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医師が絶対やらない間違った健康法・治療法TOP10|いくつ当てはまる?

「絶対にやらない理由は時間とお金の無駄ってことと、健康を害するかもしれないからですね」 

今回は、医師が絶対やらない間違った健康法・治療法TOP10「あなたはいくつ当てはまる?」をお届けします。
健康を害したり、お金を浪費してしまうリスクが高い治療法や健康法について、医者目線で詳しく解説します。

※このnoteでは、整形外科医:歌島大輔が医学的根拠をもとに、わかりやく、かつ実践的な医療健康情報をお届けします。
ときどき出てくる「ふんぞり男」とは、その名の通り、ふんぞり返って態度がデカい患者さんです。


医師が絶対やらない間違った健康法・治療法TOP10

ふんぞり男「出た出た!医者が絶対やらないシリーズ!絶対やらないとか、絶対ウソだろうが!」

はい、イキナリ、多くの視聴者さんのご意見を代弁していただきありがとうございます。
そうですよね。
医者が絶対やらないとか、主語がでかすぎですよね。

医者って言っても本当にいろんな人がいますからね。
ただ、大多数の医者の意見だったり、医者である僕自身が絶対やらないって心に決めていることだったりをご紹介していきます。

そして、その根拠を詳しくお伝えいたしますので、
是非あなたの日々の健康習慣や医療との関わりについて、点検してみてください。

あくまでも、それぞれ100%否定ではなく、基本、僕の個人的な意見であることはご了承ください。

ふんぞり男「いや、いくら個人的な意見っていっても、お前、自分の発言には責任もてよな!影響力考えろ!」

うわ、正論過ぎるアドバイスありがとうございます。
もちろんそうですね。
今までもいろんな方々に配慮しながら、自分の意見は曲げずにいろんな情報発信をしてまいりましたが、それは変わらずですね。
そして、明らかに僕自身も訂正すべきと判断したことについては訂正しますので、ご意見いただければと思います。

ですから、この動画をご覧いただく意味、メリットは次のとおりです。

  • 医者から見て間違っている健康習慣・治療をしているかどうかのチェックができること

  • なぜ歌島が間違っていると考えているかを理解できること

  • 理由を聞いて「いや、自分は間違ってない!このまま突き進む」と思えるかもしれないこと

  • 悩んだらコメントでご相談いただけること

  • ご自身の考えをコメントで主張できること

メリットだらけの企画じゃないかなぁなんて思っています。
つまり、今回のTOP10はすべて完全に間違っていると言いたいわけじゃなく

なので、いろんなご意見を、穏やかに周りの人もリスペクトしながらコメントに寄せて欲しいって本気で思っています。
特にそんな主張がなくてもかまいません。
10個中当てはまるのは2個でしたとか、3個でしたとか、1個もありませんでしたとか、そんな感じでも良いので教えていただけると嬉しいです。

まさか「10個すべて当てはまった」なんていう強者は多分おられないと思うんですが、おられたらぜひご報告くださいね。

医師が絶対やらない間違った健康法・治療法をランキング形式で見ていきましょう。

第10位 軟骨系サプリメント

このサプリメントは、整形外科医が週に1回は質問されることとして有名です。
「グルコサミンのサプリは効きますか?」
「コンドロイチンはどうですか?」
この質問をされる患者さんが悪いわけじゃないです。CMが悪いんです。

だって
「あなたの膝は老化で軟骨がすり減りました。将来は人工関節にするしかないです。」
と冷たく医師に言われた患者さんが、自宅に帰ってテレビで希望に満ちた軟骨系サプリのCMを見たら、そりゃ希望を託したくなるじゃないですか。

 ふんぞり男「そりゃそうだ。で、どうなんだ、無理なのか?」 

これが現代医学の結論ですが、現代と言うのは過去の蓄積です。
しかし、未来はわかりません。
だから、再生医療などが盛んに研究されているわけですね。

ですが、再生医療というレベルで何百万円という費用をかけても、エビデンスと言えるほどの治療効果は出ていません。
それどころか、以前聞いた話では、膝の再生医療クリニックの雇われ院長をやった先生が、高額の治療費を払ってもらうのに全然良くならなくて、罪悪感でツラくて辞めてしまったという話を聞きました。

