心理戦の果てに
京都に行くまで、不安が不安を呼んでロクに眠れなかった。
着付けがちゃんと出来るか、途中で帯がほどけてしまったらレスキューして貰える所はあるのか、それはどこか、どの順で行くと退屈しないのか、見れそうな所はあるのか、トロッコの時間にどう合わせるかなど、悩む事などいくらでもある。
頭がパンクしそうだ。
でも、何となくだが直感的に、何かが起こるとすればこの嵐山だと、本能が言っている気がした。
もしなければ、ダラダラ続く関係か上司と部下に戻るだけである。
ドキドキするとは言え、上司と部下である。3か月以上も長引かせる理由がないし、実の所この気持ちを封印しようか迷っていた。
仮にどちらかが告白して振られたとしても付き合ったとしても、両者の仕事に差し支えあると思ったからだ。第一振られたら一緒の部署にいたくないし、いて欲しくない。付き合ったとしても、別れると後が面倒だからだ。
付き合ったとしても、どちらかが転職を考えた方が楽なのではないか。とまで考えていた。ましてや、この関係性が周囲にバレる事自体がややこしい。現に前職にはカップルがいたが、嫌みを言う上司や気遣う人もいた。業務に差し支えが出ていたのだ。
と反対に、環境が環境だったので同じ職場の話が出来るのはありがたかった。なら、上手くいっても死ぬまで隠すしかない・・
職場環境も変わる事はなく時間が過ぎていったが、この精神が追い詰められている中でお賃金を稼いだ身として、ちょっと位良い思いをしても良いんじゃないか・・・?なんて思ってしまう。
前日なんかはもともとあまりよくなかった精神状態が悪化して過呼吸ぎみになる。不安が頭の中にとどまって反芻して離れない。落ち着けとか、大丈夫と言ったってただ反芻して脳内を埋めるだけであった。
職場では疲労も溜まって疲れた時にだけ飲んでいたリポビタンも週1になり、週2になり、気づけば常備して効果が切れると手が震える様になっていた。毛も抜けば、手首に無意識に爪型をつけたくなったり頭をガシガシ掻いて指に爪を食いこませたり、痛みがあれば落ち着く時すらあった。家で自然に笑う表情を作るのは努力がいった。
全ては今までのストレスと「いらない」から逃れる為の手段である。ポンコツである。
それでも、この日だけは楽しみだった。
当日は、予定より2本早い電車でおそらく30分前についた。
駅にいた人並みはまだまばらだったので、先に現地を目で見て一緒に歩くのに効率の良いルートを考えながら回る事にした。待ち合わせ時間が近くなったら着物レスキューと言う、着崩れを直してもらえるサービスを受けてから臨もうと考えていたのだ。
準備は、ギリギリまでしておきたい。どこにどんなみせがある、あそこは一緒にいって楽しめそうだなど脳内に情報を詰め込んでいくと、そこでケータイが震える。
『着きました』
待ち合わせ20分前。新郎が、到着した。
結局レスキューもいけないまま足早に駅に戻る私であったが、一度元に位置に戻したはずの心臓も再度飛び出しそうである。
この歳になって、こんな感情になるとは思ってもみなかった。
こう言ってよいのかは分からないが、これは自分が作り出したチャンスであったし、チャンスを再びくれた機会をこの場で利用しているのだと思った。
今から、世間で言う『デート』が始まるのである。
少女漫画の様な乙女チックな恋に憧れる女子には非常に申し訳ないが、何分兄弟の影響を受けてきた私にはそんな展開は信じられないし逆に鳥肌が立つか笑ってしまう事を許して欲しい。
さしずめ、私が少女漫画に持つイメージとしては「髪に芋けんぴ、ついてたぜ☆」の様な感じなのである。
故に、現在の脳内BGMはまごう事なく
「デュエルッ!!!!!!」
