ドラリプ曲紹介【総集編】
こちらは『ドラァグクイーンはリップシンクで愛を捧げる』に登場した楽曲を紹介していくコーナーです。曲の内容とシーンがリンクしている場合もあれば、そうでない場合もあったりしますが、一曲ずつご紹介できたらと思います。
第1話 クイーン・オブ・ザ・ナイト
Queen of the Night / ホイットニー・ヒューストン
……タイトルはこちらの楽曲から。1992年製作のアメリカ映画『ボディーガード』の中で、ホイットニー・ヒューストンが演じる主人公のレイチェルが歌う曲の一つです。有名なのは「エンダーーーー」の『I Will Always Love You』ですが、他の曲も名曲揃い!
作中では描きませんでしたが、『ボディーガード』は律のお気に入りの映画の一つです。
True Colors / Cyndi Lauper
……こちらはクラブ〈トゥルー・カラーズ〉の店名にさせていただきました。この曲の内容が、自分自身の『本当の色』をさらけ出せる〈トゥルー・カラーズ〉という場所にぴったりだなと思ったので、かなり早い段階から決めていました。イントロを聴くだけで泣けます。
Here Comes the Rain Again / ユーリズミックス
……リリ・ファイヤワークのドラァグシーンで最初に流れる方の歌です。『雨』にまつわる曲はいくつか候補があったのですが、最初はしっとりと、謎めいた始まり方にしたかったのでこの曲に。アニー・レノックスのパワフルな歌声、痺れます。
Umbrella (feat. JAY Z) / リアーナ
……雨といえばやっぱりこの曲! トム・ホランドによるリップシンクの動画をご覧になった方もいらっしゃるかと思います。リリのセクシーさと格好良さを出すには、この選曲しかないな!と思って決めました。
Rain On Me / レディー・ガガ & アリアナ・グランデ
……まだ1話の時点ではあまり出番がない、マデリンとモンストラのショーで使われたのがこちら。ドラァグクイーンとレディー・ガガはやっぱり切っても切れないかな……と思い、この曲を選びました。ショーのシーンは描いていませんが、めちゃくちゃ映えそうです。
ちなみに、レディー・ガガのパートはマデリン、アリアナ・グランデのパートはモンストラが担当した設定です。
【その他のイメソン】
ハレルヤ・ハリケーン(原題:It's Raining Men) / ウエザー・ガール
……なんとなくこのコミカルな感じは絶対にドラァグ向き!と思っております。掛け合い漫才みたいな始まり方をするのも完璧。
作中で登場させることは出来なかったのですが、冒頭のシーンは雨から始まるので、この曲はぴったりだな、と。曲の内容は『いいオトコが空から降ってくる!母なる自然ありがとう!』という破天荒なものです。名曲!
Holding Out for a Hero / ボニー・タイラー
……危険も顧みず律を助けようとした駿人を見た時、律の脳裏に流れていたであろう曲です。律は80年代の洋楽Loverなので(オールディーズから最新のヒットまで幅広く好きではあるのですが)ふとした瞬間に洋楽が脳裏に流れることがよくあります。
Dude (Looks Like a Lady) / エアロスミス
……これは昔から好きな曲で、(というのも、私が大好きな女装映画『ミセス・ダウト』の中で使われていたからなのですが)内容はまさに、『女性に見える男性』の歌です。バーでいい女を引っかけたと思ったらオトコだったけど最高だったぜ! という……ロックですね! 本人はこんなにはっちゃけていませんが、ドンピシャリで駿人の曲です。
第2話 エッジ・オブ・グローリー ~栄光の果てに~
The Edge of Glory / レディー・ガガ
……訳せば『栄光の果て』となるこの曲ですが、出会った二人が恋に落ちるかどうか、その瀬戸際(エッジ)を歌っているようです。何かが始まりそうな予感にぴったりの、疾走感ある曲ですね……!
【その他のイメソン】
Stay with Me / サム・スミス
……今夜は一緒に居てほしい、という切実な想いを歌った曲です。すこし頼りなげな歌詞。律視点というよりは駿人の心情に近いかも知れません。本人さえも気付いていない叫びと言ったところでしょうか。
第3話 テイキング・チャンシズ ~危険な賭け~
Taking Chances / セリーヌ・ディオン
……ディーバといえば外しちゃいけない、セリーヌ・ディオン!
