【CCMI をご存知ですか】錚々たる顔ぶれはカシミヤ紡績業界のワールドカップ
世界トップのカシミヤの紡績屋さんたち
『UTOは一枚一枚丁寧な物作りが真情というのは分かるけど、素材のカシミヤのグレードはどの程度なの?』と聞かれることがあります。どの程度の基礎知識をお持ちかわからないので説明しにくいんですが、次のように説明するとほとんどの人に合点して頂けます。
CCMI、(カシミヤ&キャメルヘア・マニュファクチャラーズ・インスティチュート)という高級な糸を紡績している世界的な協会があります。二十社にも満たない数ですが錚々たるメンバーです。
ざっとご披露すると、イタリア代表は織物では世界一といわれるロロピアーナ。ゼニアは有名ブランド等に糸を供給しているし、カリアッヂもカシミヤでは超有名な会社です。英国のドーソンは元バランタインやプリングルの親会社ですね。早い話がカシミヤなど、こだわりの高級糸を作る世界的な紡績会社の集まりなんです。
日本代表は二社で、東洋紡糸工業と深喜毛織です。東洋紡糸工業は日本で最初にカシミヤを紡績した歴史を持つ会社で、世界中の紡績仲間から最高のニット糸を作る会社と評価されています。UTOのカシミヤはその東洋紡糸と深喜毛織の糸を使っています。
『ふ~ん。同じ世界最高クラスの原料を使っているなら、有名ブランドはン万円もするのに、どうしてUTOはそんなに可愛い値段なの?』。それを言われたら一言もないのですが・・・。世界最高峰の原料を使って、ヨーロッパ勢には絶対に負けない日本人の手による丁寧な物作りをしていると自負しているんですが、もの作りにかかるコストより宣伝やコレクション費用等の付加価値の付け方や流通の違いだと思っています。一番の違いはUTОは自社での企画製造販売という流通の短さだと思っています。
『イカサマは許さない』と目を光らせるCCMI
CCMIが知られるようになったのは、カシミヤ混率問題です。百貨店や有名ブティックでカシミヤ100%と表示されて販売されたカシミヤの混率が、公の機関で調査したら実際の内容と違うということで、経済産業省から排除命令を受けて大騒ぎになりました。
しかし、よく話を聞いてみると、中には買い付けた時のサンプルはちゃんとカシミヤ100%で、バルク(量産現物)の先上げ見本の検査も、100%なので安心して店頭に出して販売した商品が、カシミヤが50%しか入っていなかったというような詐欺まがいのこともあったようです。
これを購入されたお客様が被害者というのはもちろんですが、アパレルの方も被害でしょう。自分が騙されたら今度は自分が加害者になりなかねないカシミヤの怖さを痛感する事例です。
一方、こんな事件が多発してカシミヤの検査が俄然厳しくなりました。万が一に備えて店頭で販売するカシミヤ商品すべてに公的機関の証明書の提出という風潮になりました。その証明書は2万円前後もするんです。
一例ですが、ある大手小売店で販売するのに、ヨーロッパからの輸入品を少量しか販売しないのに1着10万円以上もする商品を切って検査に出して証明書を取ってからでないと店頭に出せないという、なんとも殺伐とした状況が発生したそうです。
こんな事が起こったことで、今度は公正取引委員会から、小額の取引に対して多額の検査費用を要する証明書の要求は優位的地位の乱用などの不正競争防止法に抵触するという通達が出されるという顛末まで発生してしまいました。
カシミヤは高価なゆえに悪徳業者に狙われやすい素材です。自分の取引先は信頼できてもその人が騙されていたら皆が被害者や加害者になりかねません。だから原毛から製品まで素姓のはっきりした信頼できる相手との取り引きが何より大事です。
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