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東京大学ISK×下北沢ERA pre. 『A Day In The KOMABA vol.1』ライブレポート(2024/10/25)

渋谷と下北沢の中間地点である駒場をカルチャーの発信地とするため、東大出身のオリジナルバンドの結成・活動を助けるサークルである東京大学ISK。東京大学ISKは1年間の活動の集大成として、2/8-9に駒場小空間でフェスを行う。その事前企画として、東京大学ISKは下北沢ERAとイベント『A Day In The KOMABA』を共同企画した。今回は第1回、ポストパンクを音楽的な軸としてさまざまなサークルから5つのバンドが集まり、火花を散らした。

早稲田Yes, We Areからのガレージサイケバンド、蝉。
蝉だけに「セミアコのギターがほしい」というジョークから始まる。
浮遊感のある弾き語りの後ろでリズム隊がひたすら不穏にキメを行う一曲目。暴力的なギターソロとともに蝉が本性を現す。60年代サイケ的な激烈に歪んだサウンドの2曲目、ルートとリズムを淡々と刻みながら絶叫する3曲目と続き、ゆったりとしたテンポのリズム隊からエモーショナルなギターソロが繰り出される4曲目は、ファズの発振とともにビートルズを歌って終わった。
わずか4曲、そして初ライブだが、トッパーから大音量で会場を揺らし、イベントに勢いをつけてくれた。

1. 昨日のため
2. けむり
3. 頭の中
4. 蝉のテーマ

光分解

前衛的プロペラはがきバンド、光分解。ベースが遅れてきたため二人から始まる。
リズムマシンから始まる。ギターが伴奏をループさせ、サックスを手に取り、伸びやかなソロを行う。発振するエフェクターから、平穏が壊れ、爆音に包まれるとともにギターとドラムのツーピースによる単純なロックが始まる。そして、「どうも、光分解です」と名乗ると歓声が上がった。
奇妙なギターフレーズのループから再開する。ホイッスルをループに加え、ギターとドラムが交代して即興が始まる。爆音の中でループをリセットし、緊張感のあるキメからリフを生成し、またループとする。二人のメンバーがその場に置いてある全ての楽器を操り、ステージを自由に動き回って音楽を生成変化させていく。後半では遅れてきたベースが加わり、ひりつくインストバンドとしての姿を見せてくれた。
休止を挟んで始まったのは、フュージョンめいた変拍子。タイトなリフ、伸びやかなソロからフィードバックを挟んで4拍子で暴れ、テーマに戻って終わると客席から歓声が上がった。

  1. Vaporwave

  2. 8552

  3. スタジオが暗くなる(インプロ)

  4. My Favourite Sushi Flavour (インプロ)

  5. Minhaya

  6. tom um

モールス水

東京大学ISKからポスト・パンク・リバイバルバンドのモールス水。
1曲目、2曲目と短く終わり、不気味なリフの3曲目。ベースは直立不動でミニマルなフレーズを淡々と刻みつづける。ドラムは汗をかき、頭を振りながら叩く。ギターボーカルはゆらゆら帝国やDEVOを引き合いに出されるような例えがたい歌い方で歌う。三者三様、持ち場を離れない姿が印象的。 
4曲目『アニミズムフリーク』では同じ単語を連呼する。2小節程度のリフやルート音を繰り返し、歌詞も繰り返しが多い。姿勢に似て刻みつけるような演奏である。
5曲目は詠唱するように歌う。6曲目は歌いながらのギターソロが印象的。7曲目はモールス水の持ち味であるミニマルな繰り返しの上でのフリーキーな歌詞とギターソロが冴えた。

  1. mite 2

  2. 瓦解

  3. 新曲2

  4. アニミズムフリーク

  5. 新曲1

  6. 関東巡り

  7. Enlightenment

1/8計画

早稲田WFSから1/8計画。10/4にリリースしたミニアルバム『開発日記』を引っ提げての参加となった。ライブ会場にも物販としてZINEとCDをセットで持ってきていた。
激しい10拍子の曲から始まる。2曲目はスローテンポで、低いささやき声のうちに孕んだ重い感情が「ここで待ってるよ」の一言とともに楽器隊から溢れ出す。3曲目、4曲目と英詞が続き、張り詰めた空気が続く。
5曲目では、暗いクリーントーンのリフから、噴火のように激情がほとばしる。
6曲目では印象的なベースリフとクリーントーンの導入部がスロウコア的なパートに繋がる。裏声のスキャットを支える轟音は海の波音のようで、安心感があった。

  1. (untitled)

  2. mist

  3. temple

  4. not for sale

  5. Butchers on The Rail

  6. ガガーリン

Qurage Town

東京大学ISKよりQurage Town。美メロが特徴的な正統派歌ものポップス。ポストパンクが軸となった今回のイベントにおいて、異色な存在感を放った。

安定したリズム隊が起伏を作っている上で、肩の力を抜いたボーカルが歌う。
2曲目・3曲目ではハーモニカソロが入る。特徴的な澄んだ音で、優しい世界を表現した。一方、3曲目のアウトロではハードなギターソロが入る。
4曲目"grow up"ではメインボーカルがスイッチし、ベースがパワフルに歌う。サビではギターボーカルが声を重ね、勢いのある歌となる。
5曲目はドリーミーなギターポップと轟音のキメを繰り返すという起伏ある展開。9分もの間、浮遊感のあるボーカルパートとハードなインストパートを往復し続ける。
6曲目では男女ツインボーカル。フロント3人がそれぞれリードボーカルを務める曲があるという、持ち味を生かしたライブとなった。

  1. すやすや

  2. 思い出のうた

  3. 西日

  4. grow up

  5. ロープ

終わりに

来年2月に企画される東京大学ISK主催フェスの事前企画、その第一弾は成功裏に終わった。東大内外のさまざまなバックグラウンドから集まったバンドが、それぞれの良さを見せてくれた。

東京大学ISKは、2025/2/8-9にて駒場小空間でフェスを行う。東大発のバンドが一堂に会するまたとない機会になるので、ぜひいらしてほしい。
11/29にも事前企画があるので、ご足労いただけると嬉しい。

東京大学ISKは新入生をいつでも受け付けている。バンドを既に組んでいる方はもちろん、これから組む方や組みたいと思っている方も歓迎。加わりたいと思った方は、TwitterInstagram、メール(utokyo.isk@gmail.com)に一報入れてほしい。

Written by あき本


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