再生医療ですら、そのレベルなのに、軟骨の成分を口から補給したくらいでどうこうしようというのは無理な話です。

ふんぞり男「んなこと言ったって、お前、飲んでみたっていいじゃねぇか」

はい、ダメだなんて言ってないですよ。
でも、僕は将来、膝の軟骨がすり減っても軟骨系サプリは使わないです。
また、サプリメントだって、成分を濃縮したものですから、食品でもありつつも副作用みたいなものもちょっとは気にする必要があります。

例えば、ワーファリンという血液をサラサラにする効果がある薬を飲んでいる人は、相互作用によって、その効き具合に変化が出る可能性が指摘されています。

これは結構重大で、ワーファリンが効きすぎれば出血しやすくなって、大事な脳などの内臓の出血のリスクが上がります。
逆に効かなすぎれば、もともと持っているであろう血栓などのリスクが高まってしまうわけです。

また、糖代謝にも影響がある可能性も指摘されているので、糖尿病の人も注意が必要ですね。
いずれにしても飲んじゃダメとまでは言えないので、主治医とご相談ください。

第9位 一部のダイエット

ふんぞり男「は!?ダイエット、お前痩せろ!」

いや、あなたと同じ体型ですけど‥‥
もうちょっと締まったほうがいいですね。
でも、一部のダイエットは絶対にやらないですね。

絶対にやらない理由は、時間とお金の無駄ってことと健康を害するかもしれないからですね。

◎ストレッチでダイエット

まずこれですよね。
これは医師なら、特に整形外科医ならほぼ100%に近い人がやらないと思います。
なぜ整形外科医と言ったかというと、他の科の先生方は内臓には詳しいんですが、筋肉や関節には相当に疎いなっていう先生もおられるんですね。
なので、整形外科医からすると「え?大丈夫?」みたいなことをやられていたりするんです。

その1つがダイエット目的にストレッチに励むってことですね。

これは、わかりやすく「目的」と「手段」がズレちゃってます。
なので、この話がまかり通るのか意味が分かりません。
ストレッチって、つまり伸ばすことですよね。
その多くは筋肉を伸ばすことなんですが、なんで伸びたら痩せるんですか?って話です。

もちろん筋肉を伸ばすと言っても
ダイナミックストレッチだったり
スロートレーニング的な要素で伸ばそうとしたりと
運動量を伴うストレッチもあるんです。
しかし、それならストレッチである必要はないわけです。

ダイエットを達成するには、今のところ、どう足掻いても抗えない

「食事での摂取カロリーを基礎代謝を含めた消費カロリーが上回る」

という状況を作りしかないわけで、その目的に対して、筋肉なり何らかの組織を伸ばすという手段は意味がありません。

ちなみにこの「食事での摂取カロリーを基礎代謝を含めた消費カロリーが上回る」ということについては、実はそう簡単じゃないなって思うことはあります。

・食品
・個人個人の消化器官のコンディション
・体質

これらによって、摂取カロリーが同じなわけありません。
そうじゃないと「痩せの大食い」が説明できないですからね。

◎特定の運動で部分痩せ

整形外科医は、ほぼ100%否定するだろうなっていうのが、部分痩せです。
部分痩せに見せることはできます。

例えば、二の腕のタプタプが気になる人は多いと思うんですが、この脂肪だけ落とすのは無理です。
しかし、この脂肪はそのままとか他の部位の脂肪と同じように落としながら、タプタプを解消するには二の腕の筋肉、上腕二頭筋と三頭筋、特に三頭筋の筋肥大を起こせば良いです。
だって、そうすれば腕が太くなって腕の表面積が増えるので、タプタプしなくなるわけです。

コレを持って「部分痩せができる」と言っているビジネスライクな専門家さんもいるのでご注意ください。
「部分痩せ」を証明するには、全体の体脂肪量変化に対する部分的な脂肪量変化を数値化して証明しないといけませんが、そういう証明はいまのところ見たことがありません。

