気をつけたい朝食【死亡率が上がる朝食エビデンス】
「心筋梗塞などの心臓血管系の病気での死亡率も、それ以外の全体の死亡率も上がることがわかっています」
今回はエビデンスを基にした健康的な朝食がテーマです。
気をつけたい朝食【死亡率が上がる朝食エビデンス】をお届けします。
シンプルに言うと、医学論文などの論文が示す健康的な朝食ということを解説していきたいと思います。
※このnoteでは、整形外科医:歌島大輔が医学的根拠をもとに、わかりやく、かつ実践的な医療健康情報をお届けします。
ときどき出てくる「ふんぞり男」とは、その名の通り、ふんぞり返って態度がデカい患者さんです。
気をつけたい朝食とは!?
ふんぞり男「ふわぁああ、ねみぃなあ。」
あ、おはようございます、ふんぞり男さん。
朝ご飯は食べましたか?
ふんぞり男「は?面倒くさい、遅刻するから、食わん!」
あ、珍しく気が合いますかね。
僕も基本、朝ご飯食べないんですよ。
ふんぞり男「なに?俺はいいが、お前はダメだ!このテーマを解説する資格ナシ!」
いやいや、このチャンネルは「すごいエビデンス治療」ですよ。
別に僕の経験したことを伝えるチャンネルじゃないんです。
僕が医師として医学情報をわかりやすく伝えることができれば、僕が反面教師でもいいんですよ。
むしろ、その方が面白いかもしれませんね。
今回の内容をご覧いただくと、以下のようなご質問にお答えできるようになっております。
そして、3つのテーマに沿って、エビデンスをもとに解説していきます。
健康的な朝食を考える上で、まずこの3つを押さえておけば、相当に知識が整理され、あなたなりのベスト朝食習慣を築けると思います。
では早速いきましょう。
1.そもそも朝食は食べるべきか?
ふんぞり男「そりゃ、食うべきだろうが、何言ってんだ?」
あなたが言いますか・・・って感じですが、一般的にはそうですよね。
でも、一般的な常識が意外と医学的根拠がないってこともあるんで、ちゃんとチェックしてみましょう。
例えば、この論文(*1) 。
朝食抜き生活、平均2ヶ月によって体重は有意に減少したってことなんですよね。
ふんぞり男「なに?朝食抜けば痩せるのか?」
まあ、そりゃ、朝食を抜いて食事の総量が減れば体重も減りますよ。
でもですね、この論文(*2)では、習慣的に朝食を抜く人と、抜かない人を比較しています。
具体的には週3回以上朝食を抜く人は、2回以下の人に比べ肥満のリスクが11%増加したとする研究です。
やはり、習慣的に朝食を抜くと、太る傾向すらあるということは大事ですね。
さらにです。
こちらの研究(*3)では、朝食抜き生活を長期的に続けると、心筋梗塞などの心臓血管系の病気での死亡率も、それ以外の全体の死亡率も上がることがわかっています。
ふんぞり男「おい、朝飯、食うぞ!」
ですね。
2.朝に最も重視すべきこと
「朝食は食べた方が良さそう」ということがエビデンスではわかったわけですが、この朝において最も大事なことって何かわかりますか?
「元気が出るメシか?」
お、おお、大事ですね。答えはシンプルです。
「水分補給」です。
ちょっと基本的すぎることですが、お付き合いください。
就寝中、そして朝起きたときにどうしても脱水状態になるのは常識ですよね。
だからこそ、寝る前に水分を摂取しましょうと言われるわけですが、それでも何時間も寝ている間に水分摂取は中々できないわけです。
ですから、朝の時間に絶対的にやらないといけないのは水分摂取なんですね。
これは朝食を抜いてしまう僕も必ずやっていて、意識しています。
この水分摂取という視点で見ると、実は和食と洋食、どっちが良いかも1つ答えが出ます。
それは主食の米とパンの水分量の違いです。
ご飯は60%くらいが水分なんですが、パンは30-40%なんですね。
そうなんです。
意識して、水分摂取することが大事なんですが、朝食習慣の中でも「和食」を選び、ご飯を食べることで水分補給にもなり得るということなんですね。
ここは実は見落としがちなポイントかもしれません。
さらに、朝食の内容に迫っていきます。
3.血糖値スパイク
朝食の内容においては、やはり栄養素が気になりますよね。
どういう食品を選ぶべきなのか?
