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[0・1デリ企画]東京都 金融経済教育ゼミナール2024/10/17

2024/10/17(木)六限

この度は6月に引き続き東京都の金融経済教育の一環として加藤寛之先生をお呼びし、ファンダメンタル分析に関する講義を実践形式で開催しました。3名の学生が事前に分析を行った上でプレゼンを行いそれに対するフィードバックと講義をしていただきました。

加藤先生はドイツ証券株式調査部にて機関投資家向けの調査をご経験された後、Point72 Asset Management及びゆうちょ銀行にて資産運用を担われました。現在はファンダメンタル投資家向けのリサーチマネジメントシステムの開発のためGyoseki株式会社を設立され、日本の金融リテラシー向上のためGyoseki勉強会及びGyoseki大会を運営されています。

※本ゼミナールは投資の勧誘を目的としたものではありません。また、投資の成功を保証するものでもありません。


ファンダメンタル分析とは

 まずは本ゼミナールで扱ったファンダメンタル分析についてご説明いたします。ファンダメンタル分析とは簡単に言えば、企業の財務指標の推移を元に将来その企業の業績や株価がどのように推移していくのかを分析することになります。
 より具体的に言えば、企業は3ヶ月おきに決算短信を発表するのでそこに掲載されている純利益や純資産などからPERやPBR、ROEといった指標を算出しそれを元に株価が割高・割安なのか、企業の安全性や成長性がどれほどのものなのかを分析することが必要となります。これによって将来の企業の業績や株価がどのように推移してくのかを予測し、ひいては今が売り時なのか、買い時なのかそしていつ売れば利益が出るのかの予測が可能になります

プレゼンテーション

 今回は私を含めた3名が事前に任天堂の業績などを分析した上で加藤先生の前でプレゼンテーションを行いました。私自身は初めてのファンダメンタル分析でしたが、任天堂の決算短信や決算説明資料を分析していくにつれてその面白さに魅了され気付いた時には30ページ以上のスライドを作成していました。他2名も任天堂のIP資産価値に着目するなど、独自の視点や考え方をうまく反映したプレゼンを行うことができました。


プレゼンの様子です

フィードバック

 3名のプレゼンの後、加藤先生によるフィードバックをいただきました。大変ありがたいことに、加藤先生からは三人とも良いプレゼンだったとの評価をいただきました。ただ、三人とも定性的な予想はできているが、定量的な予想ができていなかったという指摘をいただきました。私自身今後の株価の大きな動きの予想はできましたが、それがどの程度のものなのかを予想することができませんでした。
 フィードバックをいただいた後、ファンダメンタル分析に関する講義をしてくださいました。

任天堂の業績モデル

 任天堂の基本的なビジネスモデルはハードを売ってソフトを売ることです。つまり、先にWiiや任天堂Switchなどのハード機器を販売してから、ソフトを売るという形式です。したがって、ソフトの売り上げはハードの売り上げに連動することがわかります。
 また、今までの傾向としてハードの累計台数は発売から7~8年目がピークなので8年目まではソフトが売れやすい傾向にあります。
8年が経過すると新ハードウェアが販売されることが多いですが、この時期には新ハードがまだ市場に普及していないためソフトは売れにくい傾向にあります。
 以上のことから、Switchの現行モデルがどれくらい売れるか、今年度発表予定のSwitch後継機がどれくらいの販売台数になりそうかなどを考え、足元の減益傾向がどの水準までになりそうかを予想することが重要です。そうすることにより、株をどの株価水準で買いたいか、どこまで下がるリスクがあるか、など事前にプランできるようになるからです。

限界利益率

ファンダメンタル分析を行う上で重要な財務指標として限界利益率
をご教授していただきました。限界利益率とは、売り上げを増やした時にどれだけ利益が増えるのかを示す指標です。今回の任天堂の例で言うと、ソフトの限界利益率は高く、ハードのそれは低いです。この指標も業績予想に盛り込むことが必要です。

相対的な考え方

企業分析を行う上でさまざまな要素を他の銘柄と比較することが重要です。今回の任天堂の例で言えば、任天堂の業績予想やバリュエーションをソニーやカプコンと比較することで、どれが割安か見えてきます。また、これだけではなく他の銘柄と株価の推移を比較することにより、市場はいつどの銘柄を評価したのかを確認することができます。

終わりに

 今回は東京都の金融経済教育事業の一環として、より実践的なファンダメンタル分析の講義を行いました。株や投資をすでに自分で行なっている学生にとっては、今後の株価の予想にとても有用な機会となりました。また、株や投資の経験があまりない学生の中には書籍を購入し金融の勉強を始めた学生もおり、大変貴重な機会となりました!

 私は自分で株式投資を行ったことはなかったのですが、これを機に書籍などで勉強しながら実際に株式投資を行ってみようと思いました!また、ファンダメンタル分析が大変面白かったので、自分の興味分野に「金融」と言う新たな選択肢が生まれました!

東京大学Diligentは、東大生のキャリアの視野を広げる機会をさまざまな形で提供しております。ご興味を持っていただけた方は、ぜひ下記のHPや他のnote記事もご覧になってください!

文責:矢田 雅治


 



 
 


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