ふんぞり男「お前が見たことないだけで、実は部分痩せができるかもしれねぇだろうが、絶対できないって証明できんのか?」

ん?ふんぞり男さん、どこか痩せたいのかな?
でも、この手の話はよくあるんですが「悪魔の証明」の話がわかりやすいですね。

これは「消極的事実の証明の困難性」を表す話です。
つまり「あることを証明することはできても、ないことを証明することは難しい」という話ですね。
「悪魔の証明」で検索すると、統計数理研究所さんのサイトが出てきて、例を出してくれていました。

その例は、“地球上にツチノコはいる”という命題を証明するためには実際にツチノコを見つければよいのに対し、“地球上にツチノコはいない”という命題を証明することは難しいということでした。

その通りですよね。
地球上をくまなく探した上でないと、証明できませんからね。
ほぼ不可能です。

それと同じで「部分痩せが可能」と証明するには、実際に部分痩せした例や方法論を科学的に証明してくれればいいわけです。
しかし、不可能と証明するためには考え得る全ての方法を試さないといけないので無理なわけです。

そもそも「部分痩せなんて無理」って思っている医師が、その無理を証明する役目を負うべきとは思いません。
「部分痩せは可能」と主張する人が証明すべきで、証明できるまでは主張すべきではないと個人的には思います。

証明ってのは、さっきの二の腕のタプタプが減ったでしょ、みたいな主観的かつ、筋肉量でどうにでもなる話じゃもちろんダメです。

◎極端な食事法

ストレッチや部分痩せは意味がないと思うので時間とお金の無駄にはなりますが、健康を害するほどではないかもしれません。
しかし、食事法は時に健康を害します。

極端に食事量を減らしたり、栄養バランスが崩れるような
「○○だけダイエット」
みたいなものは、当然リスクが大きいです。

ただ、まあ、コレに関しては医者の不養生と言われるとおり、信じられないダイエットをやっている医師も周りにはいた気がしますが‥‥

これに関連した第8位。

第8位:結果にコミットしたトレーニング

ふんぞり男「お前、それ!RI●APじゃねぇか!」

こらこら、誰もそんな名前挙げてないでしょうが。
そして、実際にそれだけじゃないんですよ。

むしろ、何が言いたいかっていうと、3ヶ月とか短期間で身体を変えようとすることをやらないって言っているんですね。
これは昨今問題になっている、パーソナルトレーニングの健康被害にも関係します。
結果にコミットしてしまうとですね、それも短期間の結果にコミットしてしまうと、当然、身体に無理がかかるんですね。

僕は肩の専門で診察をしているので、腱板断裂や肩鎖関節炎などが多いです。
食事も先ほどのかなり極端な食事法を指導されるパーソナルトレーニングもあるようです。
良くあるのが、完全に糖質をカットする食事療法ですね。
極端な食事療法は当然バランスを崩します。

実際、令和4年の国民生活センターがまとめた、こちらの資料(*1)には、実際の健康被害例が出されています。

例えば、パーソナルトレーニングジムの方針で徹底した糖質制限をした結果、上半身に湿疹が出てしまったというケース。
これは皮膚科で「色素性痒疹」という診断だったそうです。

糖質制限が厳しすぎた結果、脂肪をエネルギー源として使用するわけですが、その脂肪が分解される時に脂肪酸の一部は肝臓でケトン体という物質に変化しています。
このケトン体が過剰になると「ケトーシス」という状態になって、それが色素性痒疹を引き起こす可能性があります。

また、パーソナルトレーニングを指導された30代女性がデッドリフトを指導された結果、腰椎と仙骨の骨折を起こしてしまったという例が報告されていました。

食事とトレーニングで身体を変える。
それも、どちらもかなり厳しい、激しい食事療法やトレーニングをして短期間で結果を出そうする傾向があるようですが、その結果、様々な身体へのリスクを負っていることを理解する必要がありますし、そのリスクヘッジが十分にできる医療専門職がトレーナーさんかと言うと、そうではないと考えています。

トレーナーさんはトレーニングの専門家ですが、
健康を目的にしたトレーニングは、徐々に身体を変えていく、
時間がかかるのが正しいという考え方をぜひしていただきたいなと思います。