がふさわしい。心理戦ファイナルラウンドだ。こっちはついに行動心理までちょっとかじろうとしたが、簡単に心理が読み取られてたまるか。心は少年だと思いたい。
「待った?」なんて100億回漫画で見たセリフを言われると、まさかの口が
「いや全然大丈夫」と言ってしまった自分をブチのめしたかったが、この嵐山ルートは脳内で補完したので今の私に怖いものはない。
しかし今日は草履だ。下手に遠回りすれば足が死ぬ。段差もヤバイ。それに豆粒ほどでも配慮してくれるとありがたいが、自分でどうにかする他ないかもしれない・・・と思えたのは前半のみだった事は後から述べたい。
完全なルートは脳内にあるものの、これからの行先は2人で決める事なので、「どこから行きましょうか」なんて言ってみるとなんと向こうも同じ事をいう。当然ながら目が合わないのは私がちゃんと向こうを
あっこれグダるパターンかもしれないと察した私はとりあえず脳内ルートAを開放し、ひとまず真っすぐ進む事にする。現地調査ではあまり奥まで行けていない為、少し脳内地図との照合が不安定である。何せ前回嵐山に行ったのは小学生である。
ゆっくり歩いていくと、店の右側にお土産屋さんがぽつぽつ並んでいたので横目にそれを見ながら、時々「あれ初めて見ました」なんて言って話しかけてみるも、「ああ、そうやね」から会話が続く気がしない。
気まずい。ひっじょ~~~~~~~うに。
ここで悟る。新郎も緊張しているのだ。
初めては1・2言で終わってしまう会話を何とかこさえながら二人の足取りは変わらず先へ進んでいく。ここが京都で良かった。私が和風好きで良かった。自己肯定感が1上がった。
ある所まで歩いた先ではお土産屋さんも見当たらず、次は右に曲がった方が多そうだったので曲がる。これはもしや脳内ルートBではなかろうか。
無事正解した様で、行きたかったお寺が見えるとその途中で小さな紅茶の店を見つける。思わずテンションの上がった私はヲタ恋の様な「ヲタ禁止」デートを発動させる事もなく普通にまじまじとみてしまった。
「行く?」
この時ばかりは好奇心と「好き」に対する自分の欲に負け、「はい」と食い気味に喜んでこじゃれた洋館の様な、門構えは和風のなんとも風情のある小さなお店に入った。
そこの紅茶は何とも美味しく、付き合ってからもリピートしたのはまた後の話。敢えて長くは書かないが、強いて言えば狭い店内で外的にも私のA.T.フィールドは物理的にも前回だったという事だろうか。正面に座るのって緊張しない???私は面接ぶりにした。何なら会話のチョイス迷いすぎて趣味とか聞いた気がする。お見合いかよ。その脳内ツッコミだけは早かった。
紅茶を嗜んだ所で、行きたかったお寺に行く。
そこには広々としたお庭があり、綺麗な花や池が静かにそこい広がっては風に揺らめいでいた。しかも偶然か人はほぼ建物を見学している人が多い。
つまり、ここは迷いの森・・
と、ふざけ倒したい衝動を抑えて目も合わさず「綺麗~」と言いながら進んでいく。何となく、目線が感じられて後ろは向かない様にするが、ちょっとだけならゆっくり歩いても良いだろう。
パシャ
と言った気がしたが、気にせず花を虚無に見つめていたのだった。
念願のお寺の本堂を目の前にした時は、心底驚いた。
私はここの天井に描かれた龍を知っていた。
というのも、死んだ祖父がよく教えてくれていたからだ。亡くなってからそれほど月日もたっていなかった今だ。涙が出そうにならない訳がない。
祖父が死んでから、一人で祖父の墨絵を描いた所を、写真を撮った所を回ろうと思っていた私にとって、それが叶ったのは蹴上の水路橋以降だった。
