TIMELINE for “parallel park” 東京キネマ倶楽部 感想
はじめに
1st album 「parallel park」再現ツアーのファイナルを飾るのは東京キネマ倶楽部。ここ数年は東京といったらここ!というぐらいの頻度となっている会場。
チケットsold outという人気ぶり。
感想①ファイナルかつ初日の気分で
16時半開場で入れたのは17時頃。前から5列目くらいを確保。その後も続々と入場され、スタッフがもう少し前に詰めるよう、しきりにアナウンスをしていた。
17時半ピッタリにメンバー登場。
今までのどの会場よりも恐らく大きい拍手で迎えられる。
ヌーの休日から始まりゼンマイへとCD音源のように繋いだ後には人間1/2が続く。今回の人間1/2はストロボがバチバチに焚かれたり御三方の演奏も爆発していて歓声が上がっていた。特にラスサビ前のアレンジは悲鳴にも似た歓声が上がっていた。最初からクライマックスかのような盛り上がりを見せる。
猪「TIMELINEファイナルです。……ファイナルのつもりで今日は来ました」
小ボケに思わず笑ってしまう。
猪「TIMELINEはセトリが同じだから、鮮度感と薄い気がするけど……だから初日のつもりでやります。最後までよろしくお願いします」
猪狩さんの言葉、矛盾しているけれど気持ちは物凄くわかる。
感想②ガンガン演奏
曲やりますとの宣言からは黄色いカラス。
歌とギターが同時に始まる疾走感が心地よく、カラスが空を飛び回っているような雰囲気を感じられた。また、その名の通りに黄色の照明がステージを照らしていた。
続くサカナヒコウはミドルテンポの曲でここで一度クールダウン。空を飛行するかと思えば今度は海に。猪狩さんの声の伸び方に圧倒。
サビでパッと華やかに照明が照らされるのが印象的だったウソツキズナミダ。cメロのウソツキズナミダ 鮮明にと繰り返すときに観客を見ながらうんうんと頷く猪狩さんにやられた後に、中畑さんのドラムが入ってくると今度はその格好良さにやられた。曲としてはどちらかというと爽やかな感じがするけれどライブで聴くと格好良いが勝ってしまう。そんな余韻に浸る暇もないほどに次曲バクに続く。
今回ストロボこそ無かったもののやはりこの曲の熱量は強い。小西さん、中畑さんのコーラスも冴え渡っていた。2番初めの猪狩さんのブレスも大胆。小西さんも客席の近くまで歩み寄ったり、ベースを高く掲げたりノリノリで演奏。
僕だけの庭 の後にマイクからわざと離れてもう一度、僕だけの庭と発する。
あんな激しい演奏から一転、ピタリと音が止んで猪狩さんのありがとうで終わった。
感想③大事な話・くだらない話
ギターをチューニングしながら曲へ行くかなと思いきや猪狩さんがちょっと喋っていいですか?
とMCを挟む。ステージの照明は猪狩さんにのみ当たった状態で進む。
猪「あ、別に大事な話とかじゃないですよ」
先に断っておいて話を続ける。
猪「大事な仕事とか話とか今日終わったらスーパーで買わなくちゃいけないものとか。皆、多分そういう事がSNSとかニュースとかで色々入ってくると思うから。このステージ上ではくだらない話をしたいなって最近思うようになってきています。
今日のMC何話してたんだっけ? となるぐらいの。この後ある小西の喋るパートとか忘れた方がいい」
小「爪痕残そうかなって思ってたけど」
猪「爪痕残そうかな、じゃないんだよ。後、暗くてちょっと怖い」
猪狩さんにしか照明が当たっておらず、小西さんは暗闇の中にいる感じになっていた。
Silent Frogという曲を、と紹介してから再び演奏へ。
覚えていないくらいくだらない話をしたいと言った後にこの一節が来て笑ってしまう。
8th album収録の「人間賛歌」の歌詞にもあるようにくだらない話とかなんでもない話の方が思い出に残っていたりする。世間一般から見ればライブなんてきっとくだらないことのように見られているだろう。でも私にとってはそれが生き甲斐と言ってもいいほどのものであるし、大切なものだ。そんなくだらないものが案外支えになっていたりする気がする。
閑話休題。
終盤のサビ前にベースが駆け上がってくるところのメロディが印象的だった。
全体的に猪狩さんの優しげな声が胸に突き刺さった。
アースコードはやっぱり壮大でその名の通りの地球の音を奏でているようだった。ライブとしてはまだ続くが、アウトロも長めになっており一つの区切りとして締められた。それにつられるように大きな拍手を送っていた。
感想④グッズ紹介(小西さんの喋るパート)
猪「小西がグッズ紹介をします」
