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猪狩翔一 oneman live “単独飛行vol.3”中国地方編 岡山 城下公会堂

 tacicaのGt. Vo.を務める猪狩翔一の弾き語りワンマン。昨日の広島から引き続きの2日目。
雪は流石に降らなかったが、途中雨に降られた。
流石の雨男ぶりを発揮。 


 感想① オープニングトーク

  前日のヲルガン座とは違い、椅子が等間隔に設置されていた。中は割と広めに感じられた。前日は最前列だったこともあり、また帰りの新幹線にも乗り遅れないように最後列で観覧した。
珍しく子供連れのお客さんもいた。

 ドリンクは2種類の限定フレーバーがあった。

限定ドリンク
晴れの国岡山青空ソーダ

 開演1分前くらいに猪狩さんが客席を横切ってヌルッと登場。気づかないお客さんもいたようで、拍手のタイミングも遅れていた。

「こんにちはー。今日は気合い入れて、たぬきちのパーカー着てきました」
 
 最近発売された愛犬たぬきちの服。tシャツ、パーカー、パンツの3種類が発売されているが、残念ながら現在は品切れとのこと。売上の一部は愛護団体への寄付もされているとのこと。
 
 やります、と始められたのは昨日に続いてwondermole。mole、つまりモグラ。tacicaにはありふれている動物曲。
或いは…と続けられるフレーズに聴き入り、それに続く言葉は何だろうかと想像を掻き立てられる。
 
 演奏中に度々、子供の声が聞こえていた。
「今日は子供もいるんですね。あの、皆さん多大目に見てあげてください。楽しんでいるみたいなんで」
さすが、一児の父! と思わされる。個人的には子供の時にライブに行けるなんて、なんて羨ましいのだろうかと思ってしまう。
 
 お次はぼくら。前日とはセトリ変更。
弾き語りでは随分前から演奏されていたけれど、バンドとしては割と最近発表された曲。
最後の声の伸びが素晴らしい。
 
 「怪談の動画好きでよく見てる。金曜日に岡山入りしてホテルに着いたんだけど、夜に怪談動画を検索してたら、サムネイルから面白そうな動画を見つけた。
でも、ホテルでは見ないようにしてて。ホテルの話とか結構怖い話とかあるし、寝れなくなっちゃうっていうことがあるから。
でも、気づいたら再生ボタン押してて結局見ちゃいました。案の定眠れなくなっちゃった」
でも、今日はちゃんと寝てきたんで。とフォロー。

 そんなmcの後にはデッドエンド
争い事や〜の最初の"あ"からもう力強さが漲っている。それなのにサビではそれ以上の力強さで畳み掛けてくる。最後の最後まで力強さを見せつけた後、ありがとう、という言葉で締められた。

 感想②神社属性

 「ホテルに飾られてる絵の額縁の裏って見ますか?」
曲終わりに唐突に会場へと問いかける。
「昔、見た時に1回だけなんですけど、お札が貼られているのを見つけてしまって。本当にこういうことあるんだって思ってそこから怖くなって見てません。あの絵を飾っているのってさ、誰のセンスなんだろうね。めちゃくちゃ有名な絵が飾ってあるわけでもないし」
確かに、と思っていると、
「あっ、みんなに引っかかるように出来てるのかな。誰でも見られるみたいな」
と自己解決していた。

 昨日に続いて4曲目はゼンマイ

 命を知ってしまった→自由を知ってしまったと歌詞を変えていた。前日も確か違っていた。
猪狩さんの詞にはよくヒーローという言葉が出てくる。いわゆる誰も彼も救うようなスーパーヒーローとかではなくて、自分の周りの数人を助けてくれるようなヒーロー像という感じがする。

 5曲目は前日と変わらずordinary day。たった1人でたった1本のギターでの演奏のはずなのにどうしてか、何人かで演奏、歌唱しているように錯覚する。

「神社属性っていうのを調べられるサイトがあるんだけど、調べたら東京で相性の良い神社が深大寺だった。幸先詣もここ数年ずっと行ってるし、普段からもわりと好きでよく行ってるから、凄いなと思って知り合いに話したら、『普段から深大寺のこと検索してるからじゃない?』って言われた」
ああ、確かに。と猪狩さんと同じように納得してしまった。

