農業全書に、農業的な思想を学ぶ
どんなに貧しかろうとも、
しっかりした蓄積があれば飢えにこまることはない。
本当の有事に心配になるのは、
お金より実体にならないだろうか。
少なくとも私はそうで、食と水が確保出来るなら、
自粛も引きこもりもいくらでもできそうな気がしてきた。
(本もたんまりあるし)
私の性格はともかく、
人は食べずに生きることは出来ない。
だから有事の備えというのは、
実際の食べ物や着るものや水の確保が大切だ。
お金は食うことも着ることも出来るわけじゃねぇ、
なんて考えをよく聞かされたような覚えがあるな、
って思いながら、こんな本をひもといてみた。
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名君は五穀を尊んで、金玉をいやしむとて、五穀に勝る宝はなし
とせり。いかんとなれば金銀珠玉は飢えて食すべからず。寒くし
て是を着るべからず。是ゆへに五穀を蓄へ積む計をつとむ。もし
此計おろそかなれば、凶年其外不意の災難にあへる時、飢寒の苦
しみ遁れがたし。
『農業全書』 宮崎安貞編録 貝原楽軒 土橋喬雄
https://ux.nu/l2mN3
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そうなのだ。
「農業全書」という書をひもとくと、
そもそもの思想として、飢えぬようにするにはどう考えるべきか、
そして子々孫々まで安定して生きていくことが出来るよう、
とても丁寧に生き方を育んで来て頂いているのがわかります。
さらに林業の項目を見ると、
10年の計は、木を植え森を育てるように、とある。
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古より唐の書には十年のはかり事は樹をうゆるにありといえへり。
また木を栽ゆる者は用を十年の後に期つとて、うへて十年ばかり
もすれば必ず用に立ものなりと見えたり。
『農業全書』 宮崎安貞編録 貝原楽軒 土橋喬雄
https://ux.nu/l2mN3
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どれもおばあちゃん世代(明治大正世代)には、
コンコンと諭された言葉ばかりに思えます。
今の人は、結構忘れかけてる言葉じゃないかなぁ。
今の自分にも、日本にしっかりと通じる言葉ばかりだ。
短期的で享楽的な生き方を戒め、
長い目線で蓄えを大切にする思想こそが、
有事の一番の備えな気がしている。