tacica live 2023 『集う鹿』 感想 ライブのみ
はじめに
tacicaのFCサイト「鹿の仔」会員限定のイベント。2021年以来2年ぶり2度目の開催となった本公演。前回と同様に公開収録のラジオ「喋る鹿」が17時半スタートの18時まで。その後インターバルを挟み、ライブ。こちらのライブは事前に楽曲のリクエストもあった。
感想① 登場
横浜アリーナではアイドルのライブがあるとのことでものすごい人だかり。その少し離れた場所にあるのがNSB。2022年のdear deers以来の来訪。
ここにいる全員が鹿の仔だと思うと普段は一体何処に潜んでいるのか。
今回は特典付きのチケットがあり優先入場、限定チケット、メンバーとの撮影会というプレミアもの。10名限定という高い壁には阻まれたものの2桁番号での入場。前列2番目を確保。
ほぼ定刻通りに登場。まずはラジオ「喋る鹿」公開収録からスタート。いつものジングルが鳴り響く中メンバー登場。ここから先はいずれ公開されるであろう会員限定のラジオで是非。中々に楽しい企画が沢山で30分というのは短すぎた。
(と言いつつももしかしたら感想書くかも……)
その後インターバルを挟み、ライブへ。
今度はいつものseが流れるなかの登場。ドラムの小気味の良い音から始まり、
という歌詞からこのライブを盛り上げる意気込みを感じられた。手拍子も一体感があって気持ちが良い。
お次は前回も2番目に演奏された贅沢な蝋燭。
5枚目のシングル曲「命の更新」のカップリング曲。前回の集う鹿以来の演奏だと思われる。
彼らの活動宣言のようにも思える歌詞。環境や体制は色々変化してしまったけれど、根っこの部分はきっと変わってないのかなと勝手に思ったり。
感想② 動揺してた猪狩さん
猪「さっきまで動揺してましたが、切り替えられました。最後までよろしく」前半のラジオで思わぬ質問が出てきて少したじろいでいたという猪狩さん。
動揺してたのかと思うくらいの演奏でしたが。
短いmcを終えるとギターの音色と共に青いライトが照らされて群青が始まる。収録されてるアルバム新しい森がリリースされたのもちょうど夏頃。いわゆる一般的な盛り上がる夏ソングという感じではないが、夏が終わるときの憂鬱感というか孤独感というような所謂ネガティブな感情が溢れる。しかしながらそれを受け入れなければならないという葛藤。現実を突きつけられる。
サビの部分の歌詞を猪狩さんはわざとなのか間違えたのか、上がって下がる毎日と体温がごちゃ混ぜに。
そして、最新曲ナニユエ。
初聴は猪狩さんのfadでの弾き語り。次はビルボードの4人編成。そして今回と、全てバージョン違いで聴くことが出来ている。気付けば唐突なリリースから3ヶ月経ち、ビルボードからも1ヶ月経っている。森田さんの生のピアノとコーラスは無くて寂しいものの録音されたものでもその存在感が際立った。また是非4人での曲を作って欲しい。
感想③ リクエスト
猪「事前にサイトでリクエストのアンケートを取りました。その上位5曲をやります。途中経過を見てたんだけどさ、頼む"mori"入らないでくれって願ってた」
中「moriね」とイントロ部分をちょろっと演奏。
思わず歓声が。
猪「まあ、取り越し苦労だったんだけど。あとみんなもうオオカミは飽きたんだなって思った」
かくいう私もmori、刹那、Fool's Goldの3曲に投票してたので期待をしてたのだが……。
小「俺も途中経過見てたけど、前回トップの曲がまさか……ね」
猪「投票0もあったしね」
中「そんなこと言わなくていいの!」
そんなmc明けからは予告通りのリクエスト曲スタート。まずはCo.star。誤解を招くかもしれないがtacicaにしては正統派なロック曲。熱望されていた曲ということ、またそのサウンドで会場は盛り上がる。
2曲目は久しぶりのLUCKY。聴きたい曲がトップ5まで選べていたら入れていた曲。生で聴くのは実は初めて。中畑さんのドラムサウンドに五感全てを持ってかれる。アウトロのいつ終わるんだろう感も楽しめた。セッションも声を上げる遺伝子のところも本当に聴けて"ラッキー"。
小「久しぶりにLUCKYやったけど速いね」
猪「僕ら史上最速…….なんですよね?」と中畑さんをチラリ。
中「mori」
猪狩さんが思わず顔を覆う。
猪「またmoriかぁ……」
中「mori速い……」
猪「moriの次に速くてBPMが192なんですけど、練習では200でやってて、その甲斐ありました。でもちょっと休憩したいね」
小「Co.starもLUCKYも久しぶり。中畑さんやったことありました?」
中「あるよ。なんならリクエストしてた。演奏するの大変だけどやりたい。演奏するのはすごい大変だけどやりたい」と2回繰り返す。
