フルート頭部管について
歌口の形状については幾度となく仕様を変更して迷い続けている。
木製頭部管を作り始めてどうやら9年になるようだ。
第一号の完成がいつだったのか調べていると、ホームページにこんな記述があった。
その後少しずつふらふらと方向性を変えながら、最近になって大きく変化した。
以前この note にも書いたので読んでいただきたい。
その後ピッチや音程の問題に対処していくうちに一つの形に落ち着いた。
一番の特徴は小さな歌口にあるのだが、同時に仕上げに漆を使うことにした。それに伴い製作手順、形状やパーツも変更した。
今までのオイル仕上げに比べて手間は掛かるものの、防水性やメンテナスンスの点でも利点は大きい。
最近はこのタイプの頭部管を気に入って吹いているのだが、どうも一般的にはあまり魅力を感じて貰えないようである。
私が感じている特徴として
唇下の虚ろな空間が少ないので無駄なアンブシュアの操作が要らない
吹き込み過ぎると鳴らないので常に響きを意識した効率的な奏法が身につく
音の立ち上がり、反応がよい
音色の変化、表情がつけやすい
という点が挙げられる。
もちろん、初めてトラヴェルソを吹いたときになかなか良い音が出なかったことを考えると、慣れるまでは直ぐに良さを感じるに至らないとは思う。
他の頭部管とは異なる存在としてもこの形を貫こうと思っていたのだが、最近また少し気持ちが揺らぎ始めた。
少々鳴らしづらいといったデメリットもあるが、それを上回る魅力がある・・として納得していたものの、その問題は果たして解決できないものなのか?
トラヴェルソにおいては、穴を大きくしていくと確かにらしさが失われて魅力が半減してしまうことを経験した。
フルートにおいても前述の特徴が同様に薄れることは感じられた。しかし、吹き易さを犠牲にしない範囲で最近の一般的に大きすぎる歌口に比べて少しでも傾向の違う音が得られれば、それで良いのかもしれない。
もうひとつ、漆仕上げのメリットを伝えるためには、まず前の形状のままで仕上げを変えて提示すべきだと感じていた。形状と歌口を一挙に新しくしてしまったので、漆仕上げをアピールできなかった気がする。
悪い癖で、段階的に少しずつという工程がもどかしく一気に変えてしまう傾向がある。
そんな訳で、今回新しい頭部管を作ってみたのだが・・
また一度に新しい試みを行ってしまった。
今回のポイントは歌口の形状(サイズ)なのだが、凸凹の彫刻も入れたくなってしまったのである。
歌口は僅かに小さめの通常サイズといったところか。
大きすぎない楕円の歌口という認識で良いかもしれない。
吹いた印象は、小さい穴に慣れているが違和感を感じないものであった。
前述の特徴は保たれている気がする。
バランス的にはこのくらいで良いのかもしれない。
しばらく検証してからもう一本作ってみようと思う。
ただし次は凸凹彫刻なしで・・
非常に手間が掛かったので次は普通に仕上げたい。
今後もSNS等で紹介していきますので、関心がございましたらお問い合わせください。
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