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【専門医解説】ヘバーデン結節を自分で治す!エビデンスある体操とは?

今回は「指の関節の痛み・腫れを自分で治す!」がテーマです。

ヘバーデン結節を自分で治す!エビデンスある体操とは?をお届けします。

※このnoteでは、整形外科医:歌島大輔が医学的根拠をもとに、わかりやく、かつ実践的な医療健康情報をお届けします。
ときどき出てくる「ふんぞり男」とは、その名の通り、ふんぞり返って態度がデカい患者さんです。


「へーバーデン結節」というと、なぜかYouTubeで多く再生されるテーマとしてマジメな動画から、医学的根拠がない怪しい動画までたくさんの動画が公開されています。

マジメな動画として、こちらの動画は多くの方にご覧いただきご好評です。

ふんぞり男 「いきなりお前味噌だな」

お前味噌って初めて聞きましたが、そんな言葉あります?

でも、とりあえず、手前味噌でしたね。

で、この動画もかなりわかりやすくヘバーデン結節について解説しましたが、今回はそれを上回る動画を目指して医学論文などもちゃんと調べております。
あなたはこんなお悩みをお持ちではないでしょうか?

これらのお悩みに対する解決策の1つになれるよう、医学的根拠がある情報をわかりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

という3部構成でお届けいたします。
では早速行きましょう。

1.ヘバーデン結節の真実

ふんぞり男「真実とか言って、ドデカく出たなぁ!大丈夫か?」

大丈夫じゃないです。全然。
だって、いくら医学論文をかき集めてエビデンスって言っても、それが真実までは距離があります。
エビデンスレベルが高い論文すら将来覆ることがあることがあるわけですから。

でもですね、そういうレベルじゃなくて、本当に医学的根拠がないとか薄すぎる話を平気で断定的に真実かのように話す専門家さんが多すぎて、ちょっと困惑しているんです。
ですから、あえて真実って表現を使いました。

まず基本中の基本「ヘバーデン結節とは何か?」って話なんですが、

これは指の関節の中でも一番先端の関節の軟骨がすり減ってしまった結果、指が太くなったり、痛みを感じたりする状態のことを言うんですね。

ふんぞり男「軟骨がすり減ったら、細くなるんじゃないのか?」

たしかにすり減るってそんなイメージありますよね。
でもね、すり減るのは軟骨であって、その結果周りの骨は太くなるんですよ。

これは身体の防御反応の1つだと考えられています。
軟骨がすり減ると、関節としては正常じゃなくなるわけですね。

例えば、軟骨がすり減ると、関節を構成する骨と骨は近づいてしまいます。
関節の隙間が狭くなるわけですね。

スキマが狭くなると、関節を繋いでいる靭帯が緩んじゃうんですよ。
靭帯が緩むと関節は不安定になります。グラグラですね。
それだと困るので、骨で補強しちゃうんですね。

だから骨が太くなって、ヘバーデン結節と呼ばれるような状態になっちゃうわけです。
靭帯が緩むことだけが理由じゃないですが、わかりやすい1つの説明として解説いたしました。

ちなみに「第1関節に起こる軟骨のすり減り、すなわち変形性関節症をヘバーデン結節」と言い「第2関節にできるのをブシャール結節」と言います。 

このヘバーデン結節などは病院やクリニックではどのように診断されるのか?っていうと、まず症状で第1関節が痛いとか腫れているとか診察で確認した後に、レントゲンで所見を確認します。

そこで先ほどお伝えしたように、関節のスキマが狭かったり、骨が太くなってしまっていたりすれば「ヘバーデン結節ですね」って話になることが多いかと思います。

一方で、指の関節が痛いから何でもかんでもヘバーデン結節やブシャール結節などの軟骨のすり減りを原因にしていいかと言うと、そうではありません。
一番、注意すべきモノとして「膠原病」があります。

膠原病の中でも第2関節の痛みや腫れの場合には「関節リウマチ」

第1関節の場合は「乾癬性関節炎」である可能性を説くに念頭に入れておかないといけません。

これらをチェックするには関節の炎症以外に

「皮膚に異常がないか」や「血液検査の異常がないか」などを確認します。

もちろん、毎回血液検査をするわけではないので、ご安心ください。
ヘバーデン結節を診断されたら、どんな治療法が一般的に行われるか知っていますか?