右も左もわからないけど、飛び込んでみようかな(あなたはどう思う?)。という、すこし臆病な気持ちもありつつ、前向きな歌です。駿人の心情にしっくりきますね。
【その他のイメソン】
Sidewalks (feat. Kendrick Lamar) / ザ・ウィークエンド
……3話では、駿人の過去についてのシーンがありました。
Sidewalksはお気に入りの曲で、いわゆる『不良』を描くときにはつい聴いてしまう曲です。
駿人を拒みながらも育んだ『町』そのものに思いを馳せながら聴いていました。
Losers (feat. Labrinth) / The Weeknd
……傷ついた過去を持つオトコにはこの曲を着せてしまいがちです。
尖ったメロディーに尖った歌詞。しかし目の前に居る相手に僅かな希望を見出しても居るところが、またいいのです。
Thunder / Young Dumb & Broke (Medley) / イマジン・ドラゴンズ & カリード
……これは歌詞の内容がどうとかってわけではないのですが、若くて、ばかで、一文無し……というのがまさに駿人だなぁと思って良く聴いていました。どことなく気怠いカリードの歌声もいいですね。マッシュアップしているイマジン・ドラゴンズの『Thunder』が私の推し曲ということもあり、お気に入りの曲です。
Easy On Me / アデル
……この曲は、歌手のアデルが離婚のことを幼い子供にうまく説明できなかったことがきっかけで生まれたそうです。
タイトルの『Easy On Me』は直訳すると『優しくして』又は『手加減して』。どうして夫とのも関係を修復できなかったことについて、自分の子供に理解をこうているようにも思える題です。
曲の内容とはすこし離れてしまいますが、この『優しくして』の部分に、幼い頃の駿人の想いを重ねて聴いていました。
第4話 ヘルプ!
Help! / バナナラマ & Lananeeneenoonoo
……『Help!』といえばザ・ビートルズですが、ドラァグクイーンが主役の話なので、ここは女性グループによるカバーの方を選ぶことにしました。
冒頭からの、このわちゃわちゃした感じ、すごくドラァグクイーンの舞台裏って感じでインスピレーションが沸きます。
小説の章タイトルの『Help!』は、人手不足にひぃこら言ってるジュリアの叫びですね。
Titanium ft. Sia / David Guetta
……これ、どこで出てきたかわからないという方のほうが多いかも……。
作中の律の独白(しかもフリガナ)内での登場です! わかるかーい!
チタニウム、つまりチタン製の自分……防弾仕様のめちゃつよな自分、ということですね。誰にも自分を傷つけさせないという強い意志のこもった歌です。
【その他のイメソン】
Life In Technicolor II / コールドプレイ
……歌詞の内容は本文とはあまりかぶらないのですが、この『極彩色!』という感じのカラフルなメロディーが、自分の人生を見つけつつある駿人の心情に寄り添っているような気がしてよく聴いていました。この曲からは、なんとなく色とりどりのラメのきらめきを想像してしまうのです。
頭の中で映像化するときには、律にくっついて失敗しながら一つずつ仕事を覚えていく駿人のシーン(多分セリフ無しの回想シーン)でこれが流れてます。
I'm Not Here To Make Friends / サム・スミス
……冒頭の台詞『If you can't love yourself, How the hell you can love somebody else? Can I get an AMEN?(意訳ですが、『自分のことを愛せないひとは、他人のことも愛せないのよ。そうでしょ? 的な)は、『ル・ポールのドラァグレース』で有名なル・ポールそのひとの決めゼリフ、もとい名言です。
そう、『ル・ポールのドラァグレース』なのです。私のインスピレーションの神さまサム・スミスが、まさに『ドラァグ』まっただ中に飛び込んではちゃめちゃにハジけた最高にアガる曲なのです。
この曲を初めて聴いたのは執筆作業も終わりにさしかかった頃。リリースされたばかりのアルバム『Gloria』を聴きながら夕飯の支度をしていた私は、ル・ポールの声を耳にした瞬間に台所でデカい声を出してしまいました。
とにかく! 『怖じ気づかずに飛び込んで』と勇気づけるような曲です。
自分に対するコンプレックスの克服を歌った『Love Me More』が印象的なアルバムの中の一曲にふさわしすぎるパーティーチューンですね!
