他人のためじゃない。自分のためにキレイになる。
元化粧品販売員ということもあり、美容関連が好きだ。でも、ズボラでもある私は、ときどき何もかもが面倒に感じることがあった。
化粧もそうだし、スキンケアもそう。化粧をしなかった日には、歯磨きだけ済ませて寝ることがほとんどだった。
「スキンケアの基本は何より保湿です。とにかく肌を潤し、潤いを逃さないようにクリームで蓋をしましょう」そんな台詞を吐いていた自分が嘘みたい。見られることがなくなると、人はこんなにも怠惰になるのか。
スキンケアをサボりだしてから、ある日まじまじと自分の顔を見てみた。
「なんだこのひどい顔は」と驚いた。
吹き出物はあるし、ツヤもない。肌を触るとハリや弾力が減っているように感じた。
自分を愛せない人間が、他人を愛せるわけがない、といった言葉を聞いたことがある。間違いなく今の自分を、私は愛せる気がしなかった。
このままじゃダメになると直感的に思った私は、それからはちゃんと日々、スキンケアをするようになった。家を出ない日であっても、化粧をするようにもなった。そうした方が、自分の煌びやかになった顔を見て気分が上がるし、クレンジングなどもきちんとするから。
そしてある日、スキンケアを怠らなかった自分の肌を見て、触って感動した。
触ると気持ち良い。モチモチする。肌も白い。スキンケアをきちんとすると、自分の心も磨いているような気分になったのだ。化粧品販売員として働いていた頃でも、こんな感激したことはあっただろうか。
そこからは、自分の肌がキレイになるのが嬉しくて、フェイスパックをすることも増えた。水分をしっかり補給させた肌は、見ても触っても気持ち良いもの。
見た目が衰えると、自分の心も萎んでしまう。「面倒」と言ってなんでも放置してしまっては、後悔することが多いと気づいた今日この頃だった。
今までは、スッピンを彼などに見られたときに引かれないようにと思ってスキンケアをしていた。けれど、それだと独り身になった今のような現状では、スキンケアのやる気がまた減っていく。
誰かのためじゃない。自分のためにするんだ。肌も心も、自分が健やかに、幸せな人生を歩むために、磨いていくんだ。