黒白フィルムを自分で現像する理由
フィルムカメラで撮影して、モノクローム写真を楽しんいる、うたろうです。
趣味で写真を楽しむのは、目的がお金を稼ぐことではないので、手間も時間も費用も、個人の状況に応じて満足するまでかけることができます。
しかしながら、費用は安い方がいいにこしたことはありません。それが自家現像を始めたきっかけです。
だけど、自家現像を続けていると、そのうちコスト的なことよりも、自分でやらないと自分の好みのネガが出来上がらないということの方が重要だと気づきました。
その理由を、書いていきたいと思います。
「どういう仕上がりのネガが欲しいか」は、「最終的にどんな作品に仕上げたいか」ということに繋がります。それは、作者にしか分かりません。
僕は、諧調豊富、微粒子、柔らかな調子の作品にしたいので、それを実現するようなネガ作りをしています。
高コントラスト、高先鋭、粗粒子、といった調子の表現を目指している人は、そんなネガ作りをする必要があるでしょうね。
外注した場合は、そんな個人の趣向を、ラボの人が知っているわけではありませんので、そのラボの標準的な現像液で標準的な現像時間と温度で処理されることになると思います。
でも、標準的な、、、、って、何?
カラーネガフィルムはどんな銘柄でもC-41処理で現像を行うため、一定の調子で仕上がることから、外注で差し支えないと考えます。
C-41 処理の黒白ネガフィルムもありますが、同じ理由でそれも外注でいいでしょう。
標準処理が存在しない
黒白ネガフィルムの現像は、カラーネガフィルムのC-41処理のように共通化された処理が存在しません。現像液は、その用途によって異なる処方が何種類もありますし、希釈率によっても、異なった調子のネガに仕上がります。
フィルムメーカーが指定している現像条件も、フィルムの銘柄によって、また現像液の種類によってまちまちです。
露光指数(撮影感度)=ISO感度ではない
「自分の目指す表現に合ったネガ」に仕上げるためには、ISO感度を露光指数としてカメラや露出計にセットするのではなく、自分で見つけた露光指数で撮影する場合があり、そのことを現像条件に付けくわえて調整する必要があります。
引き伸ばし機の照明方式等
使用している引き伸ばし機の照明方式(集散光式、散光式等)によってコントラストが変わりますので、これまた現像調整する必要があります。
ネガスキャンで楽しむ場合はどうなんでしょう?やっぱり、スキャナに合わせたコントラストになるように、現像調整した方がいいのではないでしょうか。
自分のことは自分にしか分からない
フィルムの選択、撮影時の露光指数、現像液の種類とその希釈率、攪拌頻度、これらの組み合わせでネガの調子は決まります。その組み合わせは無限とも言えるほどありますので、「自分の表現に合ったネガ」を作るには、自分で現像するしかないのです。
外注している場合、「自分の目指す表現に合ったネガ」に仕上がっている場合はとても幸運です。そのラボを大事にしましょう。