小「今ツアー最後のグッズ紹介をします。なるべく忘れられないようにします」
爪痕残します宣言があったようにどこか気合いが入ってるのかなと思ったり。
いつものパネルを使いながら紹介へ。
小「今回は春なのでロンTを作りました。今自分が着てるんですけど……分からないですよね」
オーバーオールを着用していた為確認できず、少しずらして胸部分のロゴを見せていた。何故か後ろのプリントは説明せず……。
小「コーチジャケットも合わせて作ったんですけど、もう要らないような暑さですよね。でもまだ夜は冷えるみたいなので、あの羽織るものが欲しいって方はこの後良かったら是非」
コーチジャケットは来ていなかったが実物を持ってきていた。
小「レザーキーホルダーも久しぶりに作りました。前に作ったのを2人とも使っていてその経年変化をSNSに上げたんですけど、今回もいい味が出るかなと」
「缶バッジは今回のセトリを基に作りました。シークレットが1種類あるんですけど、倍率が高いみたいで……」
中「倍率が高い?」
小「あれ? なんて言うんだろう」
中「出にくいとか?」
小「あっ。出にくくて」
小「あとはタオルと栞も持ってきたんですけど、有難いことに売り切れました。
タオルはこれからの季節絶対使えるんで」
中「いつでも使えるよ」ボソッと呟く。
小「そうですね。
その他にもTシャツとかもあるので、着替えるのもいいかなと思います。サコッシュとかCDとかも持ってきているので後でお時間ある方は是非」
ありがとうございます。と締めると拍手が送られていた。
グッズ紹介を受けて、
猪「腹立つ」
と笑いながら小西さんのグッズ紹介を一蹴。
中「甘えさせ過ぎたかな」
猪「モンスター。物怪だよ」
感想⑤SNSとPayPay
猪「ツイッターのことをXって言えなくて面倒だからSNSって言ってる。未だにアイコンまだ鳥のままだし。
あとPayPayも微妙。店で使うとき『ペイペッで』
みたいな感じで濁しちゃう。PASMOでギリ」
猪狩さんのペイペッで。の言い方が凄い分かるなーと思って聞いていた。
小「PayPayさ、あれ支払うと最後にPayPayって音鳴るじゃん。あれたまに腹立つんだよね。音でかいし」
猪「ね。こっちがPayPayでって言った後にもう一回言われる感じね。最後にお前が締めるのかよみたいなね。
家で自分の部屋で秘密に買い物している時に、支払いの時にPayPayって音出ちゃうから多分バレてるんだよな」
中「そんなことあるんだ」
猪「サウンドハウスとかそうっすよ。QR読み取ったら鳴っちゃうんですよね」
中「じゃあもう外で買うしかないね」
猪「でも外でレジもないのにやってたらそれはそれで逆にちょっと……」
中「WAONもさ犬の鳴き声するよね。たまにびっくりする」
猪「あ〜確かに……。ドラム中畑大樹」
恒例の中畑さんの紹介。
中「よろしくお願いしまーす。
2人がモンスターに見えるよ」
猪「名前変えようかな。
今日の小西のグッズ紹介は俺のPayPayの話で塗り替えられただろ」
満足気な猪狩さんだった。
中畑さんがつけていたイヤモニを一度外したのを見て、猪狩さんがあれまだ何か喋りますか?
と聞いていたが大丈夫という具合に頷いていた。
感想⑥Human Orchestra
再開はHEROから。中畑さんのスティックカウントから始まった。やっぱりHEROは必殺技のように感じる。来るのは分かっているのに避けられないような攻撃的な音が会場へ響く。
クローバーは緑の照明がまさしく「クローバー」のように見えた。アシュレーでは小西さんがぴょんぴょんと飛び跳ねる様を見れて嬉しかった。
少しの間を置いてから猪狩さんの頭上に照明が降り注いで始まったオオカミと月と深い霧。その様はまるでタイトルのように月明かりが照らしているかのようで、オオカミの孤独感を演出させていた。ギターソロからリズム隊がだんだんと加わっていきサビへの盛り上がっていく感じに背筋がゾワっと疼く。
ちょっと声が辛そうな感じもしていたが振り絞って歌っているようなあるいは命を削っているようなその様に胸を打たれる。
猪「今日レッドホットチリペッパーズが来てるんですよね。そんな中来てくれてありがとう。また音源作ってまた来るので気が向いたら是非来てください」
謙虚だけれどもまた次がある告知をしてくれる彼等が本当に好き。
最後は熱帯夜。こちらもアウトロが長めに追加。この熱帯夜なら寝苦しくもなく心地の良い朝を迎えられそうだなと思えるような素敵な曲。
ありがとうございました。と御三方がしっかりお辞儀をして退場。
感想⑦まさかのTL再び!
