見出し画像

【東大生就活体験記④ 就活体験記〜人生のコンパスを形作る】

こんにちは、東京大学ピアサポートルームのキャリアチームです。
キャリアチームでは東大生が自分のキャリアについて考える際の参考にしていただくため、東大生の就活や進学選択に関する体験談を投稿しています。
今回は東大生就活体験記シリーズ第4弾です!



工学系研究科物理工学専攻修士2年、IT系企業(SIer)内定(職種:システムエンジニア)
主に見ていた業界:日系企業でIT系、コンサルティング

○いつ頃就活を始めましたか

卒論の執筆が終わった大学4年生の春休みから少しずつ意識をし始めました。就活を始めると言っても、最初は何から始めたらいいかも全く分からなかったので、大学のキャリアサポート室で面談をし、取り組むべきこと・スケジュールを明確にしました。本格的に動き始めたのは修士1年生の春頃だったと思います。

○どの業界を見ていましたか

IT系の中でも主に上流工程を担う企業を中心に情報を収集していました。「知識を取り入れながら顧客の問題解決を行いたい」という軸へと派生してコンサルティング業もチェックしていました。以前は国家公務員総合職を志望していたことから、行政など公共性の高い分野に携われる企業に興味を持ちました。

注釈:ITのプロジェクトは、顧客にヒアリングしながらシステム設計を考える「上流工程」と実際にプログラミングを行いシステムを構築する「下流工程」に分けられます。

○修士1年の時、何をしていましたか

修士1年4月〜就活解禁(修士1年3月)までは期間別に次のことに取り組みました。

修士1年春

4月:就活準備スタート
・就活情報サイトに登録
新卒用の就活情報サイト(3社)に登録し、情報収集を開始しました。気になる企業をフォローし、各企業の採用情報やイベント情報をチェック。情報が多すぎると混乱するため、自分が処理できる範囲に絞ることが大切だと実感しました。
・就職説明会に参加
東大キャリアサポート室主催の「就職説明会」に参加。就活スケジュール(インターンの時期や本選考の目安)や業界研究、ES作成など時期ごとのToDoを把握しました。大学や就活情報サイト主催の説明会に参加して、まず全体像をつかむことをおすすめします。

4〜5月:企業合同説明会に参加
様々な企業を浅く広く知るため、企業合同説明会に参加しました(大学主催と就活情報サイト主催のものに3回)。
・興味を持った企業については、個別説明会やWebページでさらに深掘りして事業内容を理解しました。

キャリアサポート室の活用
キャリアサポート室で1〜2か月に1回面談を行い、就活の方向性やペースを確認。専門家からのアドバイスを受け、効率的に進めることができました。
・同じ学科の同期とは志望業界が異なるため、IT志望の友人と情報を共有。自分と同じ業界を目指す人と交流することの重要性を感じました。

修士1年夏

6月:夏インターン準備
就活情報サイトで気になる企業をフォローしておくと、インターン申込のリマインドを受け取れるので便利でした。
・夏インターンのエントリーを15社に提出し、2社に合格。特にESや筆記試験を経験することで、本選考に向けた準備が整いました。

8月:夏インターン参加と反省
ITコンサル会社のオンライン5daysインターンに参加。コンサルやアジャイル開発の実践的な内容に触れ、業務への理解が深まりました。
・一方、早期選考では選考準備が十分でなく、落選する結果に。気持ちを切り替え、自己分析や企業研究に時間を割く必要性を痛感しました。

修士1年秋

面接練習と自己分析
・キャリアサポート室の練習会に参加
模擬面接やグループディスカッションを通じて、他者の良い点を学び、改善に役立てました。他の受講者や職員からのフィードバックも得られ、一人で練習するより効果的でした。
自分軸探しセミナー
「モチベーショングラフ」を作成し、幼少期から現在までのライフイベントを振り返り、自分の特徴ややる気が湧く環境を分析しました。この分析は会社選びの基準やES作成に役立ちました。

企業研究と説明会参加
春に知った第一志望企業の部署別説明会に参加。少人数の説明会で興味のある部署の詳細を知るとともに、積極的に質問をして企業理解を深めました。
・このような情報はES(エントリーシート)や面接での「志望理由」を具体的にする際に大いに役立ちました。

修士1年冬

OBOG訪問
選考対策というよりは「社会人と話す練習」「自分の視野を広げる」という目的で訪問しました。
・実際の面接に備え、敬語やビジネスマナー、メールでの予定調整などの練習にもなりました。

