弱小高校ディベーターが大学で伸びた話
Disclaimer:
これは先日、中高生向けの大会で話した内容の書き下ろしです。自分の経験談ばかりになり、そこまで大した話はしていないですが、そのままにするのもなと思い、書き下ろすことにしました。公開用にするために、一部省略・改編しています。繰り返しますが、あくまでも僕自身の経験談に過ぎないことを念頭に置いた上で読んでもらえればと思います。
あともちろん、ベテランディベーターの方々(同期を含め)にとっては、噂知らずの僕に対してツッコミどころ満載だと思いますが、あくまでも中高生をターゲットに書いている記事であることはご承知いただければと思います。
イントロ
今日は「大学でのディベート活動について」というテーマでお話ししてほしいということなので「弱小高校ディベーターが大学で伸びた話」という題名で、プレゼンをしたいと思います。主に実績が少ない方向けのお話になるかと思いますが、後半では大学でディベートをしたい方向けに、大学ディベートの魅力についてもお話ししようと思います。
簡単な紹介
(マジの自己紹介は省略)
僕が所属した高校のディベート団体は、部活動や同好会よりも下っ端の公認団体でした。悪く言えば、学校からのサポートが薄い(大会参加費は出してもらえた)。良く言えば、自分たちのやりたいように自由にできる。
後々話しますが、団体としても経験が浅く、表彰台に上がることは一度もありませんでした。ですが大学では、1年目で、ゴールデンとは言わないけど、そこそこの成績を、1年生大会を中心に残せたのかなって思います。
もちろん、勝ちにこだわって成績を残すことが全てではないですが、勝てず楽しめないのは、ディベートに限らず、勝ち負けを競う全てのスポーツに共通することだと思います。その辺りの話をしていきたいなと思います。
高校でのディベート環境
ぼくがどういうディベート環境いたのかっていう話を、まず最初にしておきたいと思います。僕がディベートを始めたのが高校2年のとき、当時自分が所属していた運動部の先輩(のちにWADの先輩にも当たる方)に誘われて始めました。その高校2年の時が、初めて英語ディベート部が学校から公認を受けたとき。でも多くの方のような、部活動や同好会などではなく、先ほども言ったように、下っ端の公認団体として立ち上がったっていう感じです。人数もなかなか集まらず、同期は僕1人。先輩がいる時は先輩方と一緒に、卒業した後は後輩たちと僕1人で頑張ってきた感じです。
アカデはやっていなかったので、パーラだけ、かつHPDUの大会を中心に出ていましたが、1勝できるものの2勝に届くか届かないか、要するに負け続けていた。最近は僕が教えに行く機会をなるべく作るようにしているものの、当時ぼくがいたときは教えてくれる人もほぼおらず、コロナの代であったこともあり、他校との交流もゼロに近かったのが実情でした。
こういったリソースの無さが生むシナリオって、始めたばかりのディベーターや団体だとありがちな状況なのかなって思っていて、なかなかディベートに注力できる環境ではなかったといった状況でした。
こういったこともあり、高3の連盟杯都大会でディベートを辞めるつもりでした。
大学で続けることになった3つのきっかけ
じゃあどういう経緯で大学でもディベートを続けるということに至ったのか。3つのきっかけがありました。
1: 高校の先輩に誘われたこと
大学でWADに入った前出の先輩が、新歓に誘ってくれました。大学のサークルの新歓って、早いところは3月下旬から始まっているんですが、僕が実際にWADへ行ったのは4月下旬(新歓練習会の最後とか?)でした。それだけWADは優先順位が低かったわけですが、最後の最後に参加しました。
2: 一緒にラウンドをした先輩方に憧れたこと
大学では大抵新歓練習会というのがあります。そこで先輩3人と僕の4人で、1人1役ずつのAsianラウンドをしました(僕はReply)。そこでコンストをやった先輩3人が、今まで聞いたことがないぐらい上手すぎたんですね。上手いスピーチって人によって色々基準があると思いますが、そんなスピーチを初めて生で聞いて、憧れを抱いたんですね。
