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エルドレインの森 ドラフトガイドライン 入門編

こんにちは。ご無沙汰しております。スギモトです。

仕事と私生活で、6月からこっち、マジックがままならない生活を送っておりました。「指輪物語」は映画も見て予習しましたが、リミテッドは一度もプレイせず終わりました…笑
「普段の暮らしが安定したものでないと、マジックもうまくいかんよ」って、むかし、海外の殿堂プレイヤーか誰かが言っていた気がします。(しみじみ)

ようやく少し落ち着いて来ましたし、9月は仕事的にも少しゆっくり過ごせそうですので、新セット【エルドレインの森】、楽しんでいきたいと思います!
リミテッドのプレイペースがどれくらいになるかはわかりませんが、久々にプレリリースにもガッツリ参加しますし、まずは自分の第一印象を整理するため、いつもどおり「入門編」を書き残しておこうと思います。
他の方に比べると拙いところも多いと思いますが、一つの見解として、参考になればと思います。どうぞお付き合いください。

※MTGアリーナプレミアドラフト(BO1)でのプレイを想定し、低レアリティカードを中心に取り上げていきます。


▼環境概説

メカニズムとしては、新規の「役割」「協約」「祝祭」に、エルドレインといえばの「出来事/当事者」、もはやおなじみの「食物」。「協約」と「祝祭」を、「役割」「食物」、各種クリーチャートークンがバックアップするような、横断的なメカニズム構造になっている。
各種トークンの生成コストは低い。「役割」については、他セットの「+1/+1カウンター」がそのまま置き換わったようなものが多く、中にはほぼノーコストでついてくるものもある。複数パーマネントの展開を要求する「祝祭」、パーマネントの生贄を要求する「協約」が、他セットでの感覚と比較してそれほど厳しくないことを、まず認識のスタート地点としなければならないだろう。

《人狐の呪い》はフレーバー的にもいいデザイン!

クリーチャーの額面のスタッツは、気持ち控えめ。 ただし、各種「役割」による+1/+1修正が頻発するので、おおよそ1段階高く見積もる必要があるだろう。
後述する「祝祭」アタッカーと、赤緑のキーワードを踏まえると、3,4ターン目からパワー4で戦闘する展開も少なくないはずだ。

その一方で、積極的な攻撃を促すキーワードがほぼ存在しない(「役割・若き英雄」と「魔術師」程度)ことは、近年のセットでは珍しいと言える。「協約」や「食物」を絡めて、中長期的なレンジでシステムを構築していく動きも、ある程度肯定されるだろう。

ただし、2マナ域の採用については、近年のセットと同様に軽視すべきではない。その理由は、ブロッカーとしての意味もさることながら、「役割」の付け漏らしを避けたいという点にある。
多くのクリーチャー、スペルにプチボーナス的についている「役割」だが、これが不発になってしまうと、割り引かれた効果でゲームを進めることになってしまう。
もちろんデッキ内の「役割」の枚数にも依るのだが(青メインの構築になると、自軍への「役割」は極端に少ない)、攻めるにせよ守るにせよ、可能な限り付与先を自身の戦場に維持しながらゲームを進めるのが理想だろう。足回りを整える意味でも、やはり序盤に展開できるクリーチャーは疎かにしたくない。目安としては、いつもどおり5,6枚/アグロなら7,8枚としておく。

このあたり、うっかり取りこぼさないようにしたい。

除去については、一部のカード(特に「協約」と書かれたもの)は優秀であるものの、全体的には、効果が限定的であったり若干重かったりで、平均点は低めか。使いづらいものが多い印象を受ける。白と青の定番、オーラ除去も、生贄手段である「協約」が各色に配置されている今セットでは、気持ち下方修正。

インスタントの「協約」は特に使い勝手がいい。
オーラ除去にも「協約」対策が組み込まれたものがある。

蛇足ではあろうが、コントローラーの違う「役割」は、お互いを上書きしない。除去の1種と言える相手の「呪われし者」を、自分のその他の「役割」によって割ることはできない。(できると思ってた)(テキストを読もう)
こちらも、さっさと「協約」の種にしてしまおう。


▼各アーキタイプについて

せっかくなので、前回の記事で書いた、アーキタイプ分類に沿ってレビューしていこうと思う。


・ホード(赤白/赤黒)

まず目を引くのは、赤の攻撃性の高さ。「祝祭」を担当する赤白、豊富な「ネズミ」トークンを強く活用できる黒赤が、アグレッシブなアーキタイプとして環境のスピード感を定義づけるものになると思われる。