○モチベーションはどのように保っていましたか

私の周囲には、大学院卒業者向けの推薦採用の募集に集中している人や博士課程への進学を目指す人が多かったため、就職活動を共にする仲間がほとんどいませんでした。そのため、基本的に個人で進める就職活動となりました。ただし、一人で進める中でも独りよがりにならないように心がけ、サークルや学科の先輩でIT系企業に内定した方に相談や質問を積極的に行い、アドバイスをいただくよう工夫しました。また息抜きとして学部卒の同期に社会人生活の話を聞いて、社会人生活への理想を膨らませました。

○就活の軸は何でしたか

大きく三つありました。
まず、公共性の高い分野に携われることです。私は地方出身で、塾に通いづらい環境にありましたが、映像授業などIT技術のおかげで地方格差を乗り越え、大学受験を突破することができました。この経験から、地方活性化や社会全体の課題解決に貢献できる分野で働きたいと考えています。

次に、大企業であることを重視しました。多くの事業を展開する大企業であれば、多様なビジネスに触れる機会が得られ、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と関わる中で成長できると考えたからです。

最後に、環境です。私は情報系の学科出身ではなく、IT業界の経験もありません。そのため、助け合いながら成長できる環境が整っている企業を志望しました。未経験者でも学びながら力を発揮できる環境は、私にとって非常に重要な要素でした。

○悩んだことはありましたか

私は特にES提出・面接を行っていた3月-4月が一番悩みました。
初期の計画では応募した12社すべての選考が順調に進むことを想定していましたが、現実は異なり、ESの段階で半分以上が不合格となりました。この経験から、計画を緻密に立てつつも、状況に応じて柔軟に対応することの重要性を学びました。また、結果に左右されず、次の選考に集中する心構えも身につけました。

また、結果的に第一志望群の企業から内定を得ることはできませんでした。時間を割いて対策を行った分、第一志望の企業からの「お祈りメール」を受け取ったときは非常にショックでしたが、その経験が他の企業での成功につながったと感じます。「第一志望に落ちた=自分に合わない企業だったか単にご縁がなかった」という見方を受け入れることで、自分を責めすぎず、より前向きな気持ちで次の選考に挑めるようになりました。

○就活という経験で得たものはありますか

大きく三つあります。
一つ目は自己理解の深化です。就職活動を通じて、自分の価値観や特性について深く考える機会が増えました。特に、「どのような環境で自分の力を最大限発揮できるか」という点に対する理解が深まりました。例えば、第一志望の企業では緊張して実力を発揮できませんでしたが、その失敗をきっかけに「自然体の自分で働ける環境の重要性」に気づくことができました。完璧な企業は存在しない中で、各条件に優先順位をつけるのは悩ましい経験でしたが「自分の価値観」と向き合う、人生の中でも貴重な経験だったと振り返って思います。

二つ目は業界研究を超えた知識の蓄積です。業界研究や企業訪問を通じて得た知識は、単なる志望動機作りにとどまらず、業界全体の理解に繋がりました。この知識は、内定後の配属先選びや将来的なキャリア形成にも役立つと思いますし、社会人として責任を持って働く覚悟が身についたように思います。特に、異なる企業文化や働き方を比較することで、働く環境の多様性を実感しました。

三つ目は研究との両立を通して得た自己マネジメント能力です。就職活動と研究を両立する中で、限られた時間を効率的に使うスキルを身につけました。特に、優先順位を明確にし、計画を立てて実行する力が向上したと感じています。これらの経験は、社会人としての時間管理やタスク遂行能力に活かせると考えています。

○後輩の皆さんにメッセージをお願いします

就活はゴールではなくスタート地点です。私は就活を通してIT業界を深く知り、自分の夢を叶えていく未来像を、朧げながら描けました。就活で築いた人脈や知識を基盤にして、将来的な目標達成に向けて努力を続けていきたいと思います。
就活の経験を通じて培った自己分析能力や柔軟性は、社会人になってからの課題解決やキャリアアップにも活用できると感じています。たとえ新卒で入った会社を転職することとなっても、就活を通して見えた「自分軸」は今後の人生で悩んだときにコンパスのような存在になってくれると思います。これから就活に挑むみなさんは、ぜひできる限り真剣に自分と向き合って納得のいく形で主体的に将来を決めていってほしいです。応援しています!

執筆日 2025年1月6日


東京大学ピアサポートルーム
 ウェブポリシー https://ut-psr.net/regulations/
 WEB https://ut-psr.net/
 ぴあサポメルマガ https://ut-psr.net/mail-magazine/
 X @utpsr
 柏キャンパスX @utpsr_kashiwa
 駒場キャンパスX @utpsr_komaba
 Instagram @ut_psr
 note https://note.com/utpsr


いいなと思ったら応援しよう!