【セーターはカシミヤ山羊約2~3頭分】希少で貴重なカシミヤ
希少で貴重なカシミヤ
ウールの宝石と呼ばれるカシミヤは、中央アジアの高地に生息する山羊の仲間です。冬は零下30度にもなる極寒の地ですが、夏は逆に40度を超す気温の変化が激しい処です。
そんな厳しい冬を乗り切るために毛の間に軽くて暖かい産毛が生えるのですが、春になるとこのうぶ毛が自然に落ちて夏毛に生え変わります。このうぶ毛を人間が頂いてセーターに利用させてもらっているのですが、あの柔らかいうぶ毛を収穫する為にカシミヤを殺すことはもちろんいじめることもありません。人間とカシミヤはとってもいい共生の関係なのです。
カシミヤのうぶ毛を使ってセーターやストールなどを作りますが、いったいどれくらいのカシミヤのうぶ毛が必要なのでしょうか?
カシミヤの毛は、熊手みたいな道具で梳きとります。一頭のカシミヤから300グラムぐらいの毛が獲れます。ヒツジの毛刈りの様子などを見ることがありますが、丸々のヒツジが5分から10分ぐらいで丸坊主になりますが、カシミヤはそんなに簡単ではありません。刈るのではなく梳くので一時間ぐらいかかります。私も以前、中国のカシミヤ産地の内モンゴルでカシミヤのうぶ毛梳きを体験させてもらったことがありますが5分ぐらいで腕が張ってくるぐらいきつい仕事です。
春になるとずっとこのうぶ毛梳きが続く厳しい時期ですが、カシミヤ牧民にとっては1年の苦労が報われる嬉しい時なのです。
梳き採った毛は巨大な袋に詰められ専門の業者に売り渡されます。産地には広い地域に転々と放牧している牧民を回って収穫された毛を買い集めるだけの仕事をしている専門業者もいます。
梳き採った毛は土毛(どもう)と呼ばれ、うぶ毛だけでなく剛毛と呼ばれる硬い毛、刺し毛、枯れた木や草、土や砂など、カシミヤの1年分の汚れがついています。
土毛は篩いにかけられて砂や泥を落とした後、小さな植物の枝や葉などを人の手で取り除き洗浄されます。洗浄した後に整毛(せいもう)というカシミヤ独特の工程でうぶ毛を取り出します。この整毛工程でやっとあの綿菓子みたいなふわふわのうぶ毛が取れますが、この時点で採毛したときの半分ぐらいになってしまいます。
そのうぶ毛の中でも、良質で長い繊維はニット用として取引され、短い繊維はコートやスーツなどの織物用として、太い繊維や比較的短い繊維は毛布用として取引されます。
一般の人にはあまり知られていませんが、カシミヤはニット用が一番良質で高価な原料を使っているのです。
1頭から採れた300グラムの毛は剛毛とうぶ毛に分けられて最終的には180グラムぐらいしか取れません。その貴重なカシミヤを使ったUTOの天使のストールはおおよそ140グラムですから、カシミヤ1頭分のうぶ毛を使っていることになりますね。レディスのセーターでカシミヤ2頭分、メンズで3頭分が目安です。ワオー!ですね。それを想うと気持ちもホットになりますよね。