純粋に嬉しくて魅入っていたこの時だけは、緊張も忘れて作品に没頭できた。
後で分かる事だが、新郎と祖父の出身は、出身校までも同じである。何か不思議な縁だが、時々祖父が彼を引き合わせてくれたのではないかと思う時がある。頑固なじいちゃんだったけど。
思い出に浸れてその間もじっと待ってくれていた新郎であったが、さあ、お寺を出た私達はどこへ行こうかとまた話し合う事になったのもつかの間、見に行きたい場所のもう一つ、竹林までお土産屋さんがずらりと並んでいたので迷わなかった。
一つどうでもよいエピソードを言うと、歩道橋には草履で越えるには高い敷居があり、頑張って上がろうか諦めようか迷っている私に新郎が手を貸そうか手をつなぐのを意識して引っ込めたのか、二人共わたわたした瞬間があった。結局手は貸してくれなかったが少女漫画の様であった。
後からそういえば懐かしいねと言うと、「あの時はまだ手もつないでなかったから迷った」と言われた。ただのノロケである。
さて、かわいいリラックマには興味があるのか、なさそうだとか考えながら竹林に向かった新郎新婦であったが、ここで私はあるものに目が入る。
アンティークと音楽と癒し好きにはたまらない。
「あ・・・オルゴール館。」
デートスポット、オルゴール館である。
重そうなオシャレな扉を開けると、そこにはきらびやかなオルゴールが並んでいる。それにも充分目を惹かれたが、後でも見れるだろう。喫茶店と一緒になっている様にもみられたので入ってすぐ右の螺旋階段を上っていく。
上に上がると受付のお姉さんがにこやかにお出迎えしてくれ、「ようこそ」と穏やかに挨拶してくれる。
「えっと、大人2枚で」
とチケットを頼んでくれた新郎であったが、事件はここで起こる。
「カップル割でしたら少しお安くなりますよ!どちらからでも、ほっぺにチュッとして頂ければ!」
気遣いとは、逆に酷な時もある。
「・・・・・・!!・・・????・・!?」
身体が固まる。おそらく目を見開くとはこういう事だろう。体温が急上昇するのを感じた。
どうしてよいか分からないまま新郎を見た私であったが、同じく言葉に詰まった新郎が、その時は「あ、いや、あの、普通に、大人2人で」と言ってくれたのには感謝している。
お姉さん、このカップル割見てきたんかな。地獄やな。
とか思う暇もなく、完全に新郎の姿すら視界に写せなくなってしまった私に唯一救いとなったのは本来の目的であるオルゴールのみだった。
綺麗な音色に少し薄暗いライトは心を落ち着けるには充分で、何なら緊張も試奏で緩和してくれた。ありがたや。
いやいや、無理。お姉さんを恨むつもりはないが意識せざるを得ない。
ここで覚えている事を言えば、世界最小のオルゴールだろうか。それ以外は新郎から少し距離を置くので精一杯だったが、一緒に試奏を聴いてくれている姿を見て、多分クラシックやオルゴールも普通に聞いてくれるんだろうなと思った。
エンカウントを喰らったオルゴール館を出て、次の竹林に向かうと、天気も良いためか人はまあまあいた。流石観光名所と思ったが、前日従妹から「あそこの竹林は整備されてない」とかいう話を聞いてしまい、逆に落ち着く事ができた。偶然花嫁さんがいて、とてもきれいだなと思うと同時に何か恥ずかしい気持ちになった。
完全に、未知の世界、女子青春ロードを走っているのである。猪突猛進。
案外竹林を早く回り終え、その道を外れて遠回りしてしまった事に気づいたときには、流石に足に疲労が感じられた。新郎は背も足も腹も大きいので、まず歩幅が違うのだ。今日は互いの緊張からか、私が若干速足で歩かなければならない。
緊張よりもちょっと疲れたな・・の気持ちが大きくなり、ここで「お昼食べましょう!」と提案する。竹林入る前のお店もだいぶん魅かれていた。お腹減った。
