老婆に会いに行った夢《Dream Diary 12》
xxxx年05月04日(x)
遙かな下方の海を見降ろしながら、私は車のハンドルを握り、島の山を登って行く道路を走っていた。青空と山の斜面の段々畑と、海の眺めが素晴らしかった。これから私は或る老女を訪ねて行くのだが、帰りには車から降りて、この景色をゆっくり楽しもうと思った。やがて目的地の家に着き、玄関から入ると、奥の床の間に一人の老婆が正座しているのが見えた。私は彼女の話を聞くためにここに来たのだ。老婆の皺くちゃの顔は、私と会って喜んでいるようにも、或いは仏頂面をしているようにも見えた。私は老婆の前に座り、少しの間会話を交わしたが、老婆の話は外国人が片言の日本語を喋っているような発音で判然とせず、聞き取れたのは「DEKOPON」と「KIYOMI」という二つの言葉だけだった。気が付いたら、この家にはこの老婆一人だけではなく、他に二人の老婆がいるようだった。帰ろうと思い玄関に向かうと、二人の老婆の内の一人が「DEKOPON」という言葉を、もう一人の老婆が「KIYOMI」という言葉を繰り返し、その後二人ともクックックックッと笑い出した。デコポンも清見もオレンジの品種の名前だが、私とは関係無いし、どういうことなんだ? クックックックッ‥‥初めの老婆も加わり、家を出る私の背後で三人の老婆が笑い転げている。帰りは小学校時代の同級生のNと一緒だった。途中で二人とも車から降りて海の眺めを楽しんだ。海は陽光を反射して黄金色にキラキラ輝いていた。私はNに、この島に残る朽ちた廃屋や、昔ながらの塩田の写真を撮って大学の友人に見せると、みんな喜ぶんだよと話した。