奥深き ” Still life “
フィルムカメラで撮影し、暗室でモノクローム写真のプリントを楽しんでいる、うたろうです。
僕の撮影対象は、風景、スナップ、静物の三分野です。意識的にこの三つの分野を撮ろうと思っていたわけではないのですが、写真活動を続けているうちに結果としてそうなりました。自分が好きな撮影対象が、そうなのでしょう。創作活動をすると自分を知ることが出来ますね。
今回は、静物(Still life)のお話しです。
下の図の静物には、B分野とC分野がありますが、僕の中では明確な違いがあります。
スナップ的な静物写真
B分野は、例えば、撮影しながら街歩きをしている途中で入った喫茶店で、窓辺の一輪挿しの花が魅力的だったので、そのときに携行しているカメラで撮った場合等が該当します。
この場合、撮影対象に手を加えるわけにはいかないので、露出や、構図で作画するしかなく、機材もその時に持ち合わせているものを使うしかありません。かなり限定的な条件で撮影することになりますが、作為のない自然さが魅力の作品に仕上がると思います。
撮影時の光のコントロールも出来ず、撮影フォーマットも135(35ミリ)である場合がほとんどなので、暗室での諧調表現には、苦労する場合が多いです。
完全なる静物写真
先ほどの図のC分野の静物写真は、撮影対象、その配置、光線状態、撮影機材等、多くの要素を自分でコントロールし、撮影できる場合です。
言い方を変えれば、コントロールできてしまうので、とても多くのことを考えないといけません。
僕の場合は、機材はフィールドカメラ(大判カメラ)を使います。本当は、モノレールのビューカメラがアオリの自由度が高いのでその方がいいことは分かっているのですが、これ以上カメラを増やすと大変だということもあり、使い慣れているフィールドカメラを使っています。
花を切ったり、整えたり、光の方向や量をカーテン等で調節したり、構図や、ピント位置、アオリ、露出計測等で、悩んでいると一時間くらいは経過してしまいます。
物をどんなふうに配置するといいのかをかなり悩むことになるので、構図の勉強にはかなり役立ちます。これは風景撮影のときも役立ちます。
目の前の静物も、広い風景も、グラウンドグラス上に表示されれば、同じサイズになりますからね。
表現としての静物写真
いわゆる「物撮り」とも言われますが、この分野は商品撮影として、あるいは、SNSに料理の画像を投稿するために、撮られることが多いような気がします。
モノクローム作品の表現方法としての静物写真は、マイナーな分野なのかもしれません。ライティングも商品撮影やSNS投稿用とは違うような気がします。
参考にするなら、写真作品よりも、絵画作品の方がいいですね。静物写真は、部屋の中で飽くなき探求ができる世界です。