MV内のドラァグパフォーマンスもひっくるめ、〈トゥルー・カラーズ〉の店内の雰囲気を感じられるような曲だな~と思います。(この曲だけ解説が異様に長い!すみません!)
Unholy / サム・スミス & キム・ペトラス
……こちらも『雰囲気』枠です。有名なドラァグクイーンが何人も出演している豪華絢爛なMVが楽しいですね!この曲はアルバムに先駆け、執筆真っ最中くらいにシングルとしてリリースされたのでした。もう、めちゃくちゃかっこいいしMVは素敵だし、うっとりしてしまいます。〈トゥルー・カラーズ〉の内装は、こんな感じをイメージしていました。(さすがにここまで豪華じゃないですが)
Make Your Own Kind Of Music / ママ・キャス
……これは、律が駿人に対して歌ってあげたい曲かなと思ってよく聴いていました。有名な曲ですよね!とても優しくて、温かい曲です。大好き。
第5話 ダイヤモンドは永遠に
Diamonds Are Forever / シャーリー・バッシー
……この曲を選んだ理由が二つあります。ひとつは、この曲の内容がお話の内容と合っていたから。もうひとつは、『ダイアモンズ・アー・フォーエバー』という、日本におけるドラァグ文化の始まりとも言える同名のパーティーにちなんで。80年代のドラァグは、ちょっとアバンギャルドかつアングラチックで思わず心惹かれる世界です。
Fame / アイリーン・キャラ
……『アイリーン・キャラの〈フェーム〉を地で行くオンナ』ことマデリンのテーマソングです。これぞ80’s!フェームとは、ずばり『名声』。
作品を書くごとに、『誰かにとっての「お気に入りのサブキャラ」を書けたら及第点』、というよくわからないルールを設けているのですが、マデリンはその枠に入るポテンシャルがあるのでは?と思っています。今後の活躍をお楽しみに♥
Firework / ケイティ・ペリー
……リリ・ファイヤワークの芸名は、この曲からとりました。『ポルノスター・シネマトグラフ』のルカの名前の由来が(Lux:光)だったことから、今作も何か『光』にまつわる名前にしたいなと考えていたときに耳にしたのがこの曲だったのでした。リリース当初から何度も聴いてきた曲ですが、未だに鳥肌が立つほど好きな曲です。
【その他のイメソン】
Can't Take My Eyes Off of You / Lauryn Hill
……律に夢中になっているのは駿人の方……とおもいきや、律の方も駿人から『目が離せない』状況になっている、という現状に合いそうな曲です。こちらも昔からのお気に入り。何度も聴いてインスピレーションをもらいました。
The Chain / フリートウッド・マック
……イメソン常連の『The Chain』。しがらみと一口に言っても色々あります。
一番厄介なのは、愛が絡んだしがらみでしょうか。
今作にも、やっかいなオトコが登場してきました。書くのに難儀したような、あっさりと生み出すことが出来たような……辰巳という男は不思議なキャラクターです。今後の展開にご期待(?)ください。
第6話 Domino
Domino / ジェシー・J
……恋に向かって全速力!という感じの曲です。このタイトルにした理由は章の最後までお読み頂ければおわかり頂けるかと……!
曲の内容とシンクロしている、というわけでもないのですが、この疾走感は動き出した駿人の気持ちにマッチしていそうだな~と思います。
【その他のイメソン】
pov / アリアナ・グランデ
……駿人の心情に近い気がしてよく聴いていました。(自分のことを愛してくれる)あなたの目を通して自分のことを見てみたい、というような内容の曲です。自分に自信が持てない駿人のことを見つめる律の視線は、この曲のように優しいんじゃないかな、と想像しながら書いていました。
可愛らしいメロディーといい、歌詞といい、とても好きな曲です。
そして今回ご紹介するにあたって初めてMVを観たのですが、すごくいいですね……ますます好きな曲になっちゃいました。
Sweet Dreams (Are Made of This) / ユーリズミックス
……ユーリズミックス、二度目の登場です。熱に浮かされたみたいな、ちょっと背徳的というか倒錯的な感じが、あのシーンと少しだけ重なるような感じがしてよく聴いてました。あのシーンのBGM、という訳でもないのですが、なんとなくエロいので……(笑)
Monster / ショーン・メンデス & ジャスティン・ビーバー
……この曲の歌詞の全てがあてはまるというわけではないのですが、曲中で何度も繰り返される問いかけの部分は、秘密を隠さずにはおれない駿人の苦悩が重なるような気がして、何度も聴いていました。
この苦しみに満ちた、エモーショナルなメロディーもまた、心の中に渦巻く想いを表わしているようで大好きな曲です。
第7話 恋人たちのクリスマス
All I Want For Christmas Is You / マライア・キャリー
……クリスマスと言ったら、もうこの曲以外にないでしょう!
