祭りのバスは華やかに【東京のりもの散歩~いちょうマークの車窓から23】
都バスを語る上で、1月18日と9月20日は欠かせない。1月18日は「都バスの日」。1924年のこの日、交通局の前身である東京市電気局が、前年に発生した関東大震災により大打撃を受けた市電の代替輸送機関として乗合バスを開通したことに由来する。私は最初、「都と都バス」の語呂合わせで記念日が決まったものと勘違いしていた。今考えると恥ずかしい。
そして、都バスのマスコットキャラクター「みんくる」が誕生したのも1月18日である。1999年、都バス開通75周年を記念し、一般公募により2457点の応募の中から、みんくるが選ばれた。
一方、9月20日は1903年、京都において日本初の乗り合いバスが運行を始めた日である。これを記念して「バスの日」が制定され、この時期は全国のバス事業者がイベントを行ってきた。
交通局も、毎年9月になると晴海客船ターミナルにて、協賛各社のバスの展示やグッズの販売を含めたイベントとして「バスまつり」を開催してきた。
2019年9月28日、私は都バスの国立がん研究センター(築地市場駅)停留所にいた。この日は「バスの日イベント バスまつり2019in豊洲&みんくる20周年アニバーサリー」が開催され、会場となる豊洲市場六街区に乗り入れるイベント当日限定の臨時バス「祭20系統」が運行された。晴海客船ターミナル以外の場所でバスまつりが開催される珍しさに加え、貸切運行ではなく「この日限定の路線」というのが新鮮だった。
祭20系統に乗車し、会場へ向かう車中では、お互い顔は知らなくても基本的にはバスファン(特に都バスの)が乗車していると思うと、何だか温かい気持ちになれた。イベントはみんくるやとあらん(都電のマスコット)、協賛各社のマスコットキャラクターによるショーなど、家族向けのものが多かったが、各社の最新鋭車両の内外をじっくりと観察することができるなど、バス好きの大人にも楽しめる内容だった。
今や大変な世の中になってしまった。バスの運転手はマスクを着用し、換気のため走行中も窓を開けている。飛沫防止の観点から、バスファンの間で人気のある最前列の座席も封鎖されて久しい。すぐには難しいとは思うが、イベントが再開され、臨時バスが運行される日が来ることを願い、あの日乗車した祭20系統のイラストを描いてみた。
都政新報(2021年2月2日号) 都政新報社の許可を得て転載
【参考資料】
・バスの日イベント バスまつり2019in豊洲&みんくる20周年アニバーサリーを開催します(2019年8月20日 東京都交通局 報道発表)