3: 先輩方から色々なアドバイスを頂けたこと
高校時代にアドバイスや情報交換ができる環境ではなかったことを踏まえると、これこそ自分が求めていたことだと思い、かつこの環境だったら絶対伸びるなって思い、ディベートを続ける決心した経緯があります。
大学ディベート1年目の振り返り
(大学ディベートの1年間の大会スケジュールを紹介。割愛。)
それを踏まえて、この1年間を踏まえて自分の経験を共有したいと思います。
WADは週3で練習があるんですが、僕は週1〜2回ペースで、毎週練習に参加していました。
大学に入って、多くの人が最初に出る大会が Elizabeth Cup です。この大会は、新入生と上級生が一緒に組んで出るNA大会なのですが、このデビュー戦で全敗してしまいました。WADで唯一の全敗チームだったんですが、ここで組んだ先輩が本当に上の上の上の上手な先輩で、初めて目標となる先輩を見つけられました。
それ以降、ラウンドをしてコメントをもらって、を繰り返す、PDCAサイクルを回すような感じで、何度も何度も練習を重ねていきました。
8月の大会で初めて優勝して以来、次第にチーム賞も個人賞も得られるようになったという感じです。大学では「1年生大会」という大学ディベート1年目を対象とした大会があり、それらの大会を中心に参加していました。
大学ディベートの良いところ
自分の経験についてはここまでにして、大学ディベートの良いところとして、主に3つ挙げられるかなと思います。
1: 人脈が増えて、視野が広がること
ディベートについて語り合える仲間がたくさん増えることは、一番心強くなれることだと思います。ディベート以外でも交流の場があって、例えば "江戸川ユナイテッド" というディベーターだけで構成されている草野球チームがあったり、フットサルしたりカラオケしたり。またディベーターがあらゆるところで活躍していたりします。例えば、僕がいまインターンしているところで、慶應ディベーターが2-3人いたりだとか。そこでまた新たな人脈が得られたりするところがおもしろいなって思います。
2: ディベートをする機会が増えること
国内大会だけでも、高校より大学の方が大会の数が多いですし、国際大会に出るチャンスも増える。また他大学の練習にも気軽に参加でき、色んなディベーターとラウンドができる点で、経験が増えるんじゃないかなと思います。
3: 話す力が大きく伸びる
大学で留学に行こうと考えている方もいると思うのですが、TOEFLやIELTSなどを受験すると、スピーキングのスコアがめっちゃ跳ね上がるなっていう印象があります。日頃しゃべっているとそれなりに英語力もついてくる点で、ディベートって有効な手段だと言えます。また大学では英語でプレゼンやディスカッションをする機会が増えるので、そこでもまた、ディベートで得た力を発揮できるんじゃないかなと考えます。
なぜ大学で伸びたのか
これらを踏まえて、なぜ大学で伸びることができたのか、ポイントを3つに分けて紹介します。
1: 目標を定められた点
インステ内や大会などで、上手いスピーチを聞く機会が増えて「このスピーチに近づきたい」「このスピーチができるようになりたい」という憧れができ、それに向けてどうすれば良いか考えられる環境ができたのが大きかったなと思います。
2: コミュニティの形成
前述の人脈が広がることと同じですが、同期や先輩と交流できて、ディベートについて相談する仲間が増えたり、ディベート以外でも仲を深める機会が増えたりして、心強い仲間ができたなと思います。
3: 正確なアドバイスを求められる環境
ディベートを上のレベルでやっている先輩方から多くのコメントをもらえる環境は非常に大切だと思います。ここで得られたコメントを弱点として認識して、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら努力して伸ばすことができたことが、大学ディベートの特徴かなと思います。
これからおすすめしたいこと(初心者向け)
最後に、これからディベートを続けていくに向けて、或いは大学ディベートに向けて、中高生ディベーターにおすすめしたいことを4点話して、終わりにしたいと思います。
