りんご
よく僕は悩んだり、迷ったりしたら
りんごを買う。
普通にすきでよく食べるんだけど
そうではなくて
僕の原点がりんごなんです。
小さなころ、絵の教室で先生は美大出身のおばあちゃん。生徒は4人。
テーブルの真ん中にりんごを置いて、それを子ども4人がそれぞれ絵を描く。
りんごというとこれというぐらい決まった画角や向きが存在しているのだけど
4人はそれぞれ自分が座った席から見えた自分のりんごを描く。
光や影も位置によってばらばら。
サイズも色もその子によって違う。
いま思えば、あれの意図はりんごを綺麗に描くことではなく、りんごですらいろんな顔を見せることや、人によってどう見えるか、どう感じるかで表現方法は変わってくるというアートの本質や人間の本質をおばあちゃん先生は教えてくれてたのかもしれない。
そんなことを大人になり、一クリエイター、一アーティストとして食べていってる身としては思うのです。
迷ったりしたらりんごを買って、向き合ってみる。
そんなことを日々しながら生きています。
久しぶりに油絵のあの匂いに包まれたい。飾ってある花やいま思えばヴィンテージの家具で溢れていた、あの部屋の匂いを思い出した。
先生、どこかで元気にしてるかな。
僕は元気にしています。