タイルーきらきら編
壁にタイル。床にタイル。犬も歩けばタイルにあたる。
私たちが気付いていないだけで、街はタイルにあふれている。
住宅街の路地裏に入ると現れた黒く光るタイル。クリーム色の外壁とのコントラストも相まってこのタイルが際立つ。
元美容室のポーチにあつらえられたタイルは、その佇まいから、まるでこの店の看板のような存在感がある。
木造であるが、鉄筋コンクリートで作ったかのような建物のかたち。モダンさを追求した設計者のこだわりが感じられる。
なによりもこの小さなタイルたちに注目してもらいたい。
この小さいタイルのそれぞれに太陽の光が反射して、小さな光の粒がきらきら輝いている。美しいったらありゃしない。
そして、エントランスの魅力を縁の下で支える"ひさし"のかたちと厚み。ひさしの隅をカットすることで、ツンとした角をなくし、お客さんはタイルのきらきらを正面から見ることができる。しかも、ひさしが厚いぶん貼るタイルも多くなり、きらきらの量も増えるのだ。
聞けば昔、近所に寿館という映画館があり、たいそうにぎわったそうだ。きっとお嬢さん方は、このきらきらしたタイルの下をくぐっておしゃれに変身。映画館へと繰り出していったことだろう。