コストの話:人、時間、金、イニシャル、ランニング
何かを成すべきときに、それに費やす資源のことを「コスト」と言います。
通常はコストというとお金の話に特化しがちですが、仕事の場合はもっと本来の意味に近いところで考える必要があります。
コストとして考えられる要素はいろいろあるのですが、一番大きいのは以下の3つです。
・人
・時間
・金
状況に応じて他の要素も絡んできますが、出来を左右するほど大きな要素になるものはだいたいこの3つです。
そしてこのコストは、以下の等式が成り立ちます。
式1:コスト=人×時間×金
式2:1人月=150人時(つまり人×時間)=100万円
式1のコストは変数ではなく定数に近いです。つまり、人や時間で左右されるものではなく、案件によって最初から一意に定まる傾向にあります。
そのコストの中で何を優先するかによって、注力する要素が変わってきます。
例:時間をかけられないから、担当人員を増やす、あるいは残業を増やす
例:人と金をかけられないから、期間を長めに取る。
例:急ぎで金はかけられるが人がいないので、外注にする
そしてこれらの要素は、式2の式で人月あるいは金額としてあらわすことができます。
仕事関係なら「人月」を使うことが多いです。
人月は「一人の人間が一月かけて行う仕事量」を表します。
私の職場では1人月=20人日=155人時で計算していましたが、おおよそのボリュームを把握するのなら150で十分です。
1人月=100万円は「使える技術者をアウトソースで確保した場合の単価」です。
ベンダーによってはもちろん上下するので、どんぶり勘定用の式です。
桁が合っていれば目安になる、くらいに考えれば良いかと。
さらに、このコストはイニシャルコスト(つまり初期費用)とランニングコスト(運用費用)に分かれます。
イニシャルコストの例:買い切りアプリ
ランニングコストの例:月払い制サブスクリプション
人は数字が大きくなるとびっくりするので、イニシャルコストを削ってランニングコストを増やしがちです。
しかしそこには数字の罠があるので注意が必要です。
ランニングコストとして月10万円を計上した場合、5年では12×5=60倍の600万になります。
身近なレベルまで落とすと、月500円を払い続けると、5年で3万円になります。
システムや案件の更改頻度にもよりますが、だいたい3年から5年のランニングコストを考え、イニシャルコストを決定すべきです。
もっと大雑把に考えるなら、「ランニングコストはなるべく少なく」です。
これらはあくまでも原則論なので、状況によっては沿わないことがもちろんあります。
ただ、このコストというものを考えないで動くのと、考えて動くのとでは後者の方がはるかにマシです。
コストが発生する場合、この5つの点-人、時間、金、イニシャル、ランニング-を常に意識しましょう。
そうすれば、得はしないかもしれませんが少なくとも損はしません。
(損と得の違いについてはまた改めて)