クリスマスソングが大好きなので、この話を書いている最中ずっと楽しかったです。お祭りのシーズンの始まりって感じですね!
ジングルベル・ロック / ボビー・ヘルムズ
……クリスマスの時期になると、つい口ずさんでしまう曲TOP10(私調べ)に入る名曲ですね。楽屋でのシーン、色んなクイーンたちをわちゃわちゃさせることが出来てとっっても楽しかったです。
ホワイト・クリスマス / ビング・クロスビー
……こちらも説明不要の名曲ですね。師匠はビング・クロスビーばりの美声を誇るベテランドラァグクイーンです。
ちなみに、師匠の芸名についてはかなり頭を捻りました。可愛く面白みのある芸名だけではなく、きわどい芸名のドラァグクイーンの方たち方も多くいらっしゃいますので、リスペクトと言いますか……。(『ちなみに』の方が文章が長い!)
ウィンター・ワンダーランド / ビング・クロスビー
……こちらも名曲。なんだかMVアニメで統一されてて面白いですね。(ナット・キング・コールの『クリスマス・ソング』もアニメMVになってました)クリスマスの時期は、お祭り好きの〈トゥルー・カラーズ〉クイーンたちにとって最高の季節です。
ママがサンタにキスをした / ジャクソン5
……可愛らしい曲ですよね! パパがサンタに変装していることを知らない子供の視点から見た、クリスマスの一幕を描いた歌です。
途中で挿入される台詞のパートは、「ママがサンタにキスしてる!お父さんに言いつけちゃお!」みたいな内容です。
日本のドラァグパフォーマンスでは、歌曲のリップシンクの他にもいくつか定番のものがあります。その一つがアニメや映像作品などの『台詞』を継ぎ接ぎしてコント仕立てにする……というもの。本物に近い形で小説の中に登場させることは出来なかったのですが、曲中の台詞パートを使った『小芝居』と言う形で、取り入れてみました。ジャクソン5の台詞は可愛らしいですが、実際に舞台上でやってることはお笑い系の動きです。
ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス / クリスティーナ・アギレラ
……ジュリアのドラァグシーンを、ようやくお披露目することが出来ました。
ジュリアはオーナーなので、特別なイベントでしかステージに立ちませんが、その存在感は圧巻……というイメージで書いていました。クリスティーナ・アギレラのパワフルな歌は、ジュリアのオーラをさらに輝かせてくれたはずです……
【その他のイメソン】
Don't Get Me Wrong / プリテンダーズ
……誤解しないで、という意味のこちらの歌。自分の想いを自覚した駿人の心情かな~と思ってよく聴いていました。変な態度を取ってしまうのは、貴方に恋しているから(だから誤解しないで)というような歌です。おなじみの名曲ですが、本当に可愛らしい……駿人と律がどうなっていくのか、今後の展開をお楽しみに……!
