いのちを守る人の いのちが危ない

うつ病予防を広めている、時任春江です。
うつ病予防というと、どうも、うつ病患者さんを治療する話なのか?と思われがちです。
そうではなくて、発症しないように予防するための考え方や方法を啓蒙しています。

8月9日は長崎に原爆が投下された日。
平和記念式典が長崎市で催されました。
皆さんお聞きになったでしょうか?

「平和への誓い」

車の移動中、その様子がラジオから流れてきました。
被爆者代表の平和への誓いを最高齢の92歳の女性の方が語るというのです。

当時16歳だった岡信子さん。
大阪第一陸軍病院大阪日本赤十字看護専門学校の看護学生さんでしたが、
大阪の病院が爆撃され、実家の長崎に戻った矢先だったそうです。

救護所に動員され、
見様見真似で救護にあたったことや、
運ばれるご遺体の無残な様子。

ちょうど、三女と同じ年齢の当時の岡さん。
どれほどの衝撃だったでしょうか。

それでも看護学生として不眠不休の救護にあたっていらっしゃった。 
日本の歴史なのだと思いながら、聞いていました。

誓いの原文がこちらに掲載されています。
https://mainichi.jp/articles/20210809/k00/00m/040/049000c?fbclid=IwAR1O5Af-ipnNgjKXDRYPfGtDfo66VMf5-TOjkcJjAyHwElQo5Bn3lPWmA7w

私も救急外来を担当することがよくありましたが、
病気や怪我などでお元気な頃の体とは異なる方を何度も見てきました。

それでも岡さんが救護にあたった方たちは、
それはそれは大変な状況の方達ばかりだったろうと思います。

いのちを守る人のいのちが危ない

今、感染症で大変な世の中にあります。

先週、感染病棟に勤務する20代の看護師さんと話をしたのですが、
患者さんの人数や重症度によって、勤務がコロコロ替わって仕事以外の予定が立てられないとおっしゃっていた。

日勤だったのに夜勤になったり、休みが勤務になったり。
プライベートで約束していた人に断りを入れないといけないことが続いている、ということでした。

病院のコマのように働かされている、と言っていました。

個人的な思いですが、原爆の時も、今の世の中も、しわ寄せは看護師なのかな。
そんなキモチになりました。

看護師の定員数を増やしてほしい

感染者が増えれば、その分、医療を必要とする人が増えます。
いま、医療者自身が危機的状況だ、とも聞きます。

去年、「医療者に感謝を」という話題がよく聞かれました。

感謝ではなく、「もっと看護師の定員数を増やしてほしい」と、多くの方に言ってもらいたい。
感染が流行する前から、看護師の定員数はギリギリだったのだから。

せめて、定員数が多かったら、、、
50床の病棟に50人くらいの看護師がいたら、、、

少しは余裕が出ると思います。勤務を変更しなくて済むと思います。

海外では、もっと看護師の数が多いんでしたか?
財源の確保が課題だとは思いますが、何とかならないか。
ずっと、気になっていました。

私が退職したのは、残業が多すぎて育児に支障が出るようになったからです。
家族はとても協力してくれました。
しかし、家族を犠牲にしている罪悪感に耐えられなくなった。

おかげで次女は、絶対に看護師なんかならない!と言いました。

なりたくない職業だと、家族に言われるのは、私の努力が足りなかったのかもしれませんが、家事育児の両立で悩む看護師は少なくありません。

特別扱いしてほしいわけではありません。
定時に終われる業務で、保育園に間に合えばいいのです。

そんな、当たり前が当たり前ではない。
それが看護師。

日本看護協会も、2021年4月に厚生労働省保険局に要望書提出しています。 

入院医療における適切な看護職員配置を

https://www.nurse.or.jp/up_pdf/20210427171212_f.pdf

定員が増えたら看護師の仕事にゆとりができて、その様子を見た潜在看護師さんが、復帰したくなるかもしれません。

働いている看護師さん160万人に対し、潜在看護師さんは70万人くらいいる。

すぐには難しいのはわかっています。

将来、ゆとりのある仕事ができますように。

今は、感染が、早く収束することを願うばかりです。


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