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竜を撫でる・序章(後)

序章(前)はこちらから
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あらすじ

 「天竜は人語を操り、竜を殺す。」近く成人を迎える王子のレイナードは、パレードで竜に乗る練習のため、地竜に乗る竜屋のディアナと北にある『天竜の滝』へと出かけた。その帰り、他国から突如襲撃を受け、飛竜に乗った正体不明の追手により、ディアナは瀕死の重傷を負ってしまう――。©2023 星子意匠 / UTF.

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完結は未定。

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本編

竜は王子と旅に出る
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 ◆ 06 出会いと別れ

 日が傾き、夜の暗闇が森を覆う。それにも増して、月光がディアナを赤く照らした。

レイナード「なんでこんなことに…」

 天竜の滝に近づくとスピナーも、いくつか石弓いしゆみの矢を受けており、川沿いで弱々しい息を吐いて地に伏せた。

レイナード「スピナー! お前まで…!
      起きてくれ! ディアナ!」

 ディアナもスピナーの背の上で、うつろな目をしたままわずかに息を吐く。腹部にも矢を受けており、スピナーの白い毛を赤黒く染めた。

レイナード「おい! ディアナ!
      しっかりしてくれ!」

 瀕死ひんしのディアナの上半身を起こして、レイナードは無意味な行為を自覚する。

 くしゃくしゃになって泣き叫ぶレイナードの顔に、ディアナの血と毛だらけの手が触れる。毎日手綱たづなを握った硬い手で、朦朧もうろうとする意識の中でレイナードの頬に触れ、弱々しく撫でた。その手はすぐに力を失う。

