cry .
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わたしは男の人が怖い。
未だに集団の男の人が通るとうつむいてしまうし、必要最低限の会話で済ませたくなってしまう。男性と対面で話すのが苦手だ。
そんな風に思い始めたのは中学生の頃だ。
それまでの日常では普通に話せていた。だけど恋愛や容姿の比較が始まってから怖くなり、話せなくなった。
わたしは可愛くない。多分彼らからもそう思われていただろうし、自分でも自覚していた。
一重で鼻が低くて丸顔で、笑顔が似合わないどんくさいわたしが世界で一番嫌いだった。
いじめまでとは言わないかもしれないが、男性からノートに暴言を殴り書きされたり、ゴミを投げられたこともある。
彼らの軽いノリだろうし、直接暴言を吐かれたり、エスカレートすることもなかったから、このことを誰にも言えずに卒業した。
高校に進学してから、さらに怖くなった。
それまでには一部に過ぎなかった彼らが幅を利かせているような感覚に陥った。
廊下をすれ違うたびにニヤニヤしながら容姿について語り合う彼らを見たとき、全身に鳥肌が立つのを感じた。席替えでそういった部類の男の人の隣になったときなんて終わりだ。目の前でブスだの隣になりたくなかっただの、大声でわめき散らかされる。ほんとに惨めだった。
余計に男性不信になり、自分から男の人を避けてしまうようになった。
誰かが、「女性は生まれたときからミスコンに参加させられている」と言っていたような気がするがほんとにそう思う。むしろ、リタイアさせてほしい。容姿について触れないでほしい。自分が1番わかっているから。
もちろん、男の人全員が全員そうでないとわかっていても怖い。趣味の話や日常会話をした人もいる。でも、「わたしと話していても楽しくないだろうな、申し訳ないな」という思いが頭を占めていた。大学なんてもっと容姿のジャッジが酷いような気がして女子大に進学した。
本当に女子大の4年間は気楽で、異性の目がないってこんなにも怖くないんだ!と驚いたことを覚えている。
でも、そこまで怖くて苦手なのに、恋愛対象は男性という自分にも、もやもやした。
今まであまり良い経験をしてこなかったのに。
こんなわたしも優しくしてくれる人はいると思いたかった。
自分自身も容姿をマシにしたくて、メイクや服について調べたり、二重整形をした。一重から二重にするのは自分の中では大きな決断だった。
前よりは、少しマシになれた気がする。でも自分の写真を見るたび、やっぱりわたしは可愛くないし、可愛くなれないんだと思う。自分の容姿に振り回され、泣いた夜は数知れない。
だからこそ、恋人ができたときは本当にうれしかった。
やっと、自分の存在を認めてもらえたような気がした。
でも、わたしは彼の隣に相応しくないんだろうなとも思っていた。気づいたらまたひとりになった。
かわいいお洋服、かわいい女の子が大好きなわたしは、自分にないものを追い求め続けているんだろう。かわいいに束縛されている。
これを共感してもらえるなんて思っていない。
むしろ、男性が見たら嫌な思いをするかもしれない。
でも、自分の気持ちがもやもやして膨れ上がる前に言葉にしたかった。
自分勝手でごめんなさい。