 「厄祓いとかって皆さんどうしてます? 役者は"役"を払うから行っちゃ駄目とかあるじゃないですか。字は違うのに。僕も役者なので……」
ちらりと観客を伺うも反応はなし。
「今、ボケました……」
思わず自己申告をする猪狩さんに会場からの笑いが届けられた。
「厄祓いも深大寺に行ったんですけど……。結局行ったんかい! って感じなんですけどね」
ボケの後はノリツッコミもかます。mc力が最近磨かれてるなー笑。

  感想③モンブランで注目される2人

 こちらも昨日はやっていないが、割と弾き語り定番の曲のハイライト

同じ僕なのに 同じ音色の日は 二度とは来ない

 2日続けての公演でもどこか違う。今までと全く同じ日ってきっと無いのだろう。
 
 「ら・む〜マートってあれ何? ちょっと気になってます」
途中にあった店のことが気になっているとのこと。すると、観客の方から小さいスーパーとの回答が。
へぇー、と猪狩さんがうんうんと頷いていた。
調べてみると岡山のみにあるコンビニ型ミニスーパーとのこと。規模は違うかもしれないが、関東でいう「まいばすけっと」のような所なのかもしれない。
 
 mcは再び深大寺の話へ。
「深大寺に知り合いと行った時に、近くにカフェが出来ていて、2人でそこに入った。平日にも関わらず結構混んでて、いわゆるママ友会みたいなのが開かれていた。モンブランが美味しそうだったから頼んでみたら、銀の台車に載せて持ってきて、そこで絞ってくれたんだよ。あのラーメンみたいなクリームを」
 ラーメンみたいという言葉で分かってしまうのが悔しい。昔、北海道に行った時にモンブランを頼んだら同じようなことがあったなと思い出した。
「そんなおじさん2人をさ、ママ友会の人たちがめっちゃ見てくるんだよ」
 確かにそんな絵面だったら少し気にしてしまうかもしれない。
  
 お次の曲は荒野を行く。愛犬たぬきちとの散歩時に作られたというこの曲。以前、たぬきちのことでならいくらでも曲を作れるというようなことを語っていて溺愛具合が伺える。
それにしても猪狩さんの歌は一音、一言がはっきりと聴き取れる。
ラストに荒野を行く、と歌い終えると少しの余韻の後に、ありがとうと締めた。

 感想④ アルバム期待曲たち。

 「hoshiotoの主催者に広島、岡山で弾き語りやりたいんですけど良い場所知ってますか? って聞いたら3秒くらいで返信が来た。それでヲルガン座と城下公会堂を選びました。単独飛行は僕が行きたいところに行くようにしていて。広島、岡山を2日続けてやったら面白いなと思って今回やりました。
hoshioto良いんで是非。……今年出ないですけど」
 今年も出演していたら恐らく参加していたのになーと少し残念。
 
 未発表曲、夢中。これも次のアルバムに入るのかなと思っている曲。バンドセットでのアレンジが今から楽しみ。
特徴的なメロディ、優しげな音ではあるものの歌詞は何処となく不穏さを醸し出す。
 
 ネバーランド物云わぬ物怪、と未発表曲が続けられる。
ネバーランドは純粋だった子供の頃を思い出させてくれる。何でもないことの方が覚えていられることは人間賛歌でも歌われているが、もっと懐かしむような気持ちが大きくなる。 
物云わぬ物怪はフレーズが繰り返されて歌われる部分が印象的。物怪というタイトルからは考えられないゆったりとした曲。しかし、どこかおどろおどろしい何かを感じる。
 
 「この時期って割と体調が悪くなりがちで。花粉のせいとかもあるんだろうけど。それで小麦粉を断つと良いって聞いて。最近、グルテンフリーとかよくあるし。だから小麦粉断ちをしようと思った矢先にベーグルにハマってしまった。ベーグル今まで嫌いだったわけとかでは無いんだけど、美味しいベーグルに出会って。小麦粉断ったらパンとかパスタとかも食べられないんだよね。やっぱり無理だなぁ。
小麦粉じゃなくて米粉で作るパンとかあるじゃん? でもそれって餅だよなとか思っちゃうんだよね」
 小麦粉断ちの難しさをしみじみと語っていた。個人的にも小麦粉断ちは絶対に無理。好きなものは大体小麦粉を使ってるので。