レイナード「俺をひとりにするな!
      一緒に南に行くんだろ!」

 レイナードはディアナの亡骸なきがらを抱きしめた。力なく、血を失い、熱を失いつつある彼女を抱いて、これから先の運命さえも受け入れず、思考を停止させていた。

 そんなレイナードを叱責しっせきするかのように、ディアナは彼を突き飛ばした。

 レイナードはスピナーの背から回転して落ち、ディアナの血と、雪と泥に再びまみれた。

 ディアナは月光の中、スピナーの背の上で立ち上がり、首にささった弓を抜き取った。それから腹に刺さった弓も抜いた。

 ディアナはレイナードを見下ろして、また白い息を吐く。

レイナード「ディアナ?」

ディアナ「許可なく私に抱きつくな!」

 ディアナもスピナーの背を身軽に飛び降り、大きな顔に向かいヒゲを、頬を力強く撫でた。

ディアナ「よくやってくれた。
     私の同胞はらから

 スピナーは起きない。何度撫でても、呼びかけても、鳴くことも、匂いのする息さえも吐かない。

 ディアナは腰のナイフを抜いて、力を込めて首を切る。

レイナード「なにを…?」

ディアナ「とむらいだ。静かにしろ」

 スピナーの血で雪が溶け、地面が赤く染まる。

 スピナーの身体にナイフを突き立て、厚い皮を切る。ディアナは地竜の巨体など物ともせず、スピナーを横倒しにする。

 それからさらに腹を割ると、大量の内臓を抜き出し、いくつかの部位を見定め、ディアナは生のままかじった。

ディアナ「お前も食え。これはまだ食える」

 地竜の大きな肝臓かんぞう。レイナードは目の前で起きていることが理解できないまま、弱々しくかじりついた。まだほのかに温かいが、血の、鉄の味しかしなかった。

ディアナ「おい、レイナード。
     凍死とうししたくないだろ。
     こっちへ来い」

 信じがたいことが起きている。目を皿にして、ディアナと共に、亡骸なきがらとなった地竜の腹の中の、抜かれた内臓の隙間に入った。

 寒さが和らぎ、肉に残った熱が冷え切った手足を守ってくれる。

ディアナ「ふっ…これがスピナーの最期だ」

 暗闇の中でディアナが言った。泣いているようにも、笑っているようにも聞こえる。

レイナード「ディアナ。
      きみは…大丈夫なのか?」

 震える声でレイナードは言った。

ディアナ「当然だ。
     殺されても死なん。
     なんせ私はお前たちの言う
     天竜だからな」


 ◆ 07 ディアナ

レイナード「…天竜だって?」

ディアナ「言っただろ?
     信じなくていい」

レイナード「首は? 矢傷はどうなった?」

ディアナ「もうふさがった。
     確かめてみるか?
     この暗闇の中で。
     穴に指を突っ込むんだ」

レイナード「…下品な言葉はつつしめ」

ディアナ「竜はきょうが初めてで
     女にまたがるのはまだか?」

 ディアナの口から出る品のない冗談に付き合わず、レイナードはこの状況を考える。

レイナード「国が心配だ…」

ディアナ「それならそのまま
     祈って夜でも明かせ」

レイナード「父母は無事だろうか…」

ディアナ「王の愚息ぐそくはやはり矮小わいしょうだ」

 こんな状況でもディアナはレイナードをバカにする。

レイナード「なんなんだ! さっきから」

ディアナ「いいか、王子さま。
     お前が心配しようが祈ろうが、
     状況が変わるわけじゃない。
     スピナーの腹から出て
     国へ走ったところで、
     お前はこのまま凍死とうしする」

