第15回 たちかわあすなろフェスタ に行ってきました
はじめに
2024年12月1日、天気も良く気持ちいい日曜日だったので、昭和記念公園を散歩して立川駅に帰ろうとしたところで、偶然に立川のサンサンロードで開催中だった「たちかわあすなろフェスタ」を発見したので、ちょっと立ち寄ってみました。
たちかわあすなろフェスタとは?
立川拘置所矯正展
立川拘置所が開催する、刑務所作業製品の展示即売会、ということで、実際に受刑者が制作した革製品などが買えたり、他にもキッチンカーが出たり、職員によるバンド演奏などが行われていたりしました。
これが噂のブルースティック・・・!
前々から色々なメディアで話題になっていた、刑務所で作られる固形洗濯石鹸「ブルースティック」が店頭販売されていて、なかなか実物を見る機会も使う機会もないので、購入させていただきました!(ABEMAさんの記事では2023年時点の価格のようで、詩雀が購入したこの日は3本500円でした。)
さっそく家に帰ってから、洗濯してもしても落ちない油染みが気になるテーブルクロスにスリスリ・・・そのまま洗濯して仕上がりを見たのですが、やっぱりいつもよりも落ちが良い!噂に違わぬスゴイ奴です・・・!
性格検査体験
そのままフラフラ見ていると、先着300名限定で性格検査を体験できる!ということで、これは豆腐メンタル詩雀の腕の見せどころ(?)とばかりに受けてきましたよ。
マークシートで60問の設問に答えて、それをもとに「繊細さ」「意志の弱さ」「怒りっぽさ」「よく見せたい気持」「朗らかさ」5つの項目について、A〜C段階で結果が出ます。A段階はその傾向を平均的に、B段階はややその傾向、C段階は強くその傾向を持っている、とのことのようです。さて、詩雀の結果は・・・
うん、知ってた!相変わらずの豆腐メンタル!
この性格検査、これで簡易版らしく本来はもっとたくさんの設問を答えるそうです。誰が答えるのか?というと、つまり受刑者の方がこれを答えるそうなのですよ・・・。そして刑務官がこの結果を参考に受刑者にどう接するのかの指針にしている模様です。
なお刑務官さんが言うには、この結果は受刑者本人には明らかにはされないそうです。まあ職務上、明かせない内容も多そうだけど、自己理解から得られるものもありそうな・・・どうなのでしょうね?
検察庁の犯罪被害者の方々へ向けたパンフレット
近くには東京地方検察庁がブースを出されていて、子どもから大人に向けて検察がどういう仕事をしているのか、法曹の世界はどういうものか、といった展示やパンフレットの頒布を行なっていたのですが「おぉ・・・これは・・・」と唸ったのがこのパンフレット。
刑事事件の被害者になる、という想定はしたくはないですが、いつ巻き込まれるかわからないので、被害者保護の支援や制度について一回目を通すだけでも違うのかな、と思います。
このブースに立ってらっしゃってお話しさせていただいた職員の方が「私、検事です。」と仰られて背筋が伸びましたね。思わず「私、生まれて初めて検事さんとお話しさせていただきました。」とか訳のわからんことを言ってしまいました。
懲役でも禁錮でもなく、拘禁刑
2025年6月に懲役、禁錮に加えて新たな刑罰「拘禁刑」が創設される、ということもブースで展示されていました。懲役と禁錮だと90%以上が懲役となっているそうですが、禁錮の対象となる事件も減少しているということなのでしょう。
この「拘禁刑」は受刑者の特性に応じて、再犯防止や社会復帰の教育が行われる、ということのようで、一目見て「特別支援教育における個別の指導計画みたいだな。」という印象を抱いたのは自分が教育の現場にいた証だなぁ、と。
NHKニュースの記事にもありましたが、鳥取刑務所では同様なプログラム「福祉支援課程」を知的障害や精神障害を抱えた受刑者に施しているそうです。後でも書くのですが、犯罪に手を染めてしまう人の傾向が変化しているように思えます。
多摩少年院の法務教官からのお話し
最後に立ち寄ったのが多摩少年院のブースだったのですが、自分が教育の現場にいた、ということもあるのですが、学生時代に「家栽の人」(家裁の人、ではない)という漫画を読んでいたこともあり、気になって展示物を見学させてもらいました。
この漫画では、家庭裁判所の変わり者裁判官の桑田判事が主人公で、家庭裁判所で行われる家事事件の調停・審判はもちろんですが、少年事件の調査・審判も描かれており、当時は大変影響を受けたものです。
このブースでは現役の法務教官の方がいらっしゃって話してくれたのですが、自分が元教職で「家栽の人」が好きだったと伝えると、色々と教えていただけまして。もちろん現実はそんな綺麗事にはいかない、というのは重々承知なのですが。
私の知識のアップデートができていなかったようで、中等少年院や医療少年院みたいな区分があったかと思うのですが、2022年4月施行の少年院法で名称が変更されて第一種から第五種の5種類に変わったそうです。
多摩少年院は中等少年院から第一種少年院へと変わったそうです。ここから大学へ進学した少年もいたんですよ、とおっしゃっていたのですが「でも、今は少年院に入る子どもの質が変わってきたんです。」ともおっしゃっていまして。
少年院での規則正しい生活を文面で見せても理解できなかったり、こだわりが強い少年が増えた、ということを仰っていて「もしかしてLDやASD傾向が・・・?」と言ったら、まさに!という感じの反応をされていたのが印象深かったです。
さいごに
拘禁刑の導入であったり、少年院に入る少年の傾向の変化であったり、共通して感じたのは、知的障害、発達障害、精神障害を抱えて、社会とうまくつながれないまま事件を起こしてしまう人が増えているのだろうか、という思いです。
闇バイトの増加など、境界知能の問題などとも密接に関わる領域かと思うのですが、こういう人たちが生きやすい場所や、かつ間違いを犯して社会に戻ってきた時受け皿となる場所が少ない結果、再犯に繋がるのかなと思うとやるせないですね。
詩雀はまだ正解を持ち合わせていないですが、まずは知ること、そして考えることはこれからも続けていければと思います。期せずして大人の社会科見学をさせていただいた、たちかわあすなろフェスタにお礼申し上げます。
今回はここまでです。ありがとうございます。