アンコールで再びステージに登場。猪狩さんは何やら紙を持っていた。
猪「ありがとう。
parallel parkって20年近く前に作った曲なんだけど、良いなって思う。あの頃はテンポ速い曲が格好良いと思っていたんだけど、今はサカナヒコウとか熱帯夜とかが好き。好きというか解釈が深められるような感じが良い。聴いている側もやる側も解釈が変わるようなそんな曲があって良かったなって思う」
20年という月日は色んなものやことを変化させる。だけど私は20年後もtacicaのことを大切に思っていたい。TIMELINEはこういうことが思えるようになれる。過去を見ることで今や未来を考えていける気がする。
ここから今後の予定を発表。
猪「西川口Heartsの25周年記念のライブがあります! ……何か今発表した感じのテンションで言ってみました。
あと7/25中畑大樹50祭に出演します!」
中「出ていただいてありがとうございます」
猪「僕らはただ楽しむだけかもしれない」
小「中畑さん大変ですね」
中「大変だよ。もうめっちゃ大変」
猪「リハとかも凄いですよね」
中「もう50だからね。まぁやりますけどね」
以前FC会員限定ラジオの「喋る鹿」で50歳になったら関わっているバンドたちでライブしたいと語っており、まさしく有言実行していた。でも本当にめちゃくちゃ大変だろうなぁ。
猪「来年結成20周年を迎えるに当たって目下アルバム制作中なんですけど、冬頃までにはツアーも含めてやりたい。でもその前に僕はもう一度HOMELANDをやりたいなって思っていて、TIMELINE for HOMELAND 11 bluesをやります!
TIMELINEが続いて申し訳ないんだけど、その後には新曲だらけのツアーをやるんで」
と、嬉しいお知らせが発表。
2013年発売の4th albumだけでなく、2012年発売の2nd mini albumの「jibun」も演奏されるという。特にHOMELANDはライブで未だに聴いたことの無い曲もあり個人的には大変嬉しい。昨年リリースから10年を迎えられていて、何か企画して欲しいと思っていた時に再びTLMELINEを開催してくれるのは良い意味で予想を裏切られた。また、その後のニューアルバムを引っ提げたツアーもあると予告してくれて、さらに期待が高まる。
東名阪。8/31からスタート。全日程行かざるを得ない。
感想⑧アンコール
猪狩さんのギターアンプに載っているペンギンの置物を置いた後、猪狩さんが小西さんの方をチラッと見る。すると小西さんはベースアンプに何故か載っていたビッグボーイのキャラクター(ボビーくんというらしい……)がステージ前に置かれる。
ペンギンが置かれたということは……と思っているとやっぱり始まった人鳥哀歌。
イントロから観客から声が上がる。このサウンドを聴くと身体が勝手に動き出すようになってしまっている。cメロの手拍子の一体感もファイナルでありアンコールだからか会場の盛り上がりは最高潮。演奏終了後の拍手はもうこれで終わりかと思うほどの讃えるような拍手喝采。
しかし、まだステージは続く。お次も中々に熱いaranami。サビに向けての疾走感が気持ち良い楽曲。
日常という荒波をどうにか乗り越えている。こういうライブという非日常があるからこそ何とか日々をやっていけている。
tacicaに救われていると感じるし、依存している。
「最後に一曲やります。どうもありがとうございました」
最後に演奏されたのは荒野を行く。
ステージに照らされる照明が温かい色で荒野へ進んでいく道がだんだん開けていくように思えた。
もちろんアウトロ追加バージョン。懸命に、でも楽しそうに演奏する御三方に感謝の意味を込めて大きな拍手を送っていた。
やりきった表情をどなたもしていてさらに大きな拍手を送った。
セットリスト
ヌーの休日
ゼンマイ
人間1/2
黄色いカラス
サカナヒコウ
ウソツキズナミダ
バク
Silent Frog
アースコード
HERO
クローバー
アシュレー
オオカミと月と深い霧
熱帯夜
en.人鳥哀歌
en.aranami
en.荒野を行く
おわりに
20年近く前に制作された曲を現在の状態で演奏するのは新曲のような装いを見せる。改めてその曲の良さやさらに理解度を深めたり、また違った見方も出来るのもこのツアーならではだった。
20年という月日は大変な変化が起こるけれど、tacicaが素晴らしいという想いはずっと変わらないと思う。
また今回発表された次回のツアーTIMELINE for
HOMELAND 11 blues も非常に楽しみで久しぶりな曲を聴けるので今から期待大。
最高なライブをありがとう。
(鹿の仔限定のコメントにて会場の雰囲気はいつも温かいじゃん。と語っていて嬉しい限り)