 感想⑤ ラスト

 ゆったりと始められたのは大陸
"吠えるの"が本当に吠えているかのような歌声を響かせる。文学的と呼ばれるtacicaの歌詞、この曲もまさしくといったところ。
 
 不死身のうたのイントロでテンションが爆上がり。昨年弾き語りver.で初披露されてから虜になってしまった。柔らかく演奏されてからの転調。そして相反する歌詞。ドドドっと押し寄せてくる音の波にやられた。
他の方の書き込みでハープっぽいという言葉を見て深く同意した。

 最後に1曲、どうもありがとうと締められたのはやはりダンス。昨日のホワイトランドは本当にサービス曲だったらしい。もちろんダンスも大好きな曲ではあるが。
ギターの音が最後まで心地よく響いた。一瞬の間があって会場から大きな拍手が贈られた。

  感想⑥アンコール

 讃えるような大きな拍手がいつの間にかアンコールを求める手拍子へと変わる。猪狩さんは焦らすように頷きながらこちらを見ていた。
それに応えて、やりまーす、と言って再びギターを手にした。

 「今みたいに、誰に何も言われていないのにリズムが合っていくことをメトロノーム同期って言うんだけど。それを最初に発見した人は別々の振り子がいつの間にか同じ動きになっていて、気持ち悪って思ったのが始まりみたいですよ。
でも、そういう怪奇的なことってどんどん解明されていくんですよ。この間YouTubeで見た霊能者の人曰く、幽霊とかもいずれ誰でも見えるようになるみたいですよ」
  
 最後だからか、外に出ていた子供連れの方も再び会場へ戻ってくる。
「子供も戻ってきたね。あと1曲だけやります!」
夏の曲だけど、そう言って演奏されたのは
Silent Frog

昨日は何処で何をしたのだろう
思い出せない今日が素敵

 まさしくな歌詞。昨日は広島公演があったけどそれを塗りつぶすような岡山公演。

眩しい愛しい事 その全部
忘れる度に覚える

 そして、その事を忘れるけれどその度にまた覚えていく。

 最後は拍手で送られながら客席を横切って退場していった。
余韻を堪能したかったが、新幹線の都合で猪狩さんが退場してすぐに会場を出て駅を目指した。
慌ただしく去ってしまったが、充実感のあるライブだった。

 セトリ

  1. wondermole

  2. ぼくら  ←(私服の罪人)

  3. デッドエンド ←(冒険衝動)

  4. ゼンマイ

  5. ordinary day

  6. ハイライト ←(ディスコード)

  7. 荒野を行く ←(ナニユエ)

  8. 夢中 ←(ネバーランド)

  9. ネバーランド ←(LEO)

  10. 物云わぬ物怪  ←(aranami)

  11. 大陸  ←(人間賛歌)

  12. 不死身のうた  ←(物云わぬ物怪)

  13. ダンス

  14. en. Silent Frog  ←(ホワイトランド) (馬鹿)

 広島よりも1曲少ない14曲。(広島のホワイトランドはボーナス的なアレだったが……)
セトリも大きく変化していた。基本的に弾き語りの時はセトリを決めていないと以前語っていたので、次は是非こちらからリクエストが出来れば良いなと思う。

 さいごに

 初の2日間、名実ともに初の単独飛行。猪狩さんは進化し続けているなと思わされた2日間だった。きっとまた今年ももう1回くらいは単独飛行がありそうな予感がする。
 一方で小西さんも他のアーティストのサポートを行っており、各々が力をつけている期間なのかもしれない。
 今年はアルバムリリースが予告され、来年2025年は記念すべき結成20周年を迎える。
 中国地方の単独飛行を終えた猪狩さんの次なる飛行とtacicaのこれからを楽しみに首を長くして待っている

 

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