第7位 インフルエンサー・著名人の健康・美容情報を信じること

健康についてはもちろん、常に情報発信していますが、美容になると、僕自身とっても疎いというか、興味がないんですね。
でも、美容こそ効果がしっかり測定できないものが多いので、平気で科学的な根拠がないことが言われているなというか・・
そういう怪しい情報だらけだなと、外から見て思います。

先日も、美容にこだわりのある芸能人が多数出演したテレビ番組を見て、彼ら、彼女らのこだわりを聞いていました。
ですが、途中から見ていられなくなりました。

具体的に誰とか、どれとか言いませんが、インフルエンサーや著名人って、まず専門家じゃないんですね、当たり前ですが。
ですから、情報の信憑性を判断する力も基本的には高くないと思ってください。

でも、影響力はとっても高いですから、彼ら彼女らが使っている、行っているというだけで、その商品やそのサービスは売れるわけです。
ステマと言われて問題になりましたね。

でも、個人的にはステマは当然問題で、医学的根拠がないことをお金をもらって紹介するっていうのはどうなんかなって思いますが、むしろインフルエンサーさんや芸能人の方、御本人が本気でこれは効果がある、おすすめだと思っているケースも全然あるわけです。

この場合は、本気でおすすめだと思っているから、余計に語りっぷりに熱がこもりますよね。
これがまた問題なんですよ。

そのインフルエンサーや芸能人に本当に効果があったとしても、それはたまたまかもしれないわけです。
だから、科学も医学も統計を取るわけです。

そこをすっ飛ばして、インフルエンサーや芸能人のおすすめに乗っかってしまうのは、多分医師はほとんどやりません。
もちろん、おすすめされると気になっちゃうんですが、その後、その商品やサービスについて調べます。

怪しいなと思って手を出さない。
これが多いと思います。
ぜひ、自分でも調べてみる。
それも医学論文などちゃんとした根拠があるかを確認するというクセをつけてもらえたらと思います。

第6位:○○リリース系施術

〇〇リリースっていうのは、一番多いのは「筋膜リリース」ですよね。
ざっくり言えば、筋膜の癒着を剥がすって意味なんですが、そもそも筋膜の癒着がどれだけ起こっているのか、その施術で剥がれるのか?ということは大いに疑問です。

ただ、超音波で動きが悪い部分を見たり、筋膜の超音波信号で癒着が疑われる場所にハイドロリリースと言って、水の注射をする治療法も徐々に整形外科で一般的に行われているわけですから、可能性はあると思います。
ただ、注射をすれば確かにそこに水が入り込んで、軽い癒着なら剥がれるでしょう。

でも、それを外から力を加えたり、動かしたりするだけで達成できるというのはなかなか説得力がありません。
なので、筋膜リリースという施術を中心的に打ち出して
「ここの癒着を剥がします」
「ほら、剥がれました!」
みたいな説明をするような治療家さんはあんまり信用できません。

逆に、筋膜リリースと言いながら

みたいな説明だと、お!信頼できるなって思ったりします。

ちなみに筋膜リリースの他に、骨膜リリースとか他の〇〇リリースもあるんですが、それは流石になんの根拠もないと考えちゃっていいかもしれません。

ちなみに五十肩のリハビリとして
「関節包リリース」
「腱板疎部リリース」
「烏口突起リリース」
って言葉がいつか出てくるかなと警戒していますが
これらはすべて施術でどうこうするものではなく、毎日のセルフリハなどでじわじわとリリースされていくものと考えてください。

「1回で剥がします!」
なんてところは絶対避けてください。
痛みが増して、炎症が増して、さらに強い癒着が起こるリスクがあります。

第5位 ○○矯正系施術

さらに注意してほしい言葉としては「矯正」ですね。
矯正として明らかにエビデンスがあるのは、歯列矯正ですよね。
歯並びです。
ご存じの方が多いと思いますが、もう長期間に渡ってずっと矯正装置を装着していますよね。
年単位だったりします。
そこまでしてやっと矯正されるわけです。

