3度目の街
※以前、夢に出てきた内容をお話風にしました。
ここには何度か、来たことがある。前は家族で買い物した。
夕焼けも、朝焼けも綺麗に見える段々畑の様な、海岸沿いにある、イタリアを彷彿とさせる街並みだ。
街は色鮮やかで、少し細い路地も不思議に魅力的で嫌な感じもしなかった。お店が立ち並ぶこの街並みに人はぱらぱら歩いていた気もするけれど、混雑とまではいかなかった気もする。
でも、今回は違った意味で不思議だ。
楽しい気持ちではないだけじゃない。
目が覚めて、どこかがらんとしたお店に横たわっていたからでもない。
ひと気が全くなかったけれど、前に来た所だと分かったからでもない。
何か、違和感と、恐怖感があった。
何もない部屋で、外から足音がして妙に恐怖感が募る。
どんな身体を得たのかは知らないけれど、蜘蛛男の様に私は天井の隅っこに張り付くと、物音を立てない様に下を見やる。
「」
ギイ、と扉が開く。
心臓はドキドキして、その姿をちらりと見やってひたすらただ見つからない様に祈っていると、そこには黒い顔面マスクに袋を持った男がうろついていた。何かを探している様だ。
「(犯人だ)」
夢がまだ覚める気配がない。見つかる気はあまりしないので、見つかりたくない設定に自分がしているのだろう。そこは保身が強い。
どうやらおじさんというべきか、そこには30~40代くらいの男が部屋を見やると、お探しのものがなかったのか外に出ていった。
足音は遠のいてから私は下に降りると、壁に隠れて身を潜める。外を確認して、人影が1つもない綺麗なレンガ造りの街並みを確認すると、息を殺して外に出た。
以前通った不思議な路地裏も、今となっては見え方も変わっている。ここの道や地図は、前回父親とマップが置いてあるビーチまで行ったから何となく覚えている。街の通りは2本。今出たお店は上の通りを三分割した、真ん中の通りの右端のお店だ。
犯人が何か盗んだのは何となくわかっていた。おそらく、誰かが見てしまって、それを探しているのかもしれない。
人通りがないんだ。下手に出ない方が良い。
ああ、そういえばここに来たのは3度目だった。1回目は買い物、2回目はゾンビが来て逃げた。
ゾンビの夢はたびたび見るが、見る度に襲われたり逃げる夢から戦う様になってきているのが面白いし、武器まで出てきた。
倒す気マンマンである。
3回目は一人の男から逃げている。
深緑の、道具がいっぱい入る釣り用のジャケットの様なサバイバル服装の様な、とにかく準備してきたんだろうみたいな恰好をしていた。
とにかく、嫌な予感は小さいものだったので、この場は逃れられると思う・・
がしかし、ここには男と私しかいないのだろうか
※夢はここで終わっている。夜中。