レイナード「じゃあどうしろって言うんだ!」

 隣に居ると思しきディアナに触れて倒した。倒してしまってから気づいた。

レイナード「いや待て、ディアナ、お前…。
      なんで服を脱いでるんだ?」

ディアナ「は? 血でれた服が
     冷たいからに決まってるだろ。
     わかったら乳房ちぶさから手を離せ」

レイナード「わっ! すまん…」

 暗闇で見えない分、感触で気づくべきだった。改めて自分が直に触れたものの手触りを思い出す。血と臓腑ぞうふの残り香の中に、ディアナの放つ女の匂いがあった。

ディアナ「レイナード、お前も服を脱げ。
     隣がびしょ濡れでは
     こっちまで風邪を引く」

レイナード「天竜が風邪を引くのか」

ディアナ「ひとの言葉を操るのが天竜だ。
     いいからつべこべ言わずに
     さっさと脱げ!」

レイナード「待て! 触るな!」

ディアナ「愚息ぐそく愚息ぐそくの心配を
     している場合か!」

レイナード「待ってくれ! ちょっと!
      やめてっ! あっ!」


 ◆ 08 竜騎兵

 スピナーの腹の中で、裸にひんかれて朝を迎えたレイナード。全身に血と獣臭さがこびりつき、服と顔を洗う。

 肌着だけはなんとか履いているが、動いていようが寒さで奥歯を震えさせる。

 その間、スピナーの背に残った薪を集めてディアナは手際よく火をつける。その仕草は石弓いしゆみで倒れる前の日と同じである。

 震えながら飛び散る火の粉に騒ぐレイナード。

 ディアナは持ち前の力で地竜の屠体とたいを転がして、分厚い皮を剥ぎ取る。ひと仕事終えると、鍋に雪を入れて湯を沸かし、地竜のふとももの肉をくり抜いた。

ディアナ「これを朝食にしよう」

レイナード「服を着ろ! せめて下着を」

ディアナ「育ちがいいと小うるさいな」

 ディアナはレイナードの小言を皮肉って笑った。しかしレイナードはそんな侮辱にもまったく反応しない。

レイナード「…これからどうしたらいい?」

 頭を抱える。

ディアナ「私に思考をゆだねるのか?」

レイナード「そうじゃない…
      そうじゃないが…
      どうすればいい?」

ディアナ「まずはごはんだ。
     腹が減れば思考はにぶる」

 ディアナは荷物の中から余っていたパンを投げつける。当たるとやはり石のように痛いのでレイナードが半泣きで騒いだ。

 食事を終えるとレイナードは、半乾きの服で薪を集める。雪の重さで折れたばかりのものは使えない。雪ばかりの土地で、乾いた木を探すのは難しい。

 薪を探していれば考えが整理されると思っての行動だった。冷え切ったスピナーの腹の中で、きょうの夜を越えるのはもう難しい。それにディアナが毛皮を剥いてしまっている。

 歩いて街へ向かったところで、まだ雪が深く足元が悪い。夜までにたどり着けるかも怪しい。

 ディアナは川岸で、スピナーから剥ぎ取った皮にこびりついた脂や肉を取り除き、毛皮を作ろうとしていた。

レイナード「毛皮なんか作ったところで
      ひと晩越えられるものか」

 その上、毛皮は丸一日掛けて完成するほど容易なものでもない。非現実的な行動に不満が声に出た。

レイナード「あいつが、天竜だなんて――」

 雪の上を大きな影が走った。空を見ると1頭の飛竜。

レイナード「昨日のやつか!」

 見上げたところでまた石弓いしゆみの矢が飛んできた。矢は隣の木に突き刺さる。

レイナード「まずいっ! ディアナ!」

 林に逃げ込み、川沿いを走る。雪の中では上手く走れないが、相手も林の隙間に飛竜を飛ばすことはできない。

レイナード「ディアナー! 敵だっ!
      早くっ、隠れろぉー!」

 息も絶え絶えに叫ぶ。川にいれば空から見つけやすく、見つかるのも時間の問題だ。

 しかし手遅れだった。

 偵察の飛竜はすぐにディアナを見つけ、第2射を放った。だがディアナの行動はそれよりも早かった。

 天高く跳躍し、飛竜の頭をゆうに越え、竜の太い首をじ折った。搭乗していた竜騎兵は放り出され、岩に身体を叩きつけられる。

レイナード「ディアナ!」

ディアナ「うるさい!
     わめくと連中にまた見つかる」

 竜騎兵は岩の上で、虫の息であった。

ディアナ「こいつ、どこの誰かわかるか?」

レイナード「知るわけないだろ」

 しかし、服装を見ても、汎用はんよう的な防寒着であり、国を示すものも見当たらなかった。

ディアナ「傭兵ようへいか?」

レイナード「おい! なんで俺を…
      我が国を狙った」 

ディアナ「私も狙われたが?」

 竜騎兵は右腕と背骨を強く打ち付けて、肺を損傷するほどの重症を負っている。

竜騎兵「はぁ…誰だ…お前は…」

ディアナ「元気なやつ」

レイナード「王子のレイナードだ。
      貴様はどこの所属だ!」

竜騎兵「死にぞこないの…王胤おういんか…」

レイナード「国は! 王はどうなった!」

竜騎兵「ははっ…がはっ…」

 昨日のディアナと同じように竜騎兵は血を吐き続け、白目をいてもはや息をするのも難しい様子であった。

ディアナ「楽にしてやってもいいが、
     こいつはこのまま川に流せ。
     事故死を装えば捜索はされまい」

レイナード「でもなっ!」

ディアナ「感情的になっても
     なにも解決しない。
     荷物はありがたくもらっておこう」

 死んだ飛竜の背負っていた竜騎兵の荷物には、兵士と飛竜の糧秣りょうまつがあった。

ディアナ「やっぱり鶏肉があるな。
     それに変なパンだ」

レイナード「干し葡萄ぶどうだ。南部人か…」

ディアナ「飛竜を使役してれば、
     それくらい誰だってわかる。
     干し葡萄ぶどうなら我らの国でも
     食ったことあるだろう。
     それに高かったぞ」

レイナード「軍のパンに入れるなんて、
      金があるのか」

ディアナ「土地柄で安く手に入るだけだ。
     毛皮作りもいてきたし、
     そろそろ雪の家でも作るか。
     おい、レイナード。薪は集めたか?
     私はちゃんと食料を手に入れたぞ」

