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人と音楽のあいだを満たすものについて

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人たちのかけがえのないいとなみと連動する音楽のことを考えたい。 音楽学者ではないけれど、いえ、だからこそ見えてくる音楽があるはず。音のない音楽のことや、自然のなかの音楽のことなど…
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#時間

レントな母とアレグロな私

実家での食事がまだるっこしい。 もうやがて90になる母の偉いところは 腰が痛くてもゴミ出しに自分で行く。 段差のあるところで手を貸してもはねのける。(気が強い) 必ず、花瓶に花が飾ってある。 夕方農作業(というより野原遊び)から私が帰ってくる頃に お風呂を入れてくれている。 花壇の手入れは欠かさない。(もうできません、と言いながら) お年頃故、同じ話をなん度も繰り返すが、 記憶はちゃんと更新されている。 とにかく元気でいてくれることに感謝しかないけれど、 ただ、食事の支度

時間は刻むもの?

ガリレオ・ガリレイが振り子の原理を発見して、家庭に「振り子時計」が置かれるようになったのは、西洋において、15世紀のことだったそうです。 私達は当たり前に、1秒とか、1分とかずつ時間は進むんだと思ってて、 そして、私達は、時間を図ったり比べたり分けたりなんかもするし、待ち合わせするのも刻む時間をみんなが共有してるからできることで。 1時間のなかの1分はこのくらい、とか、なんとなく体感にも刻まれていて、私だったら、教室の生徒は40分ごとに入れ替わるので、この時間間隔はほぼ

時間

時間のある瞬間を狙い打ちできるようになると、 演奏はずいぶんと変わってきます。 リズムに乗って演奏する、という場面から、 さらに奥の話になるのかもしれませんが・・ それは物理的な時間の流れとは別に、 意識の中にはたくさんの時間の流れが存在している、 ということの証明でも在るように思えます。 演奏というのはいかに ”一定方向にしか流れない物理的な時間軸”に それ(たくさんの時間)を表出させられるか、 ということなのかもしれない。 もしかしたらスポーツなどでも、そういった場

音をなぞるのではなく紡ぐこと

いつの間にか、のその間の蝉の声 朝、日が昇るころからわんわんとないていた蝉は、 いつ鳴かなくなったのだろうか? ちりちりと秋の虫が静かに夜明け前から鳴いている。 時間、というのは、未来に向かって一直線に進んでいる。 けれど、一本道を振り返るようにして、 いまさらだとしても、耳を傾けようとしてみる。 蝉が鳴き止まったそのときの、音? 無音? そこに挟み込まれる風や自動車や秋の虫の声。 立ち止まった途端、そこに時間がせめぎ合う。 たくさんの情報が沸き立ってくる。 聞こえるも