住宅ヒストリー　第４回（全８回）

第４回はいよいよ上京しての東京住まいです。住む家も仕事も何も決めずにカバン一つで、夜行列車に揺られて着いた花の都・大東京。そのまま駅のキヨスクで住宅雑誌を買って、飛び込みで不動産屋へ行きました。とにかく、一番安いアパートをと思い、住んだのが四畳半の風呂なしトイレ共同のボロアパート。東京の２３区が何かもわからないまま、不動産屋に勧められるがままに決めた家です。

間取り

木造アパート（１階／２階）
駅徒歩１０分
家賃２万８０００円

風呂なし布団なしトイレ共同

風呂がないので、銭湯通いですが、駅前まで行かないといけないので、すごくめんどくさい。やっぱり毎日は厳しいので2日に1回くらいのペースで銭湯に行ってました。トイレは大家さんが毎日、掃除をしてくれているみたいで比較的、いつも綺麗な和式便所でした。引っ越したばかりで布団もなく、まだ３月だったので、ものすごく寒かったのを覚えています。不憫に思った大家さんが布団一式をただでくれました。ありがたや。

隣と斜め向かいはゴミ屋敷

風呂なしの極安アパートにはまともな人間は住みません。ある日、隣の住人が部屋から出る所に遭遇。ふと目に入ったのは、ドアの向こうにはよじ登らないと入れないくらいの高さのゴミが！マジか！こんな奴が隣人だったのかと思っていた所、別の日に今度は斜め向かいの住人が部屋から出る所に遭遇！お前もかい！まさに隣人と同じくらいのゴミ屋敷状態でした。とんでもない所に引っ越してきたと覚悟を決めました。

隣からいびき

壁が薄いとはよく言ったもので、ここでは夜中に隣人のいびきが聞こえるレベル。まさか一人暮らしで、いびきに悩まされるとは思ってもいませんでした。

恐怖！小さな侵入者！

夜中、寝ていると天井で何かが走り回る音が。ネコでも紛れ込んでるのかと思っていたのですが、ある日、家に帰ると買ってあったカップ麺がかじられている。何じゃこれは！そう、夜中に走り回っていたのはネズミだったんですね。さらに、別の日には家に帰り電気を着けた瞬間に、自分の足を何かが通ったのを感じる。見ると、そこにはネズミがいてこっちをじっと見ている。そのネズミとがっつり目が合い、あんなに小さいのに完全にこっちはビビって動けない。ネズミに睨まれた人間です。その後、そのネズミは台所の方へ行き、姿を消しました。隣人がゴミ屋敷なので、ネズミが住み着くのもしかたないのですが、引っ越すお金もないので、何とか対策を練る事にしました。知り合いに聞いたら、とにかく部屋の隙間を埋めてネズミの侵入を防げとの事でした。なので、押入れから台所の下などあらゆる場所をガムテープなどで塞ぐ。それでも、どこから入って来るのか、ネズミの侵入は続きました。恐ろしや。

借金取りが！！窓を叩く！

底辺のアパートには底辺の人間しか住みません。自分はお金がなくても借金だけはしなかったのですが、ある日、突然、家の窓を激しく叩く音がしました。普通、ドアを叩くのならわかるのですが、窓が割れんばかりの強さでドンドン叩くとともに、怒声まで聞こえてきました。怖かったのですが、何ごとかと思い窓を開けると、そこにはチンピラ兄ちゃんが立っていました。しかし、そのチンピラ兄ちゃんは、まさか俺が窓を開けるとは思っておらず、驚いた様子で、逆にキョトンとしてました。兄ちゃん「○○さん？」俺「○○さんは隣です」そうです。借金取りが隣と間違えて、自分の部屋の窓を叩いていたんです。その後、その兄ちゃんは「すまんすまん」と頭を下げて、隣に移動し、窓を叩きながら怒声を上げてました。怖かった。でも、何で玄関じゃなくて窓なのか？たぶん、窓を叩いて玄関から逃げ出した所を、別の人間が捕まえるという作戦だったのでしょうね。

大家さんとの禁断の愛

ある日、共同の洗濯機で洗濯をしていると、別の住人のおっちゃんと一緒になり、衝撃の話を聞かされました。2階に住んでる20代くらいの若い兄ちゃんが、どうも家賃を滞納していて、その代わりに大家さんと夜な夜な、Ｈな事をしてるらしいと。まさか！だって大家さんって、７０過ぎくらいのおばあちゃんですよ！特に綺麗なわけでもなく、小太りの白髪のおばあちゃんですよ。信じがたい話ですが、おっちゃんは夜な夜な、大家さんがその兄ちゃんの部屋に入るのを見てるらしい。家賃の代わりに、あのおばあちゃんと一晩を共に……さすがに厳しいなと思いました。

まとめ

東京へ来ての初めてのアパート。まともな住人はいなく底辺の中の底辺での生活でした。20年前の当時ですでに崩れそうなオンボロアパートだったのですが、グーグルのストリートビューを見ると、今でも残ってるみたいです。今でも、あの大家さんは、家賃を滞納した住人とチョメチョメしてるのかな。生きていれば、９０くらいだと思うけど。次回は、ようやく風呂付きではなく、シャワールーム付きのアパートです。