短編小説「太郎ちゃんのおかっぱ」
太郎ちゃんは、おかっぱ頭だ。
ずっときれいなおかっぱ頭だけど、髪の毛って全部同じ速度で伸びているのかな。なんでバラバラにならないの?すごく定期的に切ってるのかな。それにしてもサラサラだ。
わたしは混合毛、まっすぐ毛とうねうね毛が混じり合っていて天然パーマというほど可愛いものでもなく、もっさりしている。毛も多いし。わたしが太郎ちゃんと同じようにカットしたら、それはもうどうにも収まらなくておかっぱにはならないだろう。おかっぱが出来るってすごくスペシャルだ。サラサラな太郎ちゃんの毛が羨ましい。
「出発しまーす!」通学団のリーダー井上さんの甲高い声が響く。今日もこの暑い中、学校へ行かなきゃいけないなんてめんどくさい。でも風があるからマシな方か。振り返ると、太郎ちゃんのおかっぱは強い風のせいで少し変形していた。
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