【30日目】あの男の正体
おい、居酒屋で盛り上がってる男女グループ!俺だよ。最近夜に現れる、牛乳パックを片手に持った汗だくの男だよ!なんであんな格好しているかって?ランニングした後にプロテイン用の牛乳をコンビニで買ってるんだよ!そんなこたぁどうだっていいんだ…
俺はお前らが憎いぞぉ~!テラス席で随分と楽しそうにやってるじゃねえか。そのすぐ隣を汗だくの俺が通るんだ。そう迷惑そうな目で見てくれんなや。俺はその時な、心の中でこう言っているんだ。「てめえら、自分がリア充だと思っているだろう?汗だくの俺を見ろ!走った後の達成感に浸りながら冷たい夜風に吹かれている今の俺は、サイコォーーーーーーーに充実してんだよぉ‼」ってなあ!
なんでこうも惨めな気持ちになんなきゃいけねえんだよ。これはマジだがな、俺はお前らのいう充実っていうのに1ミリも興味はねえんだ。一ミリって言ったらウソだな。そういう気持ちがないわけじゃねえわ… ただな、今度こそマジだが、てめえらのちっせえ脳みそが考えているリア充が全てじゃねえからな?図書館と家を往復するだけの俺の人生を、てめえらが否定することは許さねえぞ!
だけど社会はそういうわけにはいかないらしいな。おしゃれなバーでお酒を飲んで、馬鹿面をインスタに挙げることが充実っていうらしいじゃねえか。やめちまえ!てめえらのしょうもねえ飲み会なんかな、誰一人興味なんてねえんだ!黙って身内でしっぽりやってろ!実家の母ちゃんが泣いてるぞ!
飲みすぎる前に早く帰って寝ろ!
お前ら、自分を勝ち組だと思いたいんだろうけどな、そうは問屋が卸さねえぞ。俺は知ってるんだぞ?ほんとはお前らだって怖いんだよな。張りぼての自尊心作っても中身はすっからかんだ。そんで、いっちょ前にこの先の人生について考えてみたりしちゃってな。そん時に気づくはずだわ。てめえらのこれまで言ってきた充実なんざ大したもんじゃねえんだわ!
ほんと生きづらい社会だわな。俺の生き方は、余りものとしての道しか残されてないらしい。お前らだってほんとは余りものだ。この社会で余りものじゃないやつなんているのかね。まあその辺は安心してくれや。俺が将来、大爆発を起こしてやるから。だからさ、俺を蔑むような眼で見んのはやめてくんねえかなあ?