猪「moriとどっちが大変ですか」
中「moriは数えるの大変。頭の中がグルグルグルーってなる」
猪「僕もmoriやるときは無になるんですよ」
中「演奏中誰も目を合わせないもんね。始まったらおしまいまでずっーと」
猪「躓いたらもう終わってるんだよね」
中「濁流だから」
猪「moriという名の濁流」
小「何か色々moriがくっついてきますね」
猪「……そうですね」よそよそしい感じで返事。
ちなみにmoriのbpmは200らしい。
感想④ まだまだリクエスト
リクエスト曲はまだ続く。
アコースティックに持ち替えて奏でられるは1枚目のアルバムに収録されているsilent frog。もう15年も前の曲。今の自分よりも若い当時のメンバーがこれを作っていたと考えると、頭の中を覗きたくなる。
先程まで話題に上がっていたLUCKYやmoriのような激しい曲ではないが、これもtacicaだというようなサウンド。
続く曲も大分久しぶりな気がした。先にも書いたが、新しい森のリリースが夏頃だからか、何だかこの曲も夏を思わせる。群青よりももう少し明るめではあるが、諦める喉という不穏なワードと最長のタイトルには当時驚かされた。ラスサビの部分で猪狩さんが歌に躓いていたのでまさしくだなと思い、心配になってしまった。
群青が陽が落ちた後〜日が昇るまで。こちらは朝陽が昇った瞬間から昼間くらいまでのイメージがある。
暗転したステージからモールス信号の音が先行するlatersong。裸の特異点で演奏された際には思わず驚いた。もしあの場で聴けてなかったらこの曲もトップ3に組み込んでいたであろう。小西さんのコーラスも素敵。ライブ終了なんじゃないかと思わせるような圧巻のラストだった。もちろんまだまだライブは続いた。
感想⑤ 恒例のグッズ紹介
小西さんがここでベースを置いて、代わりにグッズのパネルを持つ。
小「配信の方見えてますか?……まぁ返ってこないですけど」と最初から語録が炸裂。
「シャツを作りました。身幅が広いんですよ。ゆったり着れる感じです」と実物を見せるものの
「まぁ分からないですよね」と本当にグッズ紹介なのかと思ってしまう。
「ポーチはsomething inって名前なんですけど……、何でも入ります。女性なら化粧ポーチでも。男性ならイヤホンとか。ちょうどいい大きさなんで。ちょうどいいサイズです」
「ブログでも度々話題に出てるナニユエ君の……。ド忘れした何だっけ」
中「アクリルスタンド」
「あっ、アクリルスタンド作りました。ラジオでずっと言ってたのに作らないのもアレかなと思ったので」
小西さんが実物を見せながら、
「この台座に挿してドンッみたいな」と笑顔で満足げに紹介。
そして、今回FCサイトの企画で挑戦したというタフティングの作品をここで披露。その模様は後々FCサイトで公開されるとのこと。小西さんのデザインセンスが炸裂していた。そんな作品を見て中畑さんがかわいいねと呟く。
小「何か見てたら愛嬌ありますよね」
中「小西くん程じゃないよ」
そんなグッズ紹介を終えて。
猪「小西、ポーチはね、男性でも化粧品入れてもいいし、女性でもイヤホン入れてもいいんだよ」
小「確かに。そうだよね。今は。やっちゃった」
中「面白かったね。何に対してちょうどいいのかね。どんな大きさだっけ?」
小「ちょうどいい大きさです」
猪「嵌めてどうなるんだっけ?」
小「ドン!」
猪「ペラッペラだけどね」
中「何かすごい責任感じてるよ」
猪「中畑さんが育てた小西です。中畑さんのナニユエくんです」
中畑さん大笑い。
中「可愛いねー」小西さんに手を振る。
小「ありがとうございます」
喋る鹿をこなしているからか全員なんだか段々と饒舌になってきている気がした。
感想⑥ まだまだ熱気は続く
曲やりまーすとグッズ紹介の余韻が残るなか、歪な音が響く激アツのアロン。小西さんがベース持ち替えていたのだが予想出来ていたが、やっぱりこのサウンドは痺れる。先月7日に横浜であった対バンでも聴いていたが今回も衝撃を受ける。中盤の中畑さんのドラムソロからの猪狩さん、小西さんのコーラスはツインボーカルのようにも思える。
特徴的なギターの音から始まるのは公式で先行的に公開されていた某鬣犬。思い返せば昨年のちょうどこの時期に行なっていたsingularityツアーのときもアロンから某鬣犬の流れだった。サビのがなるような遠吠えにも似た猪狩さんの声にやられる。小西さんも割とこの曲のときは動き回っている感じがした。