 レイナードは瀕死ひんしの兵士を、言われたとおり川に落とした。

レイナード「俺は報復すべきか…」

ディアナ「レイナードがそうしたければ、
     勝手にすればいい」

レイナード「なら協力してくれ、ディアナ。
      お前は天竜なんだろ?」

 飛竜よりも高く跳躍する能力があれば、まだ若いレイナードでもその願いは簡単に叶えられる気がした。しかし、ディアナの返事はレイナードの望むものではなかった。

ディアナ「いやだね」

レイナード「なんでだ?
      あいつらはスピナーのかたきだろう」

ディアナ「スピナーはちゃんととむらった。
     他者の死をお前の都合でもてあそぶな」

レイナード「それは…すまない」

ディアナ「それに、つまらないだろ。
     人間同士のケンカなんて」

レイナード「つまらない…?」

ディアナ「そうだ。お前らはつまらない。
     殺し、殺されをいつまでも
     ねちねちと繰り返す連中だ。
     無能なお前なんて
     ここに捨て置いて、
     いっそ他所の国で竜屋として
     過ごしていたほうがマシだ」

 岩に腰掛けて頭を抱える。ディアナの言う通り、レイナードは思考を他者にゆだねている。知りえない相手への報復も、皮相ひそう模倣もほうである。


 ◆ 09 レイナード

ディアナ「ふひひっ。
     見ろ、レイナード!」

 ディアナの弾む声で顔を上げると、そこには見事な雪の家が出来ていた。

レイナード「こんなに早く、
      ひとりでできるものなのか」

 雪で作ったその家は、大人が何人も入れるほど大きなサイズだった。スピナーが入るぶん、大きく開いた入り口のため、人間用にはまだ未完成である。

ディアナ「スピナーと、よく入ったもんだ。
     天竜の私にかかれば、
     こんなもの昼ごはん前だ」

 そう言って腹の虫を盛大に鳴らす。

ディアナ「スピナーの肉は固くてあまり
     美味しくなかったが、鶏肉はよい。
     それに干し葡萄ぶどうのパンもあるぞ」

 ディアナの提案の通り、昼食を済ます。薪になる木の枝は集まらなかったが、スピナーの積んだ薪はもしものときのために、多めに用意されていた。

レイナード「ディアナ…明日、国に戻ろう」

ディアナ「うむ。一日で着くかわからんが。
     どうなったかは私も気になる」

 ディアナは、スピナーを雇っていた竜屋の仲間の竜たちと、世話になったあの主人を思い浮かべたが、生きている可能性は低い。

レイナード「復興ふっこうができればいいが、
      約束をまだ果たしてない」

ディアナ「約束ぅ? ふぁーあ…」

 鶏肉のもも肉で空腹を満たしたので、スピナーの毛皮を敷いてくつろぐディアナ。

 スピナーの大きな尻尾が雪の家の入り口を支配し、風を防ぐと午睡ごすいを誘い、大きなあくびをした。

レイナード「したぞ! 忘れたのか」

ディアナ「なら私が忘れるはずなかろうが!
     約束になってないに決まってる」

レイナード「俺を案内するって言っただろ」

ディアナ「それは成人したらの話で、
     金も払えんのなら成立もしない。
     条件が整ってないもんを
     約束とは言わん」

 寝そべったまま頬杖をついて、思いつきに笑う。

ディアナ「ははぁ、わかったぞ?
     私の死に際を勘違いして、
     勝手に盛り上がっとったな。
     俺をひとりにするなーって」

 彼女に言われてあの夜を思い出し、レイナードは恥ずかしさに赤面する。

ディアナ「ふひひっ。
     レイナードはそういうとこが、
     面白いから私は結構好きだぞ」

 その言葉に、レイナードは反射的に口を開いた。

レイナード「なら、結婚しよう!」