第8話 レッキング・ボール
Wrecking Ball / マイリー・サイラス
……建物などの解体工事に使われる、デカい金属の玉。それがレッキング・ボールです。
レッキング・ボールのように自分の心を壊していった男への歌ですね。
この章のタイトル、いくつかの候補の中で迷ったのですが、最終的にこちらに決めました。
I Will Survive/ グローリア・ゲイナー
……ぶっかけ事件の後で、リリがパフォーマンスしたのがこの曲。あまりに有名な曲なので、きっとどのクイーンも自分の『I Will Survive』を持ちネタにしてるんじゃないかという気すらします。(おおげさ)
男にひどい間に合わされても、わたしは生き残る。だからさっさと消えて!というような、強いスタンスの曲です。
【その他のイメソン】
Carry On / マーサ・ウォッシュ
……タイトル候補の中で迷ったもう一つの曲がこちらでした。とてもパワフルで、エネルギッシュ!そして、私は乗り越える、という強い意志のこもった曲です。
律はこれまでに何度も、こうした曲に救われてきたんじゃないかなと思います。
第12話 アローン
Alone / Heart
……律は80年代の洋楽が好きなので、ここぞと言うときに脳内に流れたり、すがったりするのはこの時代の曲かなと思い、この一曲をタイトルにしました。あなたをひとりじめしたいのに、という切ない曲です。ひとりぼっちという意味の『Alone』であると同時に、『get you alone』──独り占めしたい、という想いも重なっているのかなと思います。律の心境にぴったりです。
Without You / マライア・キャリー
……泣かせる曲ナンバーワンみたいな曲です(個人の意見です)。バッドフィンガーというイギリスのグループが歌ったものがオリジナルですが、多くのカバーが存在していて、マライア・キャリー版もその一つ。個人的にはニルソン版も好きなんですが、そこはやはりディーヴァのお一人と言うことで、リリがパフォーマンスしたのももちろんマライア・キャリー版です。
オール・バイ・マイセルフ / ジェイミー・オニール
……失恋ソングと言えばこれ、と脳が勝手にオススメしてくる一曲です。
リリもこの曲を何度もパフォーマンスしてきたはず……。駿人との二人暮らしを経た後で味わう『ひとりぼっち』の日々の辛さを思って聴いていました。つらい。
Problem (feat. Iggy Azalea) / アリアナ・グランデ
……マデリンが『面倒ごと』と言った時、マデリンの頭に浮かんでいたのはこの曲だった…という細かすぎる設定があります。曲中の『I got one less probrem without ya』の部分は、私なりに「アンタさえいなけりゃ面倒ごとが一つ減るのに」という意味合いかなと解釈してるのですが、そんなイメージです。でも歌詞の中の主人公は、そんな『面倒ごと』に夢中なんですね。
If We Hold On Together / ダイアナ・ロス
……隙あらば名曲を作中にねじ込んでいくスタイルです。実際に、保留音で使われるのをきいたことがあるので、大丈夫でしょう(何が)
この曲を聴くと無条件に泣いてしまいそうになるのです。『わたしたちが手を取り合えば……』という優しいメッセージですね。背を向け続けてきた過去と向き合い、手を取り合おうとする律の状況を思って聴いていました。
第9話 恋はあせらず
You Can't Hurry Love / シュープリームス
……タイトル通り!子供の頃からCMなどで何度も耳にした名曲です。
駿人の状況にぴったり当てはまります。このお話のタイトルはこれ以外にないな!と早い段階で決まっていました。可愛らしいし、駿人にぴったりですね。(気を抜くと、駿人のことをちっちゃな子犬だと思ってしまう者の意見です)
【その他のイメソン】
How Will I Know / Sam Smith
……『彼が私のことを好きかどうか、どうしたらわかるの!?』という、恋に悩める心にぴったり来る曲です。私が最初に聞いたのはサム・スミスが歌うカバーで、長いことサム・スミスのオリジナル曲だと思ってました。オリジナルはホイットニー・ヒューストンで、曲調がガラリと変わります。
サムのカバーは切なくしっとりとしたバラード調。ホイットニー・ヒューストンの方は、恋の行く末を怖がりつつも、ワクワクしている気持ちが伝わってくるような明るい曲調です。どちらも最高です。(動画を探している最中にクリーン・バンディットのバージョンも発見したので、ついでに動画を張っておきます。こちらも素敵……!)
最初は、駿人の気持ちに近いかなと思って聴いていたのですが、律の立場で聴いてみてもしっくりきますね。
第10話 ガット・トゥ・ビー・リアル
Got to Be Real / シャリル・リン
……このイントロをご存じの方は多い……はず!(20代の方はご存じない……かも?)