赤白は、2/3/3相当の「祝祭」アタッカー2種、《武器庫のネズミ》《大餐会の客人》をコモンに擁する。これにアンコモンの《アッシュ》を加えた2マナ域でスタートダッシュを決められたら、3ターン目以降、複数パーマネントを展開する手段には事欠かない。
締めの全体強化(いわゆる「ラッパ」)の《かじりつく大合唱》、ブロック制限の《道を切り拓く》(《吼える暴れ者》)、トークン戦略を強化する装備品《特注の戦闘装束》など、脇を固めるカードも使いやすいものが揃っており、コモンだけでコンセプトをまとめることができるだろう。

黒赤は、黒の2マナ域に若干物足りなさを感じるものの、3マナ域の《大食の害獣》《甘歯村の魔女》《自惚れた魔女》は、白よりも方向性にマッチしている。《特注の戦闘装束》《ぼろぼろのネズミ飼い》《トーテンタンズ》あたりでネズミを投げ捨てながら道を開き、「役割・ひねくれ者」を絡めた継続的なダメージで、打点を補っていく形となる。


・ミッドレンジ(黒緑/白緑/赤緑/青緑)

ホードに対抗する肉厚なミッドレンジ。

黒緑は「食物」を軸にしたアーキタイプ。ライフ水準を維持しつつ、《襲クリーム》《豆の木のワーム》《小村の大食い》につなぎ、《甘歯村の魔女》のライフルーズを絡めてフィニッシュ、といった動きが基本だ。
《甘歯村の魔女》から《虚ろの死体あさり》《グレタ》など、「食物」の使い道には事欠かないだろうが、継続的な供給にはひと工夫が必要。《襲クリーム》+「役割・怪物」が最も再現性の高い供給源…でありながら、そのままただ強いフィニッシャーになるので、ここをひとまず目指してピック、プレイするのがよさそうだ。
《小村の大食い》の実質5/6/6トランプル+ETBで3点ゲインというスタッツも、《がぶりんご飴》の-5/-5がひとつの除去ラインになる環境では、安心感がある。

緑白は「エンチャント・オーラ」をフィーチャーしたもの。「祝祭」と《霜毛皮のトナカイ》に、「役割」を供給することで攻撃をねじこんでいく、前のめりなミッドレンジになるだろう。

赤緑は、「パワー4以上」をキーワードにしたアーキタイプだが、面展開に長ける赤と食い合わせの悪さが若干気になる。公式に「経験の浅いドラフト・プレイヤー向けに、より直接的な」「明確なメカニズム的テーマなしで引き継がれたアーキタイプ」と明言されてしまっているので、あまり深く考えない方がよいのだろう…笑
コモンの主戦力としてデザインされたであろう《縄張り持ちの魔女跡追い》自身のパワーが2であることに、調整の意地悪さを感じてしまう。続く3ターン目に《赤歯の系図学者》から「役割・王族」を与えても、パワー4を作れない…。これが《武器庫のネズミ》《大餐会の客人》なら、しっかり4/4で殴れるのがまた恨めしい。
「役割・怪物」のトランプルに、《倍増する憤怒》(《双頭の狩人》)や《ピクニック荒らし》の二段攻撃を組み合わせて、気持ちよくぶち抜くのが「より直接的」でいいのだろう。


緑青は「マナコスト5以上」をフィーチャーしたランプに、「出来事」を添えて。
通常、5マナ以上のカードを大量にデッキに投入することは難しい。軽い呪文のスペースを圧迫し、序盤のアクションがおざなりになってしまう。だがもしその5マナ以上のカードに、軽い「出来事」が備わっていればどうだろう。中盤以降のインパクトを維持したまま、序盤のアクションを担保してくれる。
《ベルーナの門番》が、まさにこれを体現したカード。アンコモンの《吠え猛る突風牙》を最も強く使えるアーキタイプだろう。《豆蒔き》(《豆の木のワーム》)から3ターン目に走らせたら、さぞ爽快に違いない。


・システム~トレード&スケール(青赤/青黒/白青/白黒)

システム寄りのものから。

白青は、氷をイメージした「タップ・麻痺カウンター」に重きを置くアーキタイプ。
コモンだけで明確なシナジーボーナスは得られないものの、タッパーや麻痺カウンター自体は、リミテッドでは特に工夫がなくとも強力な要素ではある。そこにアンコモンの《孤高の聖域》《氷像の歩哨》《シャレー》が絡めば、グッとデッキが引き締まるだろう。
緑白と同様に、《霜毛皮のトナカイ》を「役割」で活用していくのが基本路線か。白青の常で、赤の面展開には弱いので、《チューインベイルの導き手》の絆魂もうまく活用して、ダメージレースを制したい。

