盗難と夕暮れの焦燥
※これは以前見た夢の内容です。少し怖いです
気付くと、そこはヤ〇ハの様な教室のフロアだった。目の前に生徒がいて、自分が保護者と話している。どうやら先生をしているらしい。
教室を女子生徒がエレベーターを使って降りて行ったのが見える。
保護者同士の話になるとすっと会話から抜けて、荷物を持つ。と、少し離れたと所にピアノを見つける。初めて見るピアノだ。
「(弾きたいな・・でも、)」
手元には、ランチバッグがある。あれを弾くには、カバンを置いておくか、ピアノのそばまで持って行くかであるが、店頭に置いてあるピアノであり、自分は講師である。カバンをそこに置いて弾くのもどうかと思う。
「(・・・少しだけなら)」
すぐに帰ってくる、と、椅子を保護者のいる近くに置いてピアノを弾く。
ほんの2,3分弾いて小走りで帰っている距離で、事件は起こる。
大学生くらいの男が、自分のカバンから財布を抜き取ったのだ。
「返して」
自分よりも背の高い、男の手首を持って言う。
「すいませんでした、逃して下さい」
財布はすぐに返してくれたものの、一度した人の信用はことごとく復活なんて望めないし、ここで逃すと再犯するかもしれない。ここでそれなりの対応をしなければいけないと思う。
「ごめんやけど、それは出来ない。人のものを盗むのはあかん事やし、犯罪になる。警察呼ばせてもらいます」
抵抗するそぶりもない男はそのままぐったりうなだれていたが、警察に電話して2,3分した後、事情聴取のため男だけが3人の警官に連れられて、エレベーターを降りた。
その時合った目が、今まで感じたとこのない憎悪に満ちていて、寒気が走ったのを覚えている。
場面は転換して、教室に一人、夕日が差し掛かっているらしい。閉館だろうか。
そこにはまるで無理して人と合わせて関わっていた時の甲高い声の自分がいる様だ。その声がだんだんと近づいて、ハッキリしてくる。
どうしてこんな声になっているんだろう。何だか胃も、ストレスがかかっているのか、しんどい。と思っている内に目の前の景色が見えて、そこには女子生徒が下を向いて、私ともうすぐハグをするんじゃないか位の距離感でいる。
多分この子は最初に見た子だと思うが、普段、自分が見知らぬ子とこうなる事はめったにない。何か、あるんだろうか。
「そうか、まあ、落ち着き。そうやなあ、そうしたい気持ちもあるんかもしれへんな、大丈夫、大丈夫。」
妙に明るい声でしゃべる自分に違和感を感じる。ふと気づけば、背中から汗が垂れる。まぎれもなく、冷や汗だ。もの凄い力が入っている。
それに気づいた瞬間、喋らないと、話を途切らせてはいけない。と、焦燥感にかられる。
女の子は喋らない。ただ、黙って、下を向いて、私に近づこうとしている。
「まあ、いったんそれ置いたら?話せえへん?」
でも、私は知っている。
この女の子がかわいいセーラー服の下に隠し持っているのは、包丁だという事を。
※夢はここで終わっています。夜中4時。
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