まず最初に、ディベートを初めて1年経つか経たないか、リソースの少ない方向けに2点。
1: 大会で積極的に個人リフレクをもらう
ジャッジする人たちがみんな口を揃えて言っていることとして、上手いディベーターほど個人リフレクをもらいにくる印象があります。特にリソースの少ない学校ほど、大会を成長へ向けた貴重なチャンスとして活用してほしいと思います。
2: 大学の練習に参加してみる
ディベーターとして大学の練習に参加して、大学の上級生からアドバイスをもらうことも手段としてありなのかなと思います。実際にディベーター参加を受け付けているところとないところがありますが、オーディエンス参加として上のレベルのスピーチを聞くことも良い機会になります。
これからおすすめしたいこと(中級者向け)
次に、ある程度経験があって、上の上を目指している方向け。
1: 大学生大会やオープン大会に参加してみる
全ての大会に出ろ、ということではなく、1回ぐらいチャレンジしてみるという感じです。普段の大会でも高校生がちらほらいて、プライズを取る人もいたりします。特に1年生大会では高校生でも参加できる大会がありますし、そのようなルーキー大会ぐらいがレベル的にもちょうど良いのかなと思います。経験を積んでみたい方は是非チャレンジしてみてください。
2: ジャッジ練習
普段の中学・高校の練習などで、積極的にジャッジの練習をしてみることをおすすめします。ジャッジのニーズを理解してスピーチをすることで、よりジャッジに伝わりやすいスピーチができます。僕自身も、夏頃にかけてディベーターとジャッジを繰り返し練習していて、それがきっかけで実力が伸びた実感があります。
大学ディベートでは、ジャッジも競技者です。国内・国際大会では、ジャッジ向けのプライズがあります。先取り練習を中高で積み重ねておくと、アドバンテージになるのではないでしょうか。
終わりに
今回は、大学ディベート界について話してほしいと依頼されていたので、高校ディベートと比較して、お話しさせていただきました。大学で始めるディベーターも一定数いるので、中高生のうちに努力をしていれば、大学でもそれなりにアドバンテージを得られるんだよっていうことをお伝えできたらなによりです。大学進学まで、残り年数は人それぞれだと思いますが、これからのディベート練習も頑張っていただければと思います。
記事の終わりに
2月に色んな事情でメンタルがボロボロになりながら作ったプレゼンです。
身をもって経験した課題として、高校ディベートにリソースが分配しきれていないことがあると思います。いわゆる強豪校は、長年の歴史と優秀な卒業生がコーチングなどを通して育て上げられていると思いますが、いわゆる始めたての団体にはそういったメソッドがないことが多いです。
しかしながら、高校ディベート界が拡大していく中で、始めたての団体が先に進めずつまづいている現状があります。もちろん高校ディベート界として、経験のある先生方が色んな講座を開いているのは承知してます。ただいくら先生がディベートのノウハウを知ろうと、実際にする生徒までしっかり行き届いていないような気がします。
だからこそ、大学ディベート界の力が必要だと思います。特に卒業生がいない団体こそ、中高生にとっては、先生方よりも世代が近い大人として、大学生はきっと大切な存在になると思います。メンター的な存在としてって感じでしょうか。もちろん、ずっと大学生がopt inすべきと主張しているわけではありませんが。
僕個人としては、他インステほどコンペティティブさが低く、かつ外に対してもオープンなコミュニティであるWADをそういう場にしていきたいと思い、母校の後輩をはじめ知り合いの高校ディベーターを積極的に誘い、受け入れ体制を整えてきました。対面参加には交通費はかかれど、そこまでコストをかけずに実践の場を広げられていると思います。
とりあえずイベントでは、大学ディベートについて話してほしいとのことだったので「大学の方が活動域が広がって楽しいで!」ってめっちゃ強調しました(したつもりです)。
あんまり違いについて話せなかったので、それだけ簡単にまとめて終わり!