ディアナ「…はぁ? なぜそうなる」

レイナード「えっ…いや…いいだろ!」

 理由がすぐに思い浮かばず、逆ギレする。

ディアナ「愚息ぐそく愚息ぐそくは頭まで愚息ぐそくか!
     いや、いまじゃただの愚息ぐそくか!」

レイナード「愚息ぐそく愚息ぐそくって言うな!」

ディアナ「ならば証明してやる!」

レイナード「えっ? なにを…」

ディアナ「愚息ぐそくじゃないんだろ?」

 未だに下着姿のディアナが雪の家からい出る。彼女の不敵な笑みに、レイナードは恐れおののく。

レイナード「いや、待って、
      こころの準備が…」

ディアナ「愚息ぐそくが言い訳するんじゃない!」

 初対面のころの威勢の良さはどこへやら。レイナードはディアナの細腕からでも生じる怪力で両足を引っ張られ、雪の家に引きずり込まれた。


 ◆ 10 敵の竜

 天竜の滝からの帰路、降雪に阻まれたが、3日かけて国まで戻ってきた。しかし、記憶にある国の姿はもうそこにはなかった。

 木造家屋は焼け落ち、石造りの古い家も使役竜によって破壊され、あたりは煤で汚れている。

 国の象徴であった城の尖塔せんとうはどれも破壊され、崩壊している。

 道端に死体が転がり、燃えた人間は炭化し中から腐敗する。刺し殺された母親の横では、幼い子供が指を加えて凍死とうししている。

 生きた人間も、生きた竜もいない。

 ディアナは竜屋の大きな看板を拾い上げたものの、炭化しており自重で崩壊する。

ディアナ「竜は連れ去ったか…」

 連れされた足跡を見ると、やはり南方面へと伸びている。

レイナード「ダメだ…誰も」

ディアナ「火竜だな」

レイナード「火竜?」

ディアナ「気性の荒い大型竜だ。
     旦那いわく、使役が難しいらしい。
     中央の希少種だが、
     これは1頭2頭の仕業ではない」

レイナード「繁殖させたのか?
      国を襲うために」

ディアナ「可能性はある。
     気性が荒いやつは元来、
     性欲旺盛おうせいだからな」

レイナード「それなら、そいつらがかたきの国か」

ディアナ「まだかたき討ちとか考えてるのか…」

 ディアナが挑発的に息を吹きかけた。

レイナード「ちが…おかげで手がかりが、
      わかったってだけで」

ディアナ「手がかり…まあそうだ。
     火竜の肉は食ってみたい」

レイナード「はぁ?」

ディアナ「地竜はもう食べたからな。
     それに希少種というのだから、
     火竜はさぞ珍味なんだろう」

レイナード「美味しくはないと思う。
      だからひとの手で
      繁殖させなかったんだろ」

ディアナ「そういう考えもあるか。
     ならばあの飛竜も、試しに
     食ってみればよかったな。
     しかし鶏肉には勝てまい…」

 竜舎は燃えて、ディアナの私物も残ってはいない。残ったのは背負っている同胞はらからの毛皮だけ。しかしここには彼女にとって、それよりも大事なものがあった。あるはずだった。

ディアナ「あーっ! なんで!
     私の鶏小屋が壊されてるぞ!」

 当然ではあったが、地竜たちと同じく鶏はすべて奪われて、それどころか小屋も火をつけて破壊されていた。

ディアナ「許さん…っ!
     おい、レイナード!
     これやった犯人を見つけてやる!」

レイナード「ディアナにも執着しゅうちゃくがあるのか」

ディアナ「当然だろっ!
     天竜の宝を踏みにじった罪だ。
     私がこれを許すわけがない!」

 人間同士の戦争には無関心だった天竜、ディアナはいつになくやる気をあらわにした。

 (序章『天竜』終わり)

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