて何も言葉が出てこなかった
七瀬:豪邸やと思っとったやろ?
〇:はい笑
七瀬:ななそういうの嫌いやから一人暮らししてるんよ
まぁ家事出来ひんから君を雇った訳
〇:家事したら家政婦では??
七瀬:ななの面倒全部見るから執事やっ
七瀬はそう言って両手を横腹に置いてほっぺたをふくらませた
その仕草が不意にも可愛いと思ったが心の中に直した
〇:僕が家事できるか分かったんですか??
七瀬:勘や まさか、全部出来んの??
〇:まぁ、何でも
七瀬:え……やっぱりななの勘はさえてるわぁ〜
〇:勘、ですか。
七瀬:そそっ じゃあご飯お願いな??
〇:え、明日からって。
七瀬:説明終わったし、時間あるやん??
〇:はめましたね?
七瀬:いひひっ よろしくなぁ〜 あ、これななの得意と不得意やから
そう言って"ななの取説扱い説明書"を渡してきた
〇:は、はぁ。
七瀬:じゃあななゲームしとくから出来たら呼んでっ
〇:分かりました
七瀬は部屋にお菓子とジュースを持っていき部屋の扉を閉めた
〇〇は手洗いして五分ほどまな板とにらめっこをして料理を作り始めた
1時間半後〇〇は七瀬の部屋をノックし声をかけたが1度も返事が無く部屋を開けると……
七瀬:あ、そこ!いけ!いけいけ!!あ〜どんまいっ
ちょっと休憩するわなぁ〜 わっ!!びっくりするやん
〇:すみません、何度も声を掛けたのですが。
七瀬:あ、そうなん??ごめんやで気づかんくて
〇:いえ、食べます??
七瀬:食べる食べるー お、明太子うどん??
〇:はい これ僕好きなんですよ
七瀬:パスタや無くて?
〇:うどんもあいますよ??
七瀬:そ、そうか、い、頂きます
七瀬は半信半疑でゆっくり口に含みゆっくり噛んでいた
その後も何も言わず二口目も口に含んだ
〇〇は静寂に耐えられず感想を求めた
〇:ど、どうですか??
七瀬:これ……ほんまに最高に美味いやん!!
〇:あ、良かったです
七瀬:え、これどうやって作ったん? これは革命的やわ
このソースハマるわぁ
〇:感覚なので何も言えないですね笑
七瀬:うわぁ うんまっ いやぁ、〇〇雇って正解やわぁ
これからよろしくな?? あっこれスマホ〇〇専用にしてええから
〇:あ、え、ありがとうございます。 あの、使い方は……
七瀬:あ、そっからか ええよこのななせまるが教えたる
1回しか言わんからな??
〇:はいっ!!
七瀬:じゃあLINE開いて
〇:ら、LINE、ですか??
七瀬:…………やっぱり説明やめ各自でやって
〇:え……
七瀬:ほら、冷めるから食べるで
〇:は、はぁ。
この後執事としてやって行けるのか不安度が一気に上がり1日が終了した
家に帰ると親には何も言えずスマホも隠れて操作方法に慣れて行くことにした
するとさっそく七瀬からLINEが届いた
その内容は……
〇:え、朝から朝食作って一緒に登校??
……ん??一緒に?? 嘘でしょ。
七瀬:〇〇案外いい子やな これならゴールイン出来ちゃう? 執事とお嬢様が結婚……いい響きや、まぁタイプちゃうけど
この出会いが大きく左右する事を誰も知らない、そして刺客が現れることも……
??:〇〇と喋ってたやつ絶対に許さない。
〇〇と付き合うのはこの私なんだから……
続く