研究室で人間観察
ちょっと前から人を観察するようになった。いつだったかスタバで人間観察したこともあったが、あの頃とは少し訳が違って、すでに知っている人について考えるようになった。関係が近い人や接点の多い人を優先して、1つ上と同期と1つ下で1人ずつ話していきたい。もちろん個人情報は伏せて匿名性は担保する。そのうちデータが集まってきたら第2回もやるかもしれない。
1つ上 三島さん (仮名)
彼女には研究室に所属した時から一番お世話になっていると思う。担当教官が同じなのもあって、実験や日常生活のことなど、ジャンルを問わず気にかけてもらってきた。真面目で人当たりとノリが良く、でもときどきちょっと抜けているところもあり、進学校の運動部出身というのがまさに解釈一致といった感じだ。
そんな彼女に最近助けられたことがある。研究室の飲み会で、歩いてしばらくのところにある会場へ向かっていた時のこと。2列縦隊で歩いているはずだったのに隣にいたはずの人が前の列に抉り込み、いつも通り僕はぼっちになってしまった。あの時の再放送をしていると思いつつ、早めに隣の人と会話を始めないと逃げられちゃうんだなぁと自分なりに反省 (?) をしていると、先頭列にいた三島さんが後ろを振り返ってしばらく立ち止まり、僕の隣にやってきた。
「うつろくん、お腹減ってる?」
いちばん聞きやすく、話も広げやすい抜群の話題を切り出してくれた三島さん。こちらは会話の火種さえもらえればいくらでも話せるので、そこからはしばらく歩きつつ談笑して、流れで先頭集団の会話にも入ることができた。
おそらくあの時後ろを振り返って、三島さんは「あ!うつろくん1人だ、なんか可哀想だ」と思ってくれたんだろう。自分が犠牲になってまで (こんな言い方をするのは少し恥ずかしいが) 和を重んじる姿勢は、すごく三島さんらしいと思った。
ちなみに彼氏はいるらしいので、そういうことでは断じてない。
同期 塩見さん (仮名)
愛嬌があって人懐っこい性格の塩見さん。同期だが担当教官が違うのでそこまで親密に話すことはないが、少し前に昨年度まで同期だったメンバーの話をして盛り上がった。元同期は在学中、塩見さんとは席も隣でよく話していたようだが、今は心機一転、留学のために勉強中の身。英語の試験でいい点数が取れて、あとは志願書を提出すればしばらく暇になるらしいよ、と伝えたら塩見さんは喜んでいた。僕と元同期は同じ担当教官だったから、彼も含めた同期飲み会でも企画しようかと持ちかけたら想像以上に乗ってくれた。
ついさっき、今日のゼミで発表を終えた塩見さんが問いかけてきた。
「元同期の子とはいつ会えそう?」
僕はまだゼミの発表が終わっていなかったので、それが終わってから連絡しようかなととりあえず答えることにした。午前中に全て発表を終えて、内心ウキウキしてたんだろうな。
裏表がなく素朴な彼女には、付き合って長い彼氏がいるのも頷ける。
1つ下 緑川くん (仮名)
彼とは担当教官は違うが、2つある居室のうち同じ側に席があるので時々話をする。あまりこちらは気にしてないのだけど、しっかり敬語を使って接してくれる義理堅い (?) 彼は、しかし話していて少し変な感じもする。
よくわからないが、僕を必要以上に褒めちぎってくれる感があるのだ。太鼓持ち、というと聞こえが悪いが、ちょっとそれに近い。些細なことでも褒めてくれるのは嬉しい反面、ご機嫌取りをされているようで不思議な感覚になったりする。
先日の旅行で買ったお土産を居室に置いておいたら、緑川くんがやってきて
「うつろさん、あれ美味しかったですよ!なんか形も可愛くて」と。こっちは「あれ安くてねぇ」とスカしてみたりしたが、ずっと褒めちぎっていた。知らんけど裏がありそうで変な雰囲気だった。別に悪い子ではないのだけど、「この人にはおべっか売らないと」と思われているのもなんか複雑だな。
僕のことをプライド高い人間だと思ってる可能性もあるかもしれない。むしろこっちの方があるな。うつろという先輩の尊厳を傷つけないように、優しく接してくれているのだとしたら、ちょっと流石に申し訳ないので普段の生活態度を改めないといけないかもしれない。
ここに書いたことは全部僕の勝手な予想でしかない。
多分うちの研究室のメンバーは僕の日記なんて読んでいる暇はないので、バレないことを願って投稿してみる。別に悪口は言ってないし、いいよね。
おわり。こわい。