好きな人とお鍋を囲んだ。
自分から連絡するのが苦手だ。
それが彼氏であろうと、友達であろうと、長年の付き合いの親友ですら送信ボタンを押すのを少し躊躇うくらい。
もらった連絡に対してのレスは早い方だと思う。連絡が苦手というより自発的な行動が苦手なのかもしれない。
好きな人への連絡はとても厄介。ただ会いたいだけなのに、"会いたい"と友達でしかない私はそう言えないから。だからいつも理由を作る。
「冬が終わる前にお鍋など食べたいのですが!」
思い切ってお昼頃に送ったメッセージ。気付けばその日の夕食は彼とのもつ鍋になってた。
美容院終わりの彼はいつもの癖で短くなった前髪を触りながら携帯を触っている。出会ってそんなに長くなくとも、なんとなく癖は見えてきた。色々あって私と彼はとても近い距離にいるような気がしてしまうけれど、多分思っているほど近くなくて、ちょっと遠いのかもしれない。
美味しいお鍋を締めまで食べて彼の家に向かう。お酒も少し入っていて楽しい。彼も私もお酒が好きだ。
彼と会う時はいつも彼の家に泊まる。特に決めている訳でもないけれど、初めて会った時に彼の家に泊まったからそうなった。私は一緒にいられる時間が長くなるから嬉しい。
一度マッサージをしてあげてから気に入ったようで、毎度要求してくる。けれど口では言わなくて、無言でベッドに寝転ぶとおねだり顔でこちらを見る。その視線に負けて背中をほぐしはじめると「わぁ、マッサージ屋さんだぁ。」って。可愛いな!私の女子にしてはちょっと強めな指圧がちょうど良いらしい。特に足の裏がお気に入り。
頭を撫でると少し口角が上がる。可愛いからたくさん撫でてしまうけれど、頭を撫でられるのが好きなのかは知らない。でも変な体勢でも頭を向けてきたり膝枕してくるから嫌いではないと思う。
会うのは基本的に平日。自由業の私と違って平日の決まった時間に働いている彼の朝は早い。けれど彼は朝が弱くて大きなアラームの音で目を覚まし、のそのそと擦り寄ってくる。朝から可愛いのでまた頭を撫でてしまう。ギリギリまでベッドで過ごし、家を出る時に「昼までゆっくり寝てな。」と鍵を置いて行ってくれる。その時はかっこいい。
また好きが重なった。