歯も骨格の一部と考えると、骨格を変えることの大変さがよくわかります。
とは言え、歯は骨ではないので、骨よりは矯正が現実的であるということですね。

では、骨ならどうか。
例えば、側弯症という背骨のゆがみを矯正するにはもう手術しかありません。
骨に金属を入れて、強い力で矯正するしかないわけです。

整形外科医や歯科医なら当たり前に持っている感覚からすると、骨盤矯正とかゆがみ矯正とか意味がわからないんですね。
「ほら、歪んでるから、脚の長さが違うんですよ」と寝た状態での足の位置を見て説明。
そして何らかの施術をして「ほら、ゆがみが取れたでしょ」と。

これが治療院で行われる一番多い「〇〇矯正」のようです。
その足の位置の差って、横になったときのちょっとした姿勢の違いであって、そもそも、それが日頃の姿勢の癖かどうかすら再現性が怪しい。
そして、施術後は横になって足の長さを整えるように姿勢を整えて測定すれば治った感が出る。

ふんぞり男「おま、お前、それ詐欺じゃねぇか!」

いやいや、そんなつもりの治療家さんはめったにいらっしゃらないはずです。
真剣に治療しています。

しかし、医学的な根拠を考えると、結果的にふんぞり男さんにそう思われても仕方ないことになってしまっているケースはめちゃくちゃ多いと感じています。

例えば、仰向けでもうつ伏せでも寝てみてもらって、足の位置って変えられますよね。
股関節の回旋でも変わりますし、骨盤の傾きも変えられますよね。
そんなの当たり前の話ですよね。
このゆがみ矯正系を打ち出す治療家さんの中でも、医学的根拠に基づいた治療がしたいって人はいらっしゃるんですね。
そういう人に僕がアドバイスするのは、

 ふんぞり男「ん?なんでダメなんだ?」

基礎医学って、実際に患者さんを良くするための方法論を考える初期段階では使えるんです。
というか、大前提ではあるんです。

だから解剖学も生理学も重要じゃないかといえば、めっちゃ重要です。
でも、よくエビデンスに基づいたとか言って、中身は解剖学や生理学の解説に終止しているケースって異常に多くて、そんなのはエビデンスでもなんでもない。

医学的根拠としても弱すぎて無理って感じなんです。
だから、解剖学に基づいてるなんてのは言うまでもない大前提であって、その上で例えばAという姿勢の人はBという姿勢の人に比べて腰痛発症率が高いとか低いとか、そういうデータが医学的根拠と呼べるものです。

そういうものを集めずに「あなたのゆがみは万病のもとです」みたいに言うのって、さすがに不誠実極まりないと思うし、実際万病のもとという医学的根拠は僕が調べる限り全然ないです。
こういう現状では僕は〇〇矯正系の施術を受けようとは微塵も思わないですし、そういう医師が多いです。

第4位:神経ストレッチ

こちらも整形外科医だったら、ゾッとするネーミングなんですよ。
神経を直接扱っているわけですね、われわれ整形外科医は。

例えば、手根管症候群とか肘部管症候群という末梢神経もそうですし、背骨の中の脊髄神経もそうです。
そして、共通しているのは神経は本当にデリケートで、できることなら全く触れないで手術したい。

でも、どうしても触れる必要があるときもやさしーく、やさしーくです。
そんな細心の注意を払ってもなお、神経麻痺を起こしてしまう患者さんがいるくらいに神経っていうのはデリケートなんです。

引っ張るなんてとんでもない。
でも、神経ストレッチってその神経を伸ばすんですよね?その言葉通りなら。

「まじで最悪です・・絶対やめて・・・」の一言で終わるレベルです。

このように、まだまだ4位ですが、医師から見ると大丈夫かーってレベルの手法や情報が氾濫している現代において、正しい情報を掴み取ることが至難の業になっています。

これをなんとかしようと、僕自身こういう情報発信とともにオンライン講座やオンラインサロンもやっているんですね。
そのオンラインサロンのメンバーさんが、神経ストレッチについて論文を書いている大学教授の話を教えてくださったんですね。

僕も最初は一般的な整形外科医と同じ反応で
「いや、神経って伸ばすものじゃないから、伸ばしたら麻痺するよ」
という考えでしかなかったんです。

一方で「ちゃんと論文にもなっているのに、それを読まずに批判しちゃいかん!」と思って、その大学教授の論文を読んだんですね。
結論、その大学教授も昔は神経ストレッチという言葉を使っていたようですが、いろんな批判があったのか、神経を生理的な範囲を超えて伸ばすようなストレッチではないとして、神経ストレッチという言葉は使わずに別の論文を書かれていました。

