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カレーメシのパッケージから日本人らしさを紐解く
この前カレーメシを食べていましたら、気になる書き込みを見つけました。
「5分後、30秒以上グルグルとかき混ぜてください」
この30秒というのが嫌に引っかかりました。
知らない方のために説明しますと、カレーメシというのはフリーズドライの米とカレールウが入っていて、そこにお湯を入れることでとろみのあるカレーが完成する代物です。ところがお湯を入れて待ってから最初に開けた時には、シャバシャバしていてとてもパッケージに書いてあるようなものではない。しっかりと中身を混ぜることでルウがお湯に溶け、とろみのあるものになるわけです。
あえて秒数まで書いてかき混ぜることを促すこの表記には、何か必死さを感じてなりませんでした。そこまで明確にいう必要あるのかな、と。「お湯を入れて○分」ならわかるけど、混ぜる時間を指定する必要まではないんじゃないの?と。何か理由があってやっていることなんでしょう。
ここから僕の妄想が炸裂しまして、2つほどの仮説に行きつきました。
① 全ての人に食を楽しんでほしいという願い
真っ先に思いついたのがこれです。時間を書くことで子供でもわかりやすく、しかも「思ったものができなかった」という不安を解消するものとなっています。手順を間違えたと勘違いして捨ててしまったりすることがないように、具体的に指示しているのではないか。
紙パックを折りたたんだときに「たたんでくれてありがとう」と出てくるものが似た例として挙げられると思います。実際はそこに文字を割くだけ無駄なのかもしれませんが、食後のリサイクル、大きくとらえて食そのものを、消費者が満足して楽しんでくれるようなこだわりは、日本の商品らしさではないでしょうか。
② クレームへの対応
ちょっとメタな観点になりますが、クレームが来た際の切り札としてあえて書いているんじゃないかとも邪推できます。長いことかき混ぜるという考えを知らずに、シャバシャバの薄いカレーを食べて文句をつける人がいても、「パッケージに書いてたじゃないですか」と反論できる。
これと似たものに、取扱説明書の過剰なまでの注意書きが挙げられます。「窒息の危険があるので〇〇しないでください」などと、普通考えたらわかることまで書くのは、万が一子供が遊んで事故など起こした際でもその商品側の責任が問われにくくなるからでしょう (法律関係のことは門外漢なので間違ってたらすみません)。
ひと通り注意書きの意味が議論できたところで立ち返って考えてみましょう。そもそもなぜこのような系譜になったのでしょうか?
個人的な意見ですが、ここには日本人の人間性が関わっていると思います。遠慮がちでしばしばshyと例えられる日本人の性格は、「思いやり」や「不安」といったワードで表現されうるでしょう。そして前者が①、後者が②の要因につながっているとしたら上手く説明がつきます。
実際、海外のパック飲料に「Thank you for folding」の文字は見たことがありませんし、注意書きも日本ほど執拗ではないはずです。日本人らしさがパッケージの個性を作り出しているとしたら、なかなかに面白いものです。
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