これからも土日に予定を入れたくなった日
午前10時半。大鳥居の足が乗せられている台座の上で友人を待っていました。京都国立近代美術館で行われている展示会に一緒に参戦する彼は、高校の同期で同じバド部のメンバーの一人。先日会って話をした際に「ペアのチケットが当たったんだけど、一緒に見る人がいない」と話をしたところ興味を示したようで、是非とも同行したいと申し出てくれました。
出向いた展示会は、「LOVEファッション-私を着がえるとき」。衣服にフォーカスした個性的な作品が並ぶとのことで、ほぼ全ての服をGUで揃えている僕のような人間には到底趣などわからないだろうと、せっかくチケットを手に入れたのに行くのは憚られていました。
こんなこと言ってますが正直に申し上げると、行く人がいなかったんですね。本当に。ファッションに興味のある同性はまずいないだろうし、異性で気軽に誘える相手もいない、となるとタダで渡してあげるのはどうか、と研究室の後輩にも言ってみたんですが、すげなく断られてしまいました。そんな僕の前に現れた彼はいわば救世主であり、このチケットから生み出される物語の成立屋とも言っていい存在です。
中には噂通りのオリジナリティあふれる服達が並びます。パリコレのモデルさんがマネキンになって置かれていると言ったらわかりやすいでしょうか (もちろん、パリコレに出てこないような近世ヨーロッパの服などもあったりします)。普段は見ることのない多様な服の姿に時折ツッコミを入れながら興味深くみていると、少し声が大きかったようで注意されました。そこからは少し気を引き締めて、見終わった頃にはすでに13:30。お昼を食べるため東山のマクドに向かいます。
実はこのとき、時を同じくして東山近辺を歩いている共通の知り合いが、もう一人いました。ポケモンGOのイベントのために円山公園を歩いていた高校同期の友人です。彼もまたバド部のメンバーで、展示会に同行してくれた彼を含めて全員未経験者だったこともあって一緒にプレイする時間も長くなり特に仲良くなりました。電話をしていた時にちょうど予定がかぶることに気がついて、ゲリラで登場して驚かせようという運びになっていました。
14時過ぎ、満を辞して登場。一通りテッテレータイムが終わったところで、ポケモンGOのイベントの続きに3人で向かうことに。四条の商店街をぶらつき、その後ポケセンに行ってみたり。そうこうしているうちに5時すぎになったので、予定があるという初めの友人とはここでお別れ。そこからはしばらくポケモンGOの彼と歩き続けます。
夜もふけ、イベントも終わったところで晩御飯。東山の近くで見つけた蕎麦と天ぷらのお店に入ってみます。高級そうな店構えでこちらも身構えてしまいましたが、値段は2,000円いかないくらいのリーズナブルな設定 (こちらも天ぷらの盛り合わせを半分にするなど策を講じての結果ですが)。注文していたとろろ蕎麦がテーブルにやってくると、向かいの席で温かい汁を一口飲んで、「…うまい」と一言。そうだった、彼はこの前の競馬の後のご飯でも美味しいものを全力で楽しんでいたと思い出しました。
美味しそうに食べ物を楽しむ人と食事をすると、何倍も食事が美味しく感じられるというのが僕の持論です。一人で食べている時には気づかなかった感性が共有され、改めてありがたみに気づけるから。今日も目の前で何度もニヤケ顔を晒す彼をみて、ちゃんと来てよかったと素直に心に刻まれました。
思えば美術館も、一緒にツッコミをしてくれる彼がいたからこそあれだけの楽しい思い出になったのではないでしょうか?こう考えると、友人がいることって尊いことなのだと再認識させられます。「一人でも多少は生きていける」「孤独で結構」と言ってはきましたが、知った仲との思い出で彩られる世界もまた、自由で素晴らしい。また土日に予定を入れたいと、心から感じた週末でした。