いずれの論文も、神経に対する基礎的な研究の引用は多いのですが、いざリハビリとして神経にアプローチする手法の医科学的な根拠はまだまだ薄く、僕の個人的な意見としては、信ぴょう性の低い仮説でしかないなと考えました。

大学教授の先生が論文まで書いているのに、失礼な話なのですが。
でも、論文を書いて仮説レベルでもメカニズムも解説して、おそらく今後研究をさらに進めていかれるでしょうから、その結果いかんでは、僕ももちろん考え方を修正します。

ただ、現段階での僕の意見ということでは、信憑性が低く・・むしろ怖いかなと思っております。
他には神経ストレッチと称してやっておられるのは、整体の施術みたいな結構激しめな施術をされている例を見たりしますが、これについては言うまでもないですね。
神経、大事にしてください。

第3位:バキバキ・ボキボキ・悶絶整体

これは以前、僕がYouTube上で行なった
「お医者さんにお聞きします。あなたがこれだけは絶対に受けたくないと思う治療はどれですか?」
というアンケートで、ダントツ1位だったやつですね。

一口にバキバキ、ボキボキと言っても、アメリカでしっかり国家資格を取得されたカイロプラクティックの専門の方が、バキバキ鳴るような施術をする人はおられますし、国家資格ではない整体師の先生もやられます。

それらを一緒くたに語ってはいけないのかもしれませんが、あえて一緒くたに語ります。
瞬間的な力を加えることで関節の音が鳴るような施術、そして患者さんが声を上げてしまったり、しかめっ面になったりするような痛みを伴う施術は絶対に受けません・・僕なら。

そもそも、その施術で具体的に、物理的に何が改善しているのか、しっかりと証明できていない施術にも関わらず、痛みを伴ったり、音がなるくらいの瞬間的な力を加えたりすることは、どう考えてもリスクになり得るわけです。

実際には、厚生労働省が以下の通知(*2)を、平成3年に出して以来ずっとホームページ上に掲載し続けています。

「一部の危険な手技の禁止として、カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。」

詳しくはこちらの動画もご覧ください。


第2位 服薬拒否(代わりに自己治癒力を高める)

ふんぞり男「なるほど、お前は薬をできるだけ飲まずに自己治癒力を高めることが大事って言っているんだな」

 いやいや、ちょっとTOP10ともなると混乱してきますよね。
これは医者が絶対やらないってランキングですから、基本的に医師は服薬拒否をして、自分の自然治癒力を高めますみたいなことはしないってことです。

まず自然治癒力とか自己治癒力とか、人間がもともと持つモノとして否定のしようがないわけですが、一方でこれを高めるっていうことが果たしてどれだけできるのかは、未だに疑問です。

自己治癒力を下げることは容易にできます。
不健康な生活をすればいいわけです。
極論しますと、1日〜2日日間睡眠を取らなければ、自己治癒力は当然落ちるでしょう。

しかし
「この食べ物で自己治癒力を高める」
「このサプリで自然治癒力を高める」
とかは、全然根拠不足です。

もちろんそういう医師もいますよ。
でも相当に少数派です。

多くの医者は「医者が飲まない薬」みたいな週刊誌の特集が大嫌いです。
あんなのごくごく一部の変な医者が言ってるだけだ!みたいな感じで。

ふんぞり男「特大ブーメランだな、お前。この前、週刊誌の特集でお前を見たぞ。さらにYouTubeでも医者が飲まない薬ってやってたろうが!」

はい、おっしゃるとおり!
でも、中身を見てもらえれば、違いはわかってもらえると思います。 

ふんぞり男「でもだな、医者は患者を薬漬けにして儲けているって言われてるぞ!」 

それもまた、根拠がない話ですね。
確かに軽い風邪にもすぐ抗生物質を処方するような問題がある医師もいるんですが、今の時代、薬をたくさん出したって医者は儲かりません。
製薬会社は儲かるかもしれませんが、そんなの医者の知ったことではないです。