直訳すると『リアル(本物)じゃないと』という感じでしょうか。駿人と律、お互いの気持ちが本物だと確認するお話なので、このタイトルにしました。
【その他のイメソン】
I Say a Little Prayer / アレサ・フランクリン
……アレサ・フランクリンの曲には、どれも色あせない魅力があります。
「貴方のために祈るわ」というこの曲。タイトル的に行方をくらました駿人のことを心配した律のテーマかな……と考えて聴いていました。歌詞の中身はあんまり考えてない系のチョイスです。
アイム・カミング・アウト / ダイアナ・ロス
……「本当の自分をうちあける」前向きな歌です。
開放感に溢れた歌詞とメロディーには、誰の心にも響く普遍的なパワーがありますね。なんだか背中を押して貰えるような曲で、LGBTQコミュニティでもアンセム的な地位を確立している曲だそうです。
昔の話をうちあけた律のこと、恋心を打ち明けた駿人のことを考えながら聴いていました。
Unconditionally / ケイティ・ペリー
……無条件に貴方を愛する、という内容の曲です。これも昔から大好きな曲。実は、今回の記事を書くにあたって初めて歌詞を見たのですが(Q:歌詞も知らずに聴いてたんかい。A:その通りです)駿人の告白の言葉とすこし似ていてテンション上がりました。
第11話 さよならは言わないで
さよならは言わないで (Single Version) / グローリア・ゲイナー
……
【その他のイメソン】
Love on the Brain / リアーナ
……貴方にもっと近づくために、拳で炎と戦っている──。好きな人の気を惹くためにはどんなことでもしたいの!という、涙ぐましく切実な、そして甘いラブソングですね。律に気持ちを認めてもらいたいと藻掻いていたのは駿人の方ですが、駿人に心を開かせたい律の方が、この曲は似合うかも知れません。
Best of My Love / エモーションズ
……この曲も一度は聴いたことある系の!名曲です。とっておきの愛をあげちゃう!って感じでしょうか。蜜月に浮かれる駿人のポヤポヤした感じにあってるのかな~と思います。
Sharks / イマジン・ドラゴンズ
……仲間と思ったら大間違い。お前はサメと泳いでるのさ……という、まさに駿人の状況にぴったりな曲です。MVが二種類ありますが、どちらも面白いので両方リンクを載せました。(上の方は字幕をオンにすると和訳歌詞が出ます)
イマジン・ドラゴンズが大好きなのですが、最近ファンタジー系ばかり書いていたのであまりイメソンの出番が無くてですね……駿人はロックが似合うので、今回は執筆中もたくさん聴いていました。
Enemy / イマジン・ドラゴンズ, JID, Arcane
……またイマジン・ドラゴンズです。この期に乗じてイマジン・ドラゴンズを布教しようとしているわけでは……!(あるかも)
Netflixで配信されているアニメ『ARCANE(アーケイン)』のテーマソングです。誰もが俺の敵になりたがっている、という、怒りと哀しみのこもった曲です。(アニメの方も素晴らしいのでオススメします!)周りの全てが敵に見えてしまうような、11話の駿人に合う曲かな、と思って聴いていました。
Stop! In the Name of Love / シュープリームス
……これも名曲ですね……!
シュープリームスはアメリカのグループです。ミュージカル映画『ドリームガールズ』でも有名ですね。ボーカルの一人であるダイアナ・ロスも、クイーン人気が高いディーヴァのお一人です。
Midnight Train / サム・スミス
……恋人に別れを告げ、ひとり深夜の列車に乗り込む──そんなシーンが思い浮かぶ、哀しい曲です。歌詞の最初で『love(愛する人)』と呼びかけているのに、自分の中で折り合いがつかないことがあるせいで、半ば一方的に関係を解消してしまう……という状況のようです。駿人の心境を思いながら聴いていました。つらい。
第13話 ラン・トゥ・ユー
Run to You / ホイットニー・ヒューストン
……以前の記事で書いたかもしれないのですが、律のお気に入り映画の一つが『ボディー・ガード』です。この曲は映画の作中でも印象的な使われ方をしていました。
強く見える私だけど、本当は傷ついていて、あなたのことを求めてる……というような、本音を打ち明ける曲です。律の状況とはそこまでシンクロしていないかもですが、個人的にも大好きな曲なのでタイトルに使わせて頂きました。
Make You Feel My Love / アデル
……ボブ・ディランによるオリジナル曲のカバーです。
確か、東日本大震災のときにリリースされたチャリティーアルバムに収録されていたのを聴いたのが最初だったと思います。カバーだと知ったのは少し後になってからでした。
とてもやさしく、愛に満ちた歌詞です。心の底から、駿人に届いてほしいなぁと思いながら聴いていました。