実は、多くの場合は年齢のせいだと片付けられてしまい、特別な治療は行われなかったりするんです。
「歳のせいですね」で一蹴されてしまう患者さんが続発しております。

このヘバーデン結節やブシャール結節などの指の変形性関節症は、こちらの論文(*1)によると、

・男性よりも女性で高率に起こる
・握力が10%ほど低下する
・小さなものを書いたり、扱ったり、指を動かしたり、5kgくらいのものを運ぶことがより困難になるという傾向があるんですね。

手や指の働きって二足歩行に進化して以降、人間が人間たる大事な機能ですから「年齢のせいだから諦めなさい」ではあまりに無責任な話だったりするわけですよね。
そして、実際には自分でできる対策ってあるんです。

そもそも指の痛みや変形って辛いですよね。
ヘバーデン結節は関節がどんどん太くなっていくので、見た目が気になるという人も少なくないです。
そんな悩みを抱えている方に、今回は医学論文に基づく効果的な体操を紹介したいと思います。

2.医学論文に基づく効果的な体操

僕が調べた中で、特に興味深い2つの論文を見つけました。
まず、2002年のこちらの研究(*2)。

この研究では、手指のヘバーデン結節などの変形性関節症において「生活指導とホームエクササイズを3ヶ月間行った結果、握力が25%向上し、痛みは65%の人が改善した」ことが報告されています。

一方、病態説明のみを受けた人で、痛みの改善が見られたのは20%のみだったとのことです。

つまり、セルフケア・セルフエクササイズでも痛みや握力が改善することがあり得ることが示されていますね。

では、実際にはどういうセルフエクササイズ・体操が行われているかということをご紹介します。

まずこれらの体操やセルフエクササイズの目的を知っておきましょう。

可動域拡大:痛みを増やさずに関節が動かせる範囲を増やすこと
筋力アップ:使い勝手のいい手と指のための力強さを獲得すること
関節安定性アップ:軟骨がすり減るとグラグラになりがちな関節を安定させること
変形予防:これらの結果として変形が進まないようにしたい

現時点でこれらがすべて達成できる魔法のエクササイズは存在しませんが、それに近づけるために一般的に指導されているエクササイズをちゃんとやるってことが現時点では最も近道だということは言えると思います。

そして、この目的を達するために、もうちょっとだけ考えたいのは「指って何するもの?」ってことなんです。

ここを考えないと「バランス良く鍛えよう」っていう一見誰も否定できないコンセプトのもと、指を動かすすべての筋肉をバランス良く鍛えることになります。

例えば、指を伸ばす、反らすこの動き。
僕は結構関節が柔らかめなので結構反るんですが、この動き必要ですか?って話です。

ふんぞり男 「そんなに反るなら、お前、指でマトリックスできるぞ!」 

っていう苦しいボケをふんぞり男さんにさせるくらい実用性が低めです。

逆に、指で大事なのは何かと言えば言うまでもないかもしれませんが、モノを掴む、つまむ、挟むっていうことですよね。
となると、指は曲げる方向や開閉方向を鍛えたいんですね。