ふんぞり男「おお、この間、ホテルに泊まったんだよ。あれ、いつも迷うよな。朝食の和食にしますか、洋食にしますかってやつ。」
そうそう、それはよいテーマです。
例えば、この論文(*4)では、和食を中心とする食生活では、以下の2つが低下したと言われています。
・血圧
・悪玉コレステロールと言われる、LDLコレステロール
ですが、洋食的なパンと牛乳を中心とした食事では、コレステロールが上がってしまったとする研究です。
それ以外にも一般的には「洋食より和食が健康的ですよ」っていう研究は多いです。
ただ、和食なら何でも良いかというと、白米の量には注意が必要です。
白米などの主食について考えるときに、グリセミック指数については押さえておきたいです。
グリセミック指数は「グリセミックインデックス」「GI」と略されますが、食品毎の血糖値の上がりやすさ、上がる速度の指標です。
これが高いと血糖値が急激に上がりやすいわけです。
俗に言う「血糖値スパイク」というやつですね。
この血糖値スパイクは肥満の原因のみならず、糖尿病や心臓病の原因になりうることは研究結果も出ています。
そして、こちらの論文(*5)は、日本人女性の食生活におけるグリセミック指数と健康状態の関係を調べた研究です。
実際、白米を多く食べる日本人女性は食事全体のグリセミック指数が高く、
結果として、中性脂肪や血糖値が上がり、善玉コレステロールであるHDLコレステロールは下がることが示されています。
ですから、和食でも「白米を食べ過ぎない」とか「食物繊維を多く摂取する」とか「玄米に切り替える」とか、血糖値スパイクを押さえる工夫が必要だってことになるんですね。
ただ、その視点でも洋食はやっぱり悩ましいですよね。
主食もパンになりがちで、さらに結構、洋食だと甘いものも食べたりするじゃないですか。
・パンケーキ
・フレンチトースト
・フルーツジュース
・スムージー
・果糖ヨーグルト などなど・・。
ふんぞり男「ああ、わかったぞ!お前、次の論文は朝の腹ぺこでメシを食うと、血糖値スパイクが起こりやすいって研究だろ!」
ええ ? どうしました、ふんぞり男さん!
すごい勉強してるじゃないですか?
ふんぞり男「そうだろう、お前よりもスゴそうな医者のチャンネルを見てたら出てきたんだ」
素晴らしいですね。
で、その先生、その空腹時の食事で血糖値スパイクが起こりやすいっていう研究データを出されていました?
ふんぞり男「ん?知らん、そんなこと」
いや、いつも言ってるじゃないですか。
そこが大事なんですよ。
たしかにその先生は僕なんかより、遥かに頭もいい素晴らしい先生なんだと思うんですが、でも、どんな素晴らしい権威ある先生でも、
「エビデンスがなければただの感想」と言われても仕方ないんですよ。
ちゃんとそこを確認してくださいね。
で、僕が調べた限りなんですが、空腹時の方が血糖値スパイクが起こりやすいとする論文、研究データは見つけられなかったんです。
ふんぞり男「な、なにぃ!その医者、ウソつきやがったのか!?」
いやいや、違いますって、その先生のご意見なんですって、多分ですけど。
もしくは、僕が勉強不足すぎて、医者なら誰もが知る常識的な論文があるのかもしれません。
ただ、この動画で僕が医学的根拠を元にお伝えしようとすると、
空腹時だから血糖値スパイクが起こりやすいという可能性について、
気にしすぎないでいいかもしれません。
でもですよ。
朝って、食欲湧きにくいじゃないですか。
でも、脳には糖分が必要っていう一般的な常識と照らし合わせて、
なぜか朝は甘いもので脳の栄養!みたいにちょっと安直にやりがちじゃないですか。
その結果「朝は糖分!」って感じで、空腹時とか関係なく、食事内容としてグリセミック指数が高い糖質を摂取してしまうというのは・・
あまり健康的とは言えませんよね。
ふんぞり男「確かにな、朝こそ糖分!って思っちゃうよな。なるほど、なるほど。」
まあ、朝ご飯を食べない習慣の僕らが何言ってんだって話ですが、
僕もちょっと朝食習慣を見直そうかなって思いますね。
本日の一言
エビデンスによるとやっぱり朝食は食べて、水分摂取を重視し、血糖値スパイクに注意するのが良さそうということになります。
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参考論文
(*1)Jonathan P Bonnet et al. Obesity (Silver Spring). 2020 Breakfast Skipping, Body Composition, and Cardiometabolic Risk: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Trials
(*2)Julia Wicherski et al. Nutrients. 2021 Association between Breakfast Skipping and Body Weight-A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Longitudinal Studies
(*3)Shuang Rong et al. J Am Coll Cardiol. 2019 Association of Skipping Breakfast With Cardiovascular and All-Cause Mortality
(*4)Asia Pac J Clin Nutr . 2018;27(5):1048-1061. doi: 10.6133/apjcn.072018.04. Dietary pattern and its association with blood pressure and blood lipid profiles among Japanese adults in the 2012 Japan National Health and Nutrition Survey Nay Chi Htun
(*5)Kentaro Murakami et al. Am J Clin Nutr. 2006 Dietary glycemic index and load in relation to metabolic risk factors in Japanese female farmers with traditional dietary habits