白黒は「協約」を最も強くフィーチャーした組み合わせであり、エンチャントの生贄・再利用を軸に、じっくりとライフとカードのアドバンテージを獲得していくものとなる。「協約」以外にも、《備え蓄える祝賀者》で、《希望ある祈祷》《望み無き悪夢》を回す動きが似合うアーキタイプだろう。

青赤は、この環境では唯一と言っていい、パーマネントではなく「呪文」をフィーチャーしたアーキタイプ。クリーチャーとスペルのバランスに気を遣わなければいけないのが青赤の常だが、この部分にも、クリーチャーでありインスタント・ソーサリーでもある「出来事」が効いてくる。ちなみに《ジョハン》も、ライブラリートップから「出来事」を唱えることができるので安心して欲しい。(リリースノートより)

攻撃的な赤に軸足を置いてもいいが、果敢アタッカーの供給が少ないので、再現性には疑問が残る。それよりは、青に軸足を置いて、相手をスローダウンさせながらカードアドバンテージで優位に立ち《物騒なカタパルト》の複数回起動で削っていくような動きが面白そうだ。

青黒は、「フェアリー」部族ビートダウンとして見ると、なかなかに心許ない。特に黒のコモンのフェアリー2種が、積極的に採用したいスペックとは言えないことが気になる。
アンコモンの《オビラ》を除けば、実はフェアリーを連打する必要性はそこまで高くない。染めを意識しすぎず、場に1,2体居ればOKと割り切り、グッドスタッフコントロールとして構築する路線の方が、デッキ全体のクオリティが安定しそうだ。カンニングしたようで悪いが、そういう方向のデザインにしたと、マローもプレビューの中で語っている。

いずれにせよ、おとぎ話枠に眠る往年の名カード《苦花》は、フェアリーラヴァーはもちろん、全マジックプレイヤーの憧れ!一度はピックしてみたいものだ。


青だけは、担当するメインの「役割」が「呪われし者」と特殊なのに加えて、「協約」も少ないので若干浮いた印象はあるものの、概ねキーワードが横断的で、さまざまなシナジーを作るのがとても楽しそうだ。
ドラフトピックに於いては、3,4マナ域で複数パーマネントを展開できるカードは、複数アーキタイプへの越境性が高い。「どのアーキタイプでもハマるカード」ということになる。これらを早い段階で抑えて、複数のアーキタイプに渡りをつけていくのが、有効なピック方針ではないかと思われる。

そのあたりを踏まえて、ファーストインプレッションとしてのピック優先度を置いておく。

▼コモン・アンコモンTier表

コモン

S:初手級!?あるだけ入れる!?
A:~5手目くらい、2枚欲しい
B:~8手目くらい、1枚あるといい
C:1周期待、数合わせ
D:入れない


上述の通り、複数パーマネント展開を高評価。あとはアーキタイプの軸になりうる「祝祭」アタッカー2種と、《霜毛皮のトナカイ》《嘲笑するスプライト》。
《スプライト》はFTがおちゃめすぎるので、キャストする折には、ぜひ声に出して詠唱を。

英語版を見ると、これは間違いなくこのハイフェイ自身のセリフのようだ。
「はーい、ちゅうもーく!」ということなんだろうが、かなり意味不明…


アンコモン

アンコモンになると、いよいよ複数パーマネント展開が安い。ほいほいAランクに入れてしまったが、プレイの中で精査したい。
一番評価に悩むのは《具眼の資本家》毎ターンマナブーストして、祝祭して、協約の種が出て、ワンチャンドローエンジンになると書くと、「もはやPWかよ!?」ってなるけど、まったく何もしない可能性も十二分にあるブルジョワ。使うのが楽しみ。


▼おわりに

以上です。

コモンの平均点の高さ・方向性の明確さで、赤が一歩リードしている印象は受けますが、各色の様々な戦略バリエーションに対して、汎用パーツの意外なシナジーにインスピレーションを試されそうな、非常に楽しみな環境です。

コミュニティにスペシャルサンクス。(いつもの)
ぼくも参加している、リミテッド中心のDiscordサーバーです。

チャットでは7勝のデッキを共有や意見交換をしていますので、楽しいドラフトライフのお手伝いができるのではないかと思います。気軽にJoinしてくださいね。

石入れすぎないぞ!と、スタンダードもやるぞ!という思いがあるので、どれくらいプレイできるかわかりませんが、その分、1回1回のピック・プレイを大切にしていきたいと思います。またいい「まとめ編」が書けたら嬉しく思います。それでは!


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