とここで、竹林の店からご飯どころまで割と歩くし、みんながみんな一緒の事を考えていたのか、リーズナブルな所は埋まっている。なかなかご飯も決まりそうになかった為、脳内地図を開放して「私は田楽と湯葉が食べたいのですが」と提案して少し良いお店に決めさせて貰った。
高校時の彼氏が提案しても決めたり意見を言ってくれなかったので、そこは似ているのかもしれないと思いながら、一応大人にはなったので、自分の意見を反映させて貰う事にする。
見晴らしの良いお店で限界の足と腹を満たすと、その間は心なしか会話が弾んだ気がしたが内容は全く覚えていない。ごめん。
とはいえ、草履のダメージが全部消える訳ではない。すぐにじわじわ痛みを思い出してきた足を動かして、お土産をめぐる。何と、帰るにはまだ早い時間である。
「あの、それならトロッコ、乗りませんか」
と提案した私は偉いと言って欲しい。とにかく、ゆっくり休憩するかゆっくり歩きたい。でも、向こうだってカチンコチンだ。私は最早緊張よりつらい。
また行き道を戻る様に、道案内する様に脳内ルートを全開放してトロッコ乗り場に向かう。最短ルートで。でも直は味気ないのでお店を見ながら。もう修行みたいである。
新郎は口数も少なく、変わらない様に見える。楽しいかもわからないし、お土産も待たせている気がするし、これで良いのか分からない。
私の悪い癖と言えば、空腹と疲労には勝てない事、隠していても見てる人が見れば顔に出てしまう所だろうか。そして、マイナス思考である。
トロッコ列車に向かう15時過ぎ。トロッコの次の便までまだかなり時間があった為、お土産屋を見てお手洗いをゆっくり済ます。
着物も締まり肩の重みも限界の上、草履で足は限界だが、それを見せるわけにはいかない。でも、ほとほと疲れてしまった。トイレでため息を吐いた。
ふとそう考えながらも、トロッコ乗り場で待つ新郎を見ると、ぎこちないが笑っている。ここは何もない様にいろいろ話してごまかす。
そうしているとトロッコが来て、テンションだけ空上がりする。そこに小さな頃感じたと楽しさや爽快感はなく、ただ着物と冷え性にはこたえる僅かな砂埃と冷たい風が「諦めろ」と言わんばかりに吹いていた。
手袋は落ちてしまうと嫌なので、カイロを握り締めたが何分はしっこの席で風が寒い。新郎とギュウギュウに座った席も、以前ならドキドキしていたはずなのに今はしない。隣からは新郎がウキウキした声で「すげえ」とかいろいろ言っているが、ニヘラと笑う力しか残っていない。
こちとら個人の勝手だが、寝不足の着物着用6時間を過ぎ、行き道で座れなかったのだ。おまけに徒歩時間を合わせるとかれこれ2時間は歩き続けている。草履で2時間はしんどい。いや、言えばいいんだろうが新郎の足に通常の速度ではついていけない。緊張している彼に届く事もなかった。
もう、いいや。疲れた。
ふと、心から沸いた感情に身を委ねたくなった。
色々悩んで、考えて、恋はそれが良いと言うけどしんどい。おまけに今日はこの格好でしんどい。楽しめない。足が痛いし、寒い。もういい。
これ以上頑張れない。もういい、諦めよう。
これで、明日から、また元に戻ろう。
隣で今になってテンションの高い新郎を見やりながら、完全に自分の中で諦めた私はトロッコを降りてから徐々にお土産を見ながら帰路に自然と向かう事にした。
もう買ったし。時間ももう良い頃だし。別にいいか。
位のテンションの差である。もし男性側で反抗心を持った方がいらっしゃったら、否定はしない。
ガチガチのまま再び段差を超える手を取られる事もなく、虚無の表情を隠せなくなったのは、嵐山第二の観光名所、渡月橋。