猪狩さんがordinary dayという曲をやりますと宣言してからの演奏。ここ最近、ordinary dayをやるときは宣言してから演奏することが多い気がする。以前イベントの際に曲の紹介をするのは苦手と語っていた猪狩さんだが、この曲に関してはこの状況で変化したのか。何でもない日。この日は特別な日だったが、他の人からすれば何でもない日なのかもしれないし、逆に何でもない日なんてないのかもしれない。毎日は毎日同じとも言えるし、違うとも言える。
それに纏められている気がした。
猪「リクエスト曲はlatersongが人気だなと」
小「LUCKYが食い込んできたね」
中「でも僅差なんでしょ」
猪「はい。後日トップ10まで発表されます。中々自分達では組まないセットリストでした。集う鹿の醍醐味かなと」
勝手に鹿の仔のテーマソングにした曲をと紹介でdear,deer。
前回の集う鹿ではこの曲のmvを会場で見るというイベントがあり、あれから2年かとしみじみしてしまった。この2年間でこの曲も何度か聴いてきたが、CD音源よりも猪狩さんが語りかけるように歌われるので五臓六腑に染み渡る。
この歌詞で本編は終了。
感想⑦ アンコール
メンバー再登場。猪狩さんの手には何やら資料が。
猪「ありがとう。配信見てくれてる方もありがとうございます。布ステッカーをまた作りました」
大きな拍手と歓声が。この布ステッカーも前回以来2年ぶり。
猪「こんなに喜んでもらえてありがたいです。
えっーと。どうやって言えばいいんだ」と言葉に詰まる中、中畑さんがドラムロールを鳴らす。
猪「ニューミニアルバムYUGEが出ます!それに伴うツアー"物云わぬ物怪"というタイトルで6公演やります」
会場が今日一番の大盛り上がり。小西さんも手を叩く。
CDは会場限定で配信はツアー最終日の翌日からとのこと。
猪「配信は迷ってて。本当は早く聴きたい人もいるだろうし、好きなバンドだったらモノで欲しかったりするし、初日前からやってもいいんじゃないかって思ってたんだけど……、僕がスケジュールをミスってしまって……。なので……ごめんなさい」申し訳なさそうにしていた。
「今日から鹿の仔先行抽選開始なので、みんな全員お願いします」と強調。じゃあ小西が喋りますとバトンタッチ。
小「配信も今日あるので、配信見てくれる方もありがとうございました。実はスタンプもあってナニユエくんとかロゴとか。いわゆる課金してもらってて」
中「応援して貰ってでいいんだよ」
猪「不思議と課金がお金と繋がらないよね。欲を感じないよね」
来てくれてありがとうとアンコール1曲目はオニヤンマ。昨年結成記念日に行われたイベント祝う鹿以来。
タッ!タッ!タッ!タッ!の優しい声が印象的だった。
この歌詞、tacicaだなと思った。解らないなら解るまで考えようとか行動しようとかではなくて解らないことを言えるだけでいいと肯定してもらえるような。
そんなオニヤンマからの自然な繋ぎでまさにタイムリーな熱帯夜。
そんな言葉通り熱い夜は静かにも熱を持ちながら終了した。
セットリスト
コオロギ (sg.黄色いカラス)
贅沢な蝋燭 (sg.命の更新)
群青 (ep.新しい森)
ナニユエ (sg.ナニユエ)
Co.star (al. HOMELAND 11 blues)
LUCKY (al.LOCUS)
Silent Frog (al.parallel park)
諦める喉の隙間に新しい僕の声が吹く(ep.新しい森)
latersong (al.panta rhei)
アロン (al.singularity)
某鬣犬 (al.jacaranda)
ordinary day (sg.ordinary day)
dear,deer (al.dear,deer)
en.オニヤンマ (sg.人鳥哀歌)
en.熱帯夜 (ep.Human Orchestra)
終わりに
FC会員限定でリクエスト曲の応募も事前にされており、公式からもレア曲のオンパレードと告知されていたので期待値を高めていた。が、いともかんたんにそれを超えてきた。リクエストされた曲はもちろんそれ以外の曲も久しぶりな気がしたし、何よりもメンバーも楽しまれているのがこちらにも伝わってきたのが何より嬉しかった。またやりたいと仰っていたので、こちらも全力で応援して次回を待ちます。
そして、YUGEと物云わぬ物怪ツアー、恐らくこれが今年最後のワンマンになるだろうので参加したい。
個人的にこの数ヶ月、精神的に色々疲弊していたのだけれど、少し勇気、元気をもらえた気がした。ありがとう以外の言葉が思い浮かばない。tacicaに生かされているなと思う日々。
また、今回有志でお花をお送りする企画にも参加させていただいた。この場を借りて感謝を述べさせていただきます。ありがとうございました。