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ミニレクチャー②「アサーション」

 東京大学相談支援研究開発センター/ピアサポートルームは、東大の構成員が長期休暇中の生活リズムを維持しながら運動不足を解消し、また健康的に新学期を迎えるために、2022/2/14〜3/24の平日にオンラインエクササイズというプログラムを開催してきました。
 ヨガやピラティスのLIVE配信など曜日ごとにメニューは異なり、木曜日には相談支援研究開発センター等の先生方による、健康に関するミニレクチャーが行われました。その内容は非常に参考になるものであったので、今回はミニレクチャーの要約とピアサポーターの感想を公開します!
 今回は2月21日に行われた、学生相談所の藤原先生による「アサーション」というテーマでのミニレクチャーの紹介です!

レクチャー内容の概要

1.アサーションとは
 自己表現には様々な型があります。
 まずは「非主張的自己表現」 。自分を大切にせず、相手の気持ちや利益だけを優先する(したつもりになる)自己表現です。例えば、

・心当たりがなくてもとりあえず謝ってしまう
・気の進まない誘いなのに応じてしまう
・褒められると「そんなことない」と謙遜してしまう

というのは、非主張的自己表現に当てはまります。

 次に「攻撃的自己表現」 。自分の気持ちや利益だけを優先し、後味が悪かったり孤立につながってしまったりする自己表現です。例えば、

・相手の事情を聞かずに一方的に判断する
・年下や立場の弱い人をいじってその場を盛り上げる
・無視する、嫌味を言う

というのは、攻撃的自己表現に当てはまります。

 そして「アサーション」 。自分の表現したいことを大切にしつつ相互尊重の態度でコミュニケーションを行います。そして表現したことの結果を自分なりに引き受けます。例えば、

・頼む/頼まれる場面ではお互いにとって納得できる着地点を探す
・感謝・提案・抗議など、自分なりに相手を尊重しながら自分の言いたいことは伝えてみる

というのが、アサーションに当てはまります。

 これらの自己表現の型は、一人がどれか一つに当てはまるのではなく、同じ人でも複数の自己表現を使い分けているといいます。
 アサーションを行うことで、自分は自身の気持ちや表現したいことを大切にした満足感があり、相手は、尊重され、率直にふるまってもらったという気持ちになります。

2.アサーションの例
 まずは、アサーションの例をいくつか見てみましょう。

【場面1】
 就活中の友人から「エントリーシートに何書いていいか思いつかない!相談に乗って!」とLINEが届きました。あなたにとって大切な友人ですが、あなた自身も明日がインターンの初日で緊張していて、友人の相談に乗る余裕がないと感じています。

〈アサーション1〉
「連絡くれてありがとう!
 私もエントリーシート書くの苦労してるからわかるよ。ぜひ手伝わせて!
 ただ明日からインターンで緊張してて余裕がないんだよね。
 明日の夜ゆっくり時間取らせてもらえると思うんだけどどう?」

【場面2】
 あなたはオンラインのゼミに参加しています。回線の不調で、次回のゼミの内容について先生が説明していた部分を聞き漏らしてしまいました。

〈アサーション2〉
 「恐れ入ります、先ほど回線の不調で先生の説明を1分ほど聞き漏らしたようです。差し支えなければもう一度説明していただけないでしょうか。」

 以上の例では、自分の気持ちや考えを、相手と自分を相互に尊重しながら表現しています。
 それでは、実際の場面でアサーションを行うには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。

3.アサーション実践のポイント
 アサーションを難しくしている要素には、自分なんか気の利いたこと言えないし無視されて当然といった「自虐の罠」 、常に空気を読んでその場から浮かないことが大切だと思っていて「自分がどうしたいかわからない」 こと、頼みたいけど断られるのが怖いといった「『伝えること』への不安」 、伝えたいことがあるのに適切な言葉が浮かばない「スキル不足」 などが挙げられます。

 私達は「どんな内容をどうやって伝えるか」と考え過ぎて、時折「自分はどうしたいのか」を二の次にしてしまうことがあります。まずは自分の思いや考えを大切にしましょう。

 アサーションでは、「経験が増える」 と「自分の希望がわかる」 、そして「自虐が薄らぐ」 から「不安が軽くなる」 、さらにまた「経験が増える」 …… という好循環に繋がります。これらの要素は相互に関連しているため、必ずしもこの順序にこだわらず、始めやすいところからで構いません。今回のレクチャーでは、特に「経験が増える」ところに着目します。

 経験の増やし方として、まず挙げられるのが「語彙を増やす」 こと。 知らない言葉はとっさに出てこないものです。そして「おまけの一言を付け加える」 こと。挨拶や感謝、褒め言葉を、いつもの会話に一言足してみるだけで相手の反応が変わるかもしれません。言葉で表現することが苦手な時は、「言葉以外」 でもOKです。表情やスタンプなども活用できます。また、「うまい人を観察」 して振る舞いを真似してみたり、「うまくいったパターンを記録」 して励みにしたりするのも方法です。

 今回のミニレクチャーは、身近なところから実践できるアサーションについて知る機会となりました。
 以下、参加者とともに受講したピアサポーターの感想です。

感想

・アサーションという言葉を初めて知った。どこから始めてもよい循環になるとのことなので、積極的に「おまけの一言」を言ってみるなど、経験を増やしながら自分らしい表現を見つけていきたい。

・どうすれば自分の気持ちや考えを伝えつつ、相手も尊重する表現ができるか、普段から悩んでいたので、とても勉強になった。

・「どうしたい」か、「何を伝える」か、「実際にどう言う」かに分けて考えるという視点が勉強になった。

・「語彙を増やす」という点は一見当たり前のように思われるが、ただ語彙を知識として保持しておくだけでなく使うシチュエーションも意識しておくと良さそうであることが分かった。

・一人の自己表現の型が「アサーション」、「非主張的自己表現」、「攻撃的自己表現」のどれかに当てはまるのではなく、それら全てを場面によって使い分けてきている、と言う点がとても重要だと思った。私自身は相手を優先して自分を大切にしない非主張的自己表現に陥りやすいと考えるため、攻撃的自己表現まで行きすぎずに上手く自分の言いたいことを伝えられることを増やせると良いのかなと思った。

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