ですから、一般的に行われるエクササイズはザックリ、これからお伝えする3つです。

指曲げエクササイズ

握る、つまむって動作が大事って話をしましたが、単に握るって言っても、グーにするだけじゃないんですよね。
なぜなら、指には3つも関節があるからです。

一応名前がついてるのでお伝えすると、第1関節から「DIP関節」「PIP関節」「MP関節」という名前がついています。

つまり、ヘバーデン結節はDIP関節の変形性関節症、ブシャール結節はPIP関節の変形性関節症ということになるわけです。

で、この3つの関節があるわけですが、これを全部曲げると握るってことになるわけですが、もう2つ運動のバリエーションを足してエクササイズしたいです。

1つは何かを引っかけるような動き。
先端2つの関節だけ曲げて、MP関節は伸ばす動きです。

そして、3つめがその逆。
先端2つの関節は伸ばして、MP関節だけ曲げる。

この3種類の指曲げを1日10回、痛みを感じない範囲で大きく動かすことをやってください。

指つまみエクササイズ

つまむっていう動きは基本、親指と他の指で行いますよね。
これをそれぞれの指で10回ずつやりましょう。

オススメは順々に10回転させる感じです。

・痛みを感じない範囲で
・丁寧に
・力を込めてゆっくり10回

1回1回、痛みがない範囲で丁寧に動かしていきましょう。

指開閉エクササイズ

最後は挟むっていう動きに関連したエクササイズです。

この動きは、特に手の平や手の甲にある小さな、でも大事な筋肉達を使うものになります。

でも、やることはシンプルです。
指を伸ばした状態で大きく開いて、完全に閉じるを繰り返すだけです。

ただこうやってやると、どうしても指の曲げ伸ばし方向の動きも混ざりやすいので、ちょっと効率が悪いと考えられているんですね。

ですから、手の平を机につけた状態でやったりするんですが、それすらも机がないとできない。

だから、両手で拝む状態にしてやるのがおすすめかなって思っています。

・痛みを感じない範囲で
・大きく丁寧に
・力を込めてゆっくり10回

いずれも1日10回やるだけなら、習慣化できそうじゃないですか?
大切なポイントは痛みが出ない範囲でやることと、1つ1つ丁寧にやることになるかと思います。

雑にぱっぱと動かして10回〜じゃ、効果が出なさそうですよね。

3. ヘバーデン結節のセルフケアで健康な指を取り戻す

セルフエクササイズ以外にもセルフケアとしてできること、考えるべきことってあるんですね。
先ほどご紹介した論文(*1)を思い出してみてください。

研究では手指のヘバーデン結節などの変形性関節症において「生活指導」とホームエクササイズを3ヶ月間行った結果、効果的だったって話なわけですよ。
つまり、エクササイズだけじゃなくて「生活指導」っていうのがあったんですね。

これこそ、セルフケアをご指導したということになります。
では、一般的にどういうことが指導されるのか?ってことなんですが、主に4つ挙げられます。

それぞれ解説を加えますね。

1.関節保護のポイント

ヘバーデン結節の症状を軽減するためには、日常生活で関節保護が大切です。
関節保護とは「関節に過剰な負担がかからないようにする工夫」のことです。

例えば、重い荷物を持つときは指の関節に負担がかからないように、手全体でしっかりと支えるようにしましょう。
また、作業を行う際は、指先だけでなく、手のひらや手首も使って力を分散させることが大切です。

先ほどセルフエクササイズもヒントや助けになります。
握るって言っても3種類のバリエーションがありましたよね。

3つめのMP関節を曲げる動きに頼ってモノを握ると、こう握ることになって、

2つめの先端2つの関節を曲げる動きに頼ると、こんな感じになります。

多くの場合負担が強いのは後者、こっちですよね。

もちろん、掴むモノの大きさや性状にもよりますが、掴み方は1つではないっていうことは工夫するヒントになりますね。
あとは、つまむ動作も同様です。

親指の相手は人差し指だけじゃないってことです。
「負担を分散させる」ってことも大事なポイントになるんです。

痛みが強いときは自然とそういう工夫をするモノですが、痛みが強くないウチからそういう工夫をするっていうことが進行予防にも大切かもしれません。

2.補助器具の活用

日常生活での補助器具も活用して、関節への負担を軽減することができます。
例えば、ペンを持つ時に指先にかかる力を分散するために、ペンを太くして持ちやすくするようなペングリップや、瓶を開ける際に力をかけやすくする瓶開けグリップなどが有名ですね。

これらの補助器具を使うことで、日常生活での関節への負担を減らすことができます。
通販サイトなどで「生活補助器具 手」で検索するといろんな器具が出てきます。

3.テーピング

ヘバーデン結節に対して、その関節をシンプルに覆うように巻いちゃうだけなんですけど、これが意外と効果的と感じている整形外科医は多いです。
こちらについては、詳しくはじめの動画でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
では最後、

4.進行予防策

ヘバーデン結節が悪くなる・進行してしまう要因っていうのが研究でも明らかになっているんです。

こちらの2021年の研究(*3)では、

女性・高齢・ヘバーデン結節の家族歴・指の骨折・分娩・女性+BMIが高いことだったようなんです。

この中でセルフケアでどうにかできるのはBMIくらいですよね。
太り気味の人は、これを機会に食生活や運動習慣の見直しをするのも良いかもしれません。

それがよりオススメできる理由として、こちらは2020年の研究(*4)で、
ヘバーデン結節やブシャール結節などの進行リスクとして、エビデンスがあるのは「糖尿病」だったってことなんです。

となると、やはり食生活、運動習慣を考えたいですよね。

糖尿病に関しては、こちらの動画も好評です。 

本日の一言


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参考論文

(*1)Yuqing Zhang et al. Am J Epidemiol. 2002 Prevalence of symptomatic hand osteoarthritis and its impact on functional status among the elderly: The Framingham Study

(*2)Tanja Alexandra Stamm et al. Arthritis Rheum. 2002 Joint protection and home hand exercises improve hand function in patients with hand osteoarthritis: a randomized controlled trial

(*3) Karishma Shah et al. Rheumatology (Oxford). 2021 Prognostic factors for finger interphalangeal joint osteoarthritis: a systematic review

(*4) Karishma S et al. Rheumatol Int. 2020 Risk factors for the progression of finger interphalangeal joint osteoarthritis: a systematic review

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