はんなちゃんブラケットクリープ現象
はんなちゃんは、お父さんから100円のおこづかいをもらいました。
次にはんなちゃんは、駄菓子屋さんに行きました。
はんなちゃんは、ひとつ10円のお菓子を、100円のおこづかいで、買えるぶんだけ買いました。
はんなちゃんは、いくつお菓子を買えたでしょうか?
おこづかい100円 ÷ おかし10円 = 買えた数は10個ですね。
次の日。
はんなちゃんは、お父さんにお願いして、おこづかいを200円に増やしてもらいました。おこづかいは100円から200円になり、2倍に増えました。
しかし、はんなちゃんが駄菓子屋さんに行ってみると、お菓子の値段も2倍になっていました。昨日まで一つ10円だったお菓子は、今日は一つ20円です。
はんなちゃんは、いくつお菓子を買えるでしょうか?
おこづかい200円 ÷ おかし20円 = 買えた数は10個です。
おこづかいが2倍に増えても、おかしの値段も2倍に増えたので、買える数は変わらず10個のままですね。
次に、ちょっと違う場合を考えてみましょう。
ある日、はんなちゃんのお母さんが、こんなことを言いました。
「おこづかいのうち、ちょっとだけ、家族みんなのために使うようにしましょう。100円のお小遣いをもらったら10円、200円のおこづかいをもらったら25円、家族みんなのために、この貯金箱に入れてちょうだいね。」
はんなちゃんは、お母さんの言う通りにすると約束しました。
はんなちゃんは、お父さんから100円のおこづかいをもらいました。そうして、お母さんとの約束を守って、10円を貯金箱に入れました。
はんなちゃんのおこづかいは、残り90円です。
次にはんなちゃんは、駄菓子屋さんに行きました。
はんなちゃんは、ひとつ10円のお菓子を、100円のおこづかいで、買えるぶんだけ買いました。
はんなちゃんは、いくつお菓子を買えたでしょうか?
おこづかい90円 ÷ おかし10円 = 買えた数は9個です。
次の日。
はんなちゃんは、お父さんと交渉して、おこづかいを200円に増やしてもらいました。おこづかいは一気に2倍に増えました。はんなちゃんは、お母さんとの約束どおり、こんどは25円を貯金箱に入れました。
はんなちゃんのおこづかいは、残り200円から25円を引いて、残り175円です。
次に、はんなちゃんが駄菓子屋さんに行ってみると、お菓子の値段も2倍になっていました。昨日まで一つ10円だったお菓子は、今日は一つ20円です。
はんなちゃんは、いくつお菓子を買えるでしょうか?
おこづかい175円 ÷ おかし20円 = 買えた数は8個、おつり15円です。
さて、ここまでのお話を振り返ってみましょう。
「お母さんとの約束」がない場合は、おかしの値段が2倍になっても、おこづかいが2倍に増えたので、買える量は変わりませんでした。
<お母さんとの約束がない場合>
・おこづかい100円 ÷ おかし10円 = 買えた数は10個。
・おこづかい200円 ÷ おかし20円 = 買えた数は10個。
しかし、「お母さんとの約束」がある場合は、おかしの値段が2倍になると、おこづかいが2倍になっても、買える量が減りました。
<お母さんとの約束がある場合>
・おこづかい90円 ÷ おかし10円 = 買えた数は9個。
・おこづかい175円 ÷ おかし20円 = 買えた数は8個。
おこづかいの金額とおかしの値段が上がるのが、「インフレ」という現象です。「インフレ」で、おこづかいが増えても、おかしの値段も同じように上がれば、買える量は同じ10個のままなんですね。
そして次に、お母さんとの約束がある場合です。お母さんとの約束は、こんな内容でしたね。
これは、「所得税(しょとくぜい)」という仕組みです。
「インフレ」で、おこづかいの金額とおかしの値段が上がったとき、「お母さんとの約束」つまり「所得税」も、それに合うように変えないと、買えるお菓子の数が減ってしまいます。
お話のなかのお母さんは、「インフレ」に合わせて約束の内容を変えませんでした。なので、買えるお菓子の量が、9個から8個に、ひとつ減ってしまったんです。その一方で、貯金箱の中のお金は、10円から25円へと増えることになりました。
このことを、むずかしい言葉で「ブラケットクリープ現象」といいます。
これが起きると、買えるものの量が減って、みんなの暮らしが苦しくなってしまいます。しかし、「所得税」という貯金箱に入るお金(つまり、税金)は増えます。これが、税金の取りすぎです。
今、日本の全体で、この「ブラケットクリープ現象」が起きています。
だから、お話の中のお母さんと違って、本物のはんなちゃんのお母さんたちは、これを何とかして、みんなの暮らしを助けようと頑張っています。
おしまい。
ところで、はんなちゃんって?
この子です。