ずぶずぶに溺れて
急に違和感を感じた。気づけば身動きが取れなくなっていた。なんだか息もしづらい気がした。
過度な愛は人の自由を奪ってしまうものなのだ。わたしはそれを身をもって知った。思えば彼も、”好き”よりも”重い”が勝って、逃げ出してしまったのかもしれない。
羽を捥がれた鳥は、どんな行動をとるだろうか。諦めて今の環境に身を任せるか。動く足で活路を見出すために走るか。わたしは紛れもなく後者だ。立ち止まってなんかいられない。
行動して、なんでと周りに問われて、でも自分では何も間違いだとは思えなかった。行動しなくては大切な自分の何かが壊れてしまう。そんな感じだった。
なんでいるのだろう。思いも寄らない時に。失くしものをした時、その時に必死に探しても見つからなかったのに、後日ふとした瞬間に見つかる。あれに似ている。
あなたを見つけてしまった。だけど、臆病者のわたしは逃げ出したくて仕方がない。なのに、逃げ出せないのだから仕様がない。
だから腹を括って、恋愛ごっこでもしようか。いつか”ごっこ”じゃなくなるその日まで。”ごっご”じゃなくなるその日を夢見て。
溺れてしまえばいい。取り返しのつかないところまで。「失くなったら寂しい」じゃ足りない。「失くなったら死んでしまう」まで来て。
わたしはせいぜい墜ちすぎないよう、なるべく息継ぎの時間を多く取りながら泳ぐとしよう。今はできているかな。自信はあまりないな。
それではまた。
ウタラテ
P.S.
「ずぶずぶ」というワードを選んだのは、この曲を思い出したから。
よければ聴いてみてください。