ドイツ歌曲の楽しみ Freude am Lied⑯
生のコンサートでは“今まさにここで生まれる音楽”を共有していただける喜びがあります。その時間を1曲1曲切り取って“今まさに”のひとかけらでもお届けできたら!とお送りするドイツ歌曲の楽しみ Freude am Lied…
16曲目もシューマン♪ …ひとかけら、届くかな?
シューマンSchumann : 小さな民謡 Volksliedchen Op.51-2
ソプラノ 川田亜希子 ピアノ 松井 理恵
朝一番に緑色の帽子で庭に出てまず思う事は…
私の恋人は今 何しているかしら?
夜空の星に、私が彼に捧げられない星など一つもないし
もし心を取り出すことができるのなら喜んで彼にあげちゃうわ
朝一番に緑色の帽子で庭に出てまず思う事は…
私の恋人は今 何しているかしら?
詩は前回の「献身の花」と同じく、ドイツの詩人フリードリヒ・リュッケルト(Johann Michael Friedrich Rückert 1788- 1866年)による。
なんて可愛らしい曲なんでしょう! 弾む足取りで庭に出てみると、1つの考えが浮かびます「彼、今何してるかしら?」と。
この感情、皆さん、共感できますよね。ウキウキとした朝の気分、庭に出るその足取り、急にはじける恋の喜び…。まあ、浮かれポンチの歌ですね。恋をしていると寝ても覚めても相手のことばかり考えてしまうもの。他愛のない、でも真剣な想いが込められた愛すべき一曲です。
「朝一番に緑色の帽子で庭に出て…」の第1節ではピアノはスタッカートでふんふんと庭を歩く足取りを奏でています。第2節ではピアノも歌も高音を避けて、真面目な音色を用いて大袈裟に愛を歌っています。後半に第1節が繰り返されますが、前半のメロディをコロコロ笑うようなリズムに変えたり、気まぐれな鼻歌のように半音階の下降形をつかったり、それはそれは嬉しそうに歌もピアノも音楽を展開させています。前奏なしで始まった曲ですが、やはりシューマン!長めの後奏がついています。
皆さん、志村けんさんと加藤茶さんの“ひげダンス”をご存知ですか?私はこの曲を歌う時にいつもあの面白い動きを思い浮かべます。軽やかな足取りが考えの発見でピタッと止まる!…いかがでしょう?少しでも“なるほど”と思っていいただけますでしょうか?
ピアノの松井理恵さんがこの曲の緑の帽子について面白く書いています↓↓↓