裏で製薬会社と癒着とかがあるなら話は別ですが、僕が知る限り
「この製薬会社にお世話になっているから、この薬を使え」
みたいなことを言われたことは一度もないですし、自分でそう思ったことも当然一度もありません。

ただ、こう言うと
「医者が出した薬は文句を言わず飲め!」って言っているように聞こえてしまうことは嫌なんですね。

そうじゃなくて、医者とちゃんとコミュニケーションを取って、あなたにとって本当に必要な薬を処方してもらって、それを飲む。
飲みたくないなら、その理由も説明して、医師も患者さんも納得の上、薬の使い方を決めていくというのが理想だってことですね。

それを「医者はこの薬を出したけど、薬嫌いだから飲まないんだ」みたいな患者さんがいるんですが、それは医者にも薬にも他の国民にも失礼です。
飲まないなら処方してもらってはいけません。
国民みんなで負担している医療費が関係しているんですからね。

ふんぞり男「お前、そうは言うけどな。ロクに話もせずに薬だけ出しとくで終わる医者が多いんだぞ」

はい、医者のコミュニケーションの問題は事実あると思います。
僕も含め、そこは大きな課題ですね。

第1位 標準治療を否定する人と関わる

さっきの自己治癒力とか自然治癒力とかにも関係するんですが、そういうものを過剰に信じてしまう人って標準治療を否定する傾向にあります。
最も許せないのは「がん治療」の標準治療を否定する人ですね。

もちろん、抗がん剤、手術、放射線治療、免疫療法などがんの種類によって標準治療が違います。
その中でもいろいろなエビデンスがあり、副作用があるのもわかったうえで選んでいくものになります。

ですが、それらを一緒くたに「病院の治療」として否定するような人とは関わりたくないだろうなと思います。

これは、ほとんどの医師に共通することだと思います。
例外は相当に少ないかなと。
なので、1位にしました。

僕と一緒に成長しようと、オンラインサロンなどに入ってくださっている治療家さんの中にはそういう人はいないです。

しかし、治療家さんの中には
「病院に行ったって根本的には治らないから、うちに通院しなさい。回数券安くしますよ」って言う人がいます。
このケースも標準治療を否定する人ですし、そもそも「診断」という重要性から理解されてないです。

けれど、そんな治療家さんばかりではありません。
「まず病院やクリニックで診断してもらい、適切な治療を相談した上で徒手治療やセルフエクササイズの指導など、こちらでもできることはやりますよ」っていうスタンスの治療家さんも全然おられます。
信頼できるのはどう考えても後者です。 

さて、いかがでしたでしょうか?
TOP10のうち、自分はちょっと当てはまっちゃっているものがあるなって思われるものはありましたか?
あれば、ぜひ教えて下さい。
もしくは、なかったら「ゼロでした!」っていう報告もコメントしていただけると嬉しいです。

10個もご紹介するといろいろな業界のお話がありましたね。
以前「お医者さんにお聞きします。ニセ医療・ニセ医学が多いと思う分野・業界はどこですか?」というアンケートをした結果

1位:サプリメント・健康食品業界
2位:治療家業界
3位:ダイエット・トレーニング業界
4位:医療業界
でした。

健康って、本当に切羽詰まった切実な悩みですから、そこにつけ込むようなビジネスをするような人が後を絶たないんですよね。

ですから、健康になろうとする一般の方や患者さんは、その情報の取捨選択、判断力を高めていく必要がありますし、その結果ニセ医学として廃れていくようなものが増えたらいいなと思います。

そうなったときに生き残れるように、治療家さんとも一緒に何が医学的根拠なのかっていうことや、医学的根拠がある治療や施術ってなんなのかってことも常に情報発信していきます。

さて、本日のまとめです。
医師が絶対やらない間違った健康法・治療法

ぜひ、セルフチェックしてみて、結果をコメントしてくださいね。

本日の一言

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参考論文

(*1)「パーソナル筋力トレーニング」でのけがや体調不良に注意! 国民生活センターによる発表資料. 2022

(*2)医業類似行為に対する取扱いについて (平成三年六月二八日) (医事第五八号) (各都道府県衛生担当部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知)

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