この橋を渡れば駅まで直行だ。
つまり、ここがデートの終着点なのである。
橋の傾斜を苦痛に感じながらも、新郎はそれに気付かず先に先に進んでいく。その背中を、せめて許してくれと写真をこっそり撮ってカバンにしまうと、橋の真ん中辺りで止まった新郎が川の景色を眺めている。
帰りたい。寒い。もういい。
そんな単語だけがグルグル脳内に蠢く私には、ただのろのろと新郎を待たせない様に出来る限りの速度で橋の真ん中に向かう。
「綺麗ですね。」
「そうやな」
この会話も1ターンで終了。もう喋る気力すらない。もうほんと申し訳ないけどしんどい。足爆発する。止まってるのもしんどい。
もう、やれる事はやった。ルートも予習したし今日は着物も着崩れなかった。会話も出来る限りしたし、下調べしてた所も行った。連絡も充分取れたしやれる事はこれ以上にない。
・・だから、もういい。勝手でも、もういい。やっぱりだめだ。もう期待しない。
ただ虚無の顔でただ流れる川をぼーっと見つめる。
その時だった。新郎が、真っすぐこちらを見る。
「あのさ、うつぼさん」
「はい?」
彼からの開口は珍しい。何だろうか。夕日がバックになっていて綺麗に見える。そういえば今日来ているコート、私が好きな感じのやつだ。背丈あるし、似合うなあとは思っていたけど。
そういえば、職場で私の台車を直してくれた時、綺麗な長い指をしていた。まつ毛も綺麗で、長かった。綺麗な二重だなあと思った。
おだやかな顔を、横を向いてくれている彼の顔をこの日、初めてちゃんと見る。
「大事な話があるんやけど」
「え」
と言われた時には直感で固まった。足は痛い。痛いが、その瞬間痛みをどこかに置いてきた気がした。
「おれと、付き合ってくれへん?」
顔が、一気に蒸発した様に、脳が沸騰した様にビリビリと刺激を走らせる。
「いや、付き合ってくれませんか」
人のちらほら通る渡月橋。その真ん中で、
社会人2年目。ドン底のメンタルの自分は告白された。
告白されるや否や、「あっ、えっ、あの、えと、その」と壊れかけたロボットの様な発語しか出来ない私であったが、新郎はじっとこちらを見ている。
「ええと」と言葉に詰まったまま、橋の手すりを持って下を向き、川を見つめる。顔を合わせられなければ、こんな感情は初めてだったからだ。
同じ職場の、上司、気まずい、今後の不安。
これまで死ぬほど考えていた不安はたんまりとあったが、驚く事にその不安もスポーンと一気に引き抜かれた様で、口がわなわなする中私がした返事は、
「ふつつかものですが、よろしくお願いします・・・」
だった。
初めて緊張の解けた新郎の笑顔を見て、私も胸のドキドキが抑えられずに足の痛みも忘れてそのまま帰路を辿った。
何だかとても新鮮な気持ちで、今だけは生きている心地がした。
人の役に立ちたかった自分が、他人から必要とされたのは初めてだった。
帰り道、新郎は何か肩の荷が下りた様に元気を取り戻して、京都駅でご飯やさんに入り、ハンバーグをニコニコと食べていた新郎を見て、母の様な母性が芽生えた私であったが、その後乗った特急でまさか自分が呼び捨てで名前を呼ばれるとはつゆにも思っていなかったのである。
そう。彼は割とくさいセリフも言ってのけるベタベタのロマンチストなのであった。
勘弁してくれ。
この後新郎を下の名前で呼ぶまでに3か月かかった私にとっては自分が呼ばれる事すら羞恥の塊であった。
帰って友達に急いで連絡し、「おめでとう」と言葉を貰った時には純粋に嬉しかった。明日からの不安はあるが、本能的な返事にはなってしまったが、何となく、間違った選択ではなかったと思った。
そうして、私の春は始まりを告げたのであった。