歌詞を掲載することが出来ないのですが、よかったら是非検索してみてください。和訳されている方がたくさんおられますので……。
【その他のイメソン】
I Have Nothing / ホイットニー・ヒューストン
……クライマックス感と相まって、ドラマチックな曲が似合う局面になってきたかな、と思います。こちらも映画『ボディー・ガード』の挿入歌。貴方がいなかったら、私には何もない、という熱いラブソングです。律の心境的にはこちらの方が近いかも。この曲もお気に入りすぎて、でも上手く歌えないので、ごくごくたまに自分でリップシンクしたりしています。(要らない情報)
I'm Tired / ラビリンス & ゼンデイヤ
……HBOドラマ『ユーフォリア』の挿入歌。若者の現状を知るヒントにしたくてこちらのドラマを観たことがあるのですが、あまりに辛くて……。主人公たちの苦痛を浮き彫りにしたような曲です。独りぼっちで街を彷徨う駿人の足取りを思わせる、重たいリズム。泣き声のようにも聞こえる歌。すべてがしんどいのですが、好きな曲です。(しかしゼンデイヤ、歌も上手いとは!ものすごい才能です。)
第14話 ランニング・アップ・ザット・ヒル
Running Up That Hill (A Deal with God) / ケイト・ブッシュ
……『嵐が丘』で有名なケイト・ブッシュの『ランニング・アップ・ザット・ヒル』
初めて耳にしたのは、Netflixドラマ『ストレンジャー・シングス』の作中でした。以来お気に入りの曲のひとつです。
考え方、価値観が違う二人。深くわかり合えたらいいのに──という願いのこもった曲かなと思っています。駿人のことを理解したい律の心境に沿うかなとおもって選びました。丘(山)を駆け上っている状況ともぴったしです。
【その他のイメソン】
ビリーヴァー / イマジン・ドラゴンズ
……そろそろイマジン・ドラゴンズの回し者かと疑われてしまいそうですが、違います。
イマジン・ドラゴンズって、傷ついたり難しい状況にある(あった)人が「なんとか這い上がってやる!」と奮起するような歌が多いというか……なので、駿人の物語と相性がいいのです。
この曲は、『過去の苦しみが、可能性を信じられる『俺』を形作った』というような内容だと理解しています。攻撃的なビートですがメッセージは前向き。大好きです。
Shake It Out / フローレンス・アンド・ザ・マシーン
……この曲、海外ドラマ『glee』で、恋人から暴力を受けている(けれど、助けを求めることが出来ない)ひとりの先生に向けて生徒が歌った曲として登場していました。
『悪魔を背負ったまま踊るのは難しい。だからそいつを振り払うの』という、過去との決別を歌った歌かなと解釈しています。駿人も振り払いました。
Miracle / ラビリンス
……ラビリンスの曲も、今回の執筆中によく聴きました。祈りに満ちたこの『ミラクル』は、山の上での騒動が一段落したときに流れていて欲しい曲だなと思って聴いていました。曇り空、雲の割れ目から一筋の光が射すような……。クライマックスが似合う曲です。
Ocean (feat. Khalid) / Martin Garrix
……ドっっっストレートなラブソングです。『僕と君の間に海があったとしても、引き離せやしない』というような歌ですね。これは駿人と律、どちらの視点で聴いても最高のラブソングです。どのシーンにあうとかっていうより、執筆時に出会って、単純に好きなのでよく聴いていました。(それでいいのか?)
第15話 ビコーズ・ユー・ラブド・ミー
Because You Loved Me / セリーヌ・ディオン
……ドラリプの各章タイトルは、本編を一通り書き終えてから考えていきました。
最終章のタイトルは、早い段階で『これだ!』と決まっていた気がします。セリーヌ・ディオンのラブソングは、まっすぐで優しくて、すごく救われます。
駿人も律も、互いに互いを思いやり、大事にする気持ちを知ったからこそ壁を越えることが出来たんだよなあ、と思いながら、この曲を聴いて改稿へのテンションを上げていました。
Time After Time / Cyndi Lauper
……『トゥルー・カラーズ』で始まった物語ですので、同じくシンディ・ローパーの『タイム・アフター・タイム』で締めたいなと思っていました。何度挫けても、あなたのためにここにいるよ……という、優しい愛が隠った歌です。
『ドラリプ』もこの曲のように、「元気が欲しいな」と言うときに読み返して頂けるような物語になれたらなぁと思います。
【その他のイメソン】
Who We Love / サム・スミス & エド・シーラン
……数ヶ月前にサム・スミスの新しいアルバムがリリースされたとき、推しと推しがコラボしてる!!と驚きました。さらにそれがめちゃくちゃ泣かせてくる名曲だったときの喜びときたら……!
ポジティブなメッセージのこもったこの曲。きっとこの世界中のたくさんのCPにフィットするのではないかと思います。MVの映像は初めて見ましたが、こちらも美しいですね……!
Love Me More / サム・スミス
……自分のことを好きになれず、他人からかけられる言葉に怯えていたけれど、最近少しずつ自分を愛せるようになってきた──という、前向きな曲です。サム・スミス自身の経験が現われている曲なのかな、とも思うのですが、だれにでも覚えがある苦悩だから心に響くのでしょうね。こちらも、上にある『Who We Love 』と同じく、今年リリースされたアルバム『Gloria』収録曲です。全体的に前向きで吹っ切れた曲が多いように感じたのですが、その根幹にあるのが『Love Me More』で歌われている心境なのかな……なんて、イメソン語りとまったく関係ない雑談になってしまっていてすみません。
この曲、駿人にぴったりだなとおもって聴いていたんですが、律にもしっくりくる曲ですよね。他人の目にどう映るかに怯えていたリリが、恐怖に打ち克って自分を発信していけるようになった……という部分にもマッチするような気がしています。コメントが長い!(完)
Beneath Your Beautiful (feat. Emeli Sandé) / ラビリンス
……『今夜は、その美しさの下にある、ほんとの君をみせて』という、美しいラブソングです。ありのままの自分をさらけ出して、飾らない相手の素顔を愛する……律と駿人のベッドシーンは、この曲を頭に思い浮かべながら考えていました。この曲も、好きすぎて聴く度に泣きそうになります。
Love Me Like You Do (From "Fifty Shades Of Grey") / エリー・ゴールディング
……残念ながら『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』は観てないし読めてもいないんですけれども、映画のテーマソングが毎回めちゃくちゃ良くて!!
the weekndとアリアナ・グランデ、ZAYNとテイラー・スウィフトのデュエットとか、思わずずるい!(何が)と叫んじゃうレベルです。
この曲も好きすぎて、紆余曲折あった後に結ばれるCPのベッドシーンには、(脳内で)ついこの曲を流してしまいます。狂おしいような、性急なような、痛いほどの幸福感のような……とにかくめちゃくちゃ好きな曲です。律と駿人にもぴったりだと思います。
At Last / エタ・ジェームス
……『やっと』という意味の曲名。念願かなって手に入れた、究極の愛。
ゆったりとした優しいメロディーがたまりません。一点の曇りもないラブソングはエンドロールにぴったりですね。
いろいろな苦難を味わったけれど、やっと本当の幸せを手に入れた駿人。これからも大変なことはあるでしょうが、律と二人、きっといい方向に成長していけるでしょう。めでたし、めでたし。
おわりに
さて、約二ヶ月にわたってお送りして参りました『ドラリプ曲紹介』ですが、本編の完結を持ちまして、今回で最終回……と思いきや、なんと!電子単行本に収録される描き下ろしSSでもいろんな曲が登場しますので!!もう少しだけ続きます!!!
とはいうものの、ひとまずはこれでおしまいとなります。
様々な名曲が持つパワーをその身に(?)宿して生まれた『ドラァグクイーンはリップシンクで愛を捧げる』でしたが、お楽しみ頂けたでしょうか……?
駿人と律の物語を追いかけ、楽しんでくださった皆様。ほんとうにありがとうございました!
ちなみに……。
後日発売となる電子単行本では、カバーイラストの鹿島こたる先生による最最最&高高高の口絵+挿絵、さらに二人のその後を描いた書き下ろしSS(SSと呼べないくらいたっぷり書きました)がつきます。
改稿作業前にこたる先生からいただいたキャラのラフ画が、より駿人と律に血肉を通わせる大きな原動力になりました。その後も、挿絵のラフや完成データを拝見する度に、ドラリプの二人が魂のこもった存在として立ち上がってくるような感覚に包まれたものです。
個人的には、こたる先生の挿絵あってのドラリプ!……と感じております。そんなわけで、もしよろしければ、電子単行本もお手にとって頂けたら嬉しいです!
ここまでお読みくださり、本当にありがとうございました!
これにてひとまずお別れです。
皆様の毎日が、素敵な音楽と物語で溢れますように。