【10デリ】横山広美先生との意見交換会
7月25日、理系女子が少ない理由を研究している東京大学教授の横山広美先生と意見交換を行いました。
世界と比べたときに、日本がいかに異常か気付かされるお話をたくさん伺うことができました。
本記事では、意見交換会で得た学びを共有したいと思います。
横山広美先生のご経歴
横山先生は大学院までは実験物理を専攻していましたが、現在はAI倫理やジェンダーと理工学といった科学論を専門としています。
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 副機構長
東京大学学際情報学府 教授
日本は異常?海外と比べる、理系女子率の低さ
東大理一は特に女子率が低く、男子学生しかいない、いわゆる「男クラ」が存在します。
東大の理工学部の女子比率は、12-13%と2割にも満たない水準です。
日本全体で見た時もOECDの中で最下位です。
(「工学・製造・建築」OECD平均:26% 自然科学・数学・統計学」OECD平均:52%)
特に物理、数学、機械工学で女性比率が著しく低くなっています。
参考:UTokyo OpenCourseWare 「なぜ理系に女性が少ないのか」2024/8/3
理系女子が少ないのは「社会」の問題
それでは、なぜ日本は世界的にみても、理系女子がこれほど少ないのだろうか?
横山先生は、その理由は日本社会の構造にあると言います。
「優秀な女性」が正当に評価されない社会
同じ役職や仕事をしていても、女性の方が給与が低かったり評価を得られなかったりするという調査結果が出ています。
このような社会の現状は、女性が頑張って勉強しても無意味だ、理系に進むなら社会的ステータスの高い医師や薬剤師になるべきだという考え方を助長しています。実際理系に進む女子が少ないことも事実ですが、理系に進む女子の中でも偏りが生じています。生物・化学は3−4割に対し、物理・数学・機械工学などは2割未満です。
女性は数学・物理が向かないというバイアス
このバイアスは大きく分けて2つあります。
一つ目は、能力的なバイアスです。
「男女は生まれながら脳が違っていて、男性の方が数物が得意だ」と思っていないでしょうか。時々「男性脳・女性脳」の言説を耳にすることがありますが、これは実は誤解です。数物の成績を比較したとき、男女で大きな差はありません。しかし、女性は生まれながら数物は不向きだというバイアスが、進路選択で影響を与えてしまっています。
二つ目は、学んでも意味がないというバイアスです。
中学の進路選択では、本人の意思よりも保護者や教員の影響を強く受けることが多いという調査結果が出ています。そのため、就職を視野に入れた選択になってしまう傾向があります。
女性が理系の勉強をしても就職先がない、というバイアスが結果的に文系や薬学・医療系の選択を促しています。しかし、近年は理工系の女性の需要は高く、資格を持つ薬剤師や医師でなくても、就職の選択肢はたくさんあります。
10デリにできること
東大側が東大理系の女子と直接対話できる場を設ける
東大では2024年4月に多様性包摂共創センター(IncluDE)が開設され、その中のジェンダー・エクイティ推進オフィスが学内の女子学生支援や女性教員を増やす取り組み、女子中高生向けのイベントの開催などを行なっています。しかし、課題として大学が女子学生の生の声を聞ける機会が十分にないことがあります。そのため、10デリでは今後、東大側が東大理系の女子のヒアリングができる場をセッテイングしていきたいと考えています。
まとめ
理系に進む女子が少ないから悪いのではなく、「社会風土」が女子学生の選択肢を狭めていることが大きな社会課題だと考えています。
今回の意見交換を通して、課題の構造への理解を深めることができました。
今後も継続的に理系女子率低い問題について考え、実際にアクションを起こしていきたいと思います。
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