ABCお笑いグランプリ 講評 (C)
前回の記事はこちらから…
とうとうCブロック。
優勝候補、自らをヒールと語る令和ロマンが登場。
終わった今見ても、楽しい。
まじでずっとふざけてるだけだもん。ずっとネタやってる感じです。
令和ロマン
言わずとしれた優勝候補筆頭。去年のABC、去年のM-1と、4本のネタはどれも全く別のもの。しかもどれも形式のあるネタではありませんから、まじで漫才大好きなんでしょうね。今回のネタも全く別物でした。
猫が祀られる島、猫の島にたどり着いたケムリがトラブルに巻き込まれていくというネタ。体全体を使ったくるま全体のボケが今回も大炸裂。ところどころ「ん?これは何?」となってしまうジェスチャーもありましたが、僕の想像力不足ですね。答えを教えてほしいものです。
個人的には今大会最高のネタだったように感じます。志らく師匠の言うとおり、1本映画ができてしまいそうな、すごく満足感のあるネタでした。進化してるよ、確実に。今回のM-1もさらに期待が高まってしまいそうでちょっと怖いですね。
かが屋
コントを大量に作っている人、という印象で、正直あまり知らないと言うのが現状。加賀さんの顔めっちゃ変わった気がするけど、何かあったんでしょうか。気になります。
田舎の高校での学生のトラブルを、持ち前の演技力でありありと表現したまさに人間味あふれるネタでした。方言も元々のものじゃないとしたら、一から練習したのか…?だとしたら、雰囲気を作るために相当な労力をかけたんだなぁと。コントにかける想いの強さがよく伝わってきました。
これは余談ですが、かが屋のネタを見ているとちょっと就活を思い出すんですよね。すごく設定がしっかりしているというか。まず設定ベースで全部決め切って (いわゆるGDでいう定義の確認)、どんなネタをすればいいかを決定する (課題設定)。量をこなすことによって高度にシステム化が進んでいるように感じます。設定がしっかりしているとしっかりネタに入り込めるのでいいですね。劇としてのコントの完成度では、ダウ90000と1位を争うくらいの出来だったと思います。
フースーヤ
ザ・好み分かれる芸人日本代表。僕は好きでも嫌いでもないですが、ずっと同じことを続けてしっかり成果を出しているのはすごいなあと思います。
感想としてはネタ後の山里さんの「なんて内容がないネタなんだ…」に尽きるんじゃないですかね。脱線に脱線を重ねて、結果的にハッピーエンドかもよくわからない、でもなぜか笑ってしまう。不思議な感覚に襲われる、ある意味コントと漫才の違いよりも大きいような、そんな印象を受けました。
審査員には受けなかったようですが、志らく師匠が1位にしたのはまあ納得といったところか。ランジャタイのファンだと明言した人ですから、そう不思議でもありませんね。
ぎょねこ
ラストのコント。小学校からずっと続けて、今こうして地上波でネタができているって、すごいなぁ。素直に。
ネタは円周率を軸とした少し知的なコント。数字を数字で語呂合わせ、数字を干支で語呂合わせ、というような独特な語呂が目立つものでしたが、1発勝負な感じがしたかな、と思います。50桁以上覚えてる人も意外といそうだからなぁ…
それがどのように結果に出たのかわかりませんが、もう少し暴れてほしい感があったかと思います。もっとインパクトのあるネタも持ってるはず。来年以降に大いに期待しましょう。
Aブロックからダウ90000、Bブロックから青色1号、Cブロックから令和ロマンが勝ち上がり、かなりハイレベルなファイナルラウンドになりました。録画を見ていた時からぶっちゃけ誰が優勝するか知ってはいたんですが、ファーストラウンドを見るに誰が勝ってもおかしくないという印象。
いざ、ファイナル。
令和ロマン (2本目)
ここでもトップバッター。去年のM-1といいファーストラウンドといい、令和ロマンはくじ運悪すぎますね。それすら乗り越えてしまうその圧倒的実力には、畏怖の念を抱くほどですが…
ケムリが実家に帰ってみると、そこは全く別の家になっていた…くるまワールド全開の、ある意味一番「らしさ」が爆発していたネタでした。
ただ、コント漫才にリソースが割かれて話があちらこちらに行ってしまう感じ、全体のストーリーが「どこいくの?」となってしまう感じは、昨年のM-1グランプリの真空ジェシカを想起させました (あまり他の漫才師を出すのは良くないかもしれない、すみません)。
言い換えると、いわゆる「詰め込みすぎ」によって、1回見ただけではお腹いっぱいで十分に把握できない、という感じです。これは僕の理解度の問題でもあるのかもしれませんが、目眩く展開していく彼らのネタが審査員に「よくわからない」と言われてしまうのは、そのせいなのかもしれません。
青色1号 (2本目)
飲み会をしている3人。帰ろうとする榎本を引き止める他の2人が「英語禁止ゲーム」を始め、2人で盛り上がっていく…
榎本が振り回されるという基本構造はそのままに、微笑ましさをプラスしたネタで、見ていて心地が良くコンパクトにまとまっていて、ファイナル3組の中ではある意味少し異質でした。
個人的には見やすかったが、もう少し展開があっても良かったかなという印象。すごく日常的でありがちで、すごく楽しいんですが、単純なボケ数を考えると少し控えめです。これはコントと漫才が同居するABCならではの審査の難しさでもあると思います。
ダウ90000 (2本目)
不倫中の2人がどんどん追い込まれていくことを描いた、ある意味悲劇といってもいい作品。なんとか場を収めようとする蓮見さん、それでも止められない混沌、そして土下座で終了。構成がすごく綺麗で3回見ました。
個人的には1本目よりも好みでした。ただ、8人のメンバーが4人で動き回っていくので、やはり状況把握が難しかったように感じます。特に「別の人のふりをする」ことが肝になっていたので、「これはほんとは誰だ?」というのがだんだんわからなくなってきました。1本目のほぼ6人での偶像劇の方が、万人ウケはするのかもしれませんね。
結果は、令和ロマン優勝。